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センバでほのぼの?サバイバル

やればできる子

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テン爺が来て、頬の手当てをしてくれました。
「大丈夫、すぐ治ると思いますよ」
その言葉で、やっとお兄様の眉間のシワが取れました。

「お兄様!私、やればできる子ですわ!
どのくらいの魔力を込めたのか、教えてくださいまし!!
足手まといは嫌なのですわ!お役に立つのです!!」

「いや、だから、ディはそんなことを気にしなくても、」

「魔力循環!あ、チィちゃんも一緒にしましょう?
そしたら、チィちゃんも感覚がわかるかも」

「あ、うん。イチイがやったらディの比じゃないくらい弾け飛びそう。壁に突き刺さりそう」

「あの!もし可能なら、私にもご教授下さい!!」
ハジカミが90度のお辞儀をしています。あわててセリも同じようにお辞儀しています。

「ああー、ハジカミとセリは魔力循環出来るの?放出は?」
お兄様が尋ねると

「魔力循環は身体強化ですよね?出来ます。放出がわかりません」

「ならば!カメの必殺技ですわ!!」

「「カメ?!!」」

「ああああぁ、アレをまたやるのかぁ。じゃぁ、訓練場じゃなきゃダメだよ」

「もしかして、イチイとシラヌイが属性魔法が出来るようになった訓練方法?
あら、それは私も興味あるわ」

お母様の、その一言により、全員で訓練場へ移動します。

「まずは、魔力循環を確認します。セリとハジカミは、ただ受け入れて?」
そう言って、お兄様、私、セリ、ハジカミチィちゃんで丸くなって手を繋ぎます。

うん。やっぱり、セリから先に行きません。ハジカミとセリを入れ替えてもダメでした。

「えっと、ユーディリアお嬢様から流れて来るのはわかります。
でもどうやって出すか、わかりません」
ハジカミが困ったように言います。

やっぱり、カメの必殺技の出番です!!

「その前に!!
えっと、魔力循環は出来るんだよな?「「はい」」
手のひらに魔力を集めるのは出来る?「「はい」」
その魔力を筋肉に使うのではなく「「はい??!!」」

ああー、やっぱりココかぁ…

まぁ、一応見てて?この集めた魔力をそのまま、ポン」

「「おおおぉ!!」」

「これに、属性をのせると、ウィンド・ショット」

スパン!!

的に一直線です。

「「おおおぉ!」」

「ってか、ハジカミ達、属性何よ?」

「「無属性です!」」

「あ、じゃぁ、浄化できるんじゃねぇ?」

「え?あの氷の乱舞ですか?!」
セリはそういえばあの場にいましたものね。

「アレはイチイのみ。氷属性があるから出来るんだよ。
乳幼児天使がやった方。
ってか、魔獣の傷、浄化してから治療するってテン先生言ってたけど、見たこと無い?」

「「あああ!アレ!!」」

「そうそう、魔獣から傷を負わされたら、その場で浄化だけでもしておけば、後の対処が楽じゃね?」

「「是非!!」覚えたいです!!」

「じゃぁ、手のひらに魔力集めて」「「集めて!!」」

「ポン!」「ポン!!うぉ!出た!!」「ポンンヌンンンー!!!!」

「あら、ハジカミ出たわね」

「出ました!!傷を洗う浄化ぁ!」
そう叫ぶと、ハジカミの手から、キラキラが出ます。

「出たぁぁぁ!!」「ぐぬぬぬぬぬぬ」
「うんうん、これが浄化だよなぁ」
大喜びのハジカミと、ものすごく悔しがるセリ。
そして、納得するお兄様。

「セリ!大丈夫ですわ!
出来ない子のためのカメの必殺技ですもの!!!
あ、ハジカミも一応やってみます?

さぁさぁ、いきますわ!!

足を広げて!腰を落として、スクワットの状態をキープ!「「ハイ!!」」

いいですか!キチンと明確にイメージするんですのよ!!想像力が大事ですわ!!

左小脇にスイカを抱え、手のひらは上に向け、そこにカメを一つ載せます!」

「はい?」「亀?!!」

「適度な重さと程よい丸みがある上に甲羅で固い、けど生き物ですわ!
リンゴなら、あ、潰れちゃったジュースにどうぞ♪で済みますが、」

「手で潰したリンゴジュース、イヤだぞ?」「あら、ニワトコたまにするわ?」「え?!マジっ?!俺ら飲まされてないよね?」「大丈夫、自分の分だけよ」「良かったぁ」

「外野!うるさいですわ!気が散りますの!!「「ゴメン」なさい」

続けますわよ!!「あ、はい」「ハイ!!」

ハジカミ!イメージが足りませんわ!!

良いですか?!亀は生き物、命が有ります!!

左手に載ってる亀を潰さないように右手で包み!!
潰さないように、けど気合いを溜めます!!

センバ好きでしょう、気合い!
溜めました?溜まりました?

溜めたら!!
一気に両手を伸ばし、腕力じゃなく気合いで亀を押し出すのです!!」

「亀を押し出す?!」
「カメ、ハァァーッ!!」

ハジカミは躊躇し、その横でセリが亀の必殺技を繰り出します。

ズドドドドーッ!!!

幅30センチ、長さ2メートルぐらい地面がえぐれ、

「えええええ?!!」
ハジカミが亀の必殺技、準備段階の体勢のまま、驚愕の表情でセリを見ると、

パタン

セリは発射体勢のまま、そのまま横に倒れました。

「「え?!魔力切れ?!」」

「え?!私もこうなるの?え?!どうすれば?!!」
ハジカミが亀の必殺技準備段階の体勢のままオロオロしてます。

セリ!!やればできる子ですわ!!
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