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センバでほのぼの?サバイバル

気づいてしまった

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「お兄様」
「ディ?どうしたの?」
「私、気づいてしまいましたの」
「何に?」
「リーパーって、死神って意味だとおっしゃいませんでした?」
「うん、言ったね?」
死神スレイプニルに乗った破壊神チィちゃんって、恐怖の大王も真っ青な布陣じゃありません?」
「「ブッファ!!」」
あら、お兄様だけでなく、後ろで聞いてたワサビまで吹き出さなくても。
サンショウ?
肩を震わせて横を向かなくても?

「ヒヒーーン!!」
『ボクはあの娘から魔力を奪って力を取り戻して帰るんだーーーー!!!』

ドォン!!

「奪うっていう発想を、まず直せぇ!!」
チィちゃんのパンチをよけるリーパー。

「イチイが奪うって叫んでるけど、アイツ、まだディから魔力奪うつもりなの?」

「そうみたいですわ?力を取り戻して帰るんですって。あら、帰るってどこにですの?」

「リーパー!!帰るって、お前、どこに帰るんだよ!!」
お兄様が代わりに叫んでくれます。

「ヒ、ヒヒーン!!ヒヒヒ、ヒーン!!!」
『もちろん、天上界さ!力を取り戻したら、お前たちなんて、お前たちなんて!!』

「なんだって?」
「もちろん天上界に、だそうですわ。力を取り戻したら、チィちゃんにも?あら、お前たち、って事は、お父様にもかしら?負けないって言ってます」

「現状、奪えないんだから、無理だろ?」

「ですよね?ってか、天上界って、オムツ様の居るところ?
なんで、センバで子馬になってるのかしら?」

「オムツ様?!…ああ、イチイが呼び出した天使様?
じゃぁ、迎えに来て貰えば良くねぇ?
いやだって、ディを害しようとするアレ、居る?」

「うーーん、定期的に魔力譲渡が必要なら、面倒ですわよね?
お父様が欲しがったんですのよね?お父様に相談で。
ってか、何故に私なんでしょう?」

「…さぁ???」
お兄様と2人、コテンと首をかしげて見つめあってしまいましたわ。

そんな事をしてる間に、チィちゃんはリーパーを乗りこなしてこちらにやって来ます。

「リア様!!コイツ脚が6本もあるだけあって、胴長なんです!!」

「「ブッフォ!!」」
「ど、胴長…」
「あらまぁ、確かに?」
「ヒヒーン!!」
『胴長って言うな!!機能美だ!!』

お兄様とワサビが吹き出し、サンショウが肩を震わせて、私が思わず納得したら
胴長リーパーが抗議の声をあげましたわ。

「ですんで、コイツに2人乗り用の鞍を特注したら、余裕でいけます!!」

「あら、じゃぁ、脚が8本になったら、もっと胴長になって、お兄様とチィちゃんと3人で乗れるのかしら?」

「ウッヒョー!!リオリアサンドイッチ!!お2人に挟まれる!!なんて魅力的な提案!!!」

「いや、真ん中はディだろ!!!」

「安全を考えるなら、真ん中はユーディリア様一択っす」
ワサビの言葉にサンショウもうなずきます。

「でも、それにはディが魔力あげなきゃいけないんだろう?どのくらい必要かもわからんし。
そんな危ない真似、ディにさせないし?」
そう言ってお兄様が私を抱き締めると

〝ピコン!鑑定、対象リーパー。エミリオ、魔力をアレまで伸ばしてください〞

あら師匠、どうしました?

〝ピコン!リーパー鑑定。イチイに勝てないと本能が受け入れたため、下僕に成り下がりました。それにより、イチイから魔力を契約となり、成長阻害。脚はこれ以上増えません〞

「え?増えるには?」
お兄様、的確に質問してくれて助かりますわ♪私だと脱線しまくりますの。

〝ピコン!イチイを克服、対等な契約関係の再構築〞

「契約の破棄、ではなく?」

〝ピコン!本来、神獣が契約を結ぶ際、神獣の加護を授ける的な意味合いに成りますが、イチイが勇者の再来という特殊事情により契約の解除は不可。お守り様の様にお互い信頼しあっているのではない事が残念です。今後に期待。イチイが死ぬまでリーパーはイチイを助けることになります〞

「天使に迎えに来て貰ったら?」

〝ピコン!それこそ天使ならば《契約》という世界の秩序を崩す事はないかと〞

「ディが魔力譲渡したら?」

〝ピコン!契約者以外からの魔力譲渡は効率が悪く、イチイが契約でも禁止したため、成長に至るためには、それこそユーディリアが魔力切れを起こすほどの魔力譲渡を毎日3年くらい続ければ、あるいは〞

「うん!却下!!
おい、リーパー!!お前、成長出来ねぇし、上にも帰れねぇわ!!」

「あきらめて?」

「ヒヒーン!!」『ウソだーーーーー!!!』

「神獣なら寿命長いんじゃねぇの?100年くらいあっという間だ」

「ヒヒン!!!ヒヒーン!!」
『長いわ!!!ボクの、ボクのウハウハな青春時代がぁあああ!!!』



ウハウハな青春時代って、何考えてましたの!??
…それってあとから黒歴史になりますわよ?
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