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センバでほのぼの?サバイバル

弱肉強食

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目覚めたら知らない天井でしたわ。

あら、本当に知らない天井ですわ?

「リア様が目覚めたぁああ!!」

急に大声が聞こえたから寝てるのにビックゥってなったじゃないですの!チィちゃんの声ですわよね!

「ディ?大丈夫?ツラい所はない?」
ぬぅっとお兄様のお顔が前面に出てきましたわ。
寝起きに立て続けにびっくりさせないでくださいまし!

「ディは魔力切れで倒れたんだよ。あんのクソ駄馬のせいで!!」
えーっと、ダバ?…駄馬?…ああ、スレイプニルの幼体って師匠が言ってたかも?
スレイプニルを駄馬扱いですの?

「大変だったのよ?荒ぶる魔王と破壊神を止めるのは」
お母様が身体を起こしてくれます。

「えーっと?何がありましたの?」
その問いにお母様が答えてくれました。




リアちゃんがあの馬を撫でてたら、え?って顔をした後、かくんっていきなり意識を失ったの。
手を繋いでたイチイがとっさに抱き止めてたから、地面に倒れ込むことはなかったんだけど、
私も慌てて駆け寄って、イチイからリアちゃんを引き取ったわ。

そしたら、あの馬がキラキラ輝き出したんだけど、イチイが

「リア様から奪うとは何様だぁああああ!!!!」

って叫んで、キラキラ状態の馬を殴りつけたのよ。

ドォーーンとそりゃあもう、派手に飛んで、半分埋まっちゃったから、
ああ、弁償だわ…と思ったんだけど、なんとその馬、生きてたの!!

しかも、脚の数が6本に増えてるし!!

めっちゃ走り回ってイチイから逃げてるし!!

思わずぽかーんと見ててしまったら、

ドォーンって、すぐ隣で音がして、今度は何事?!と思ったら、ニワトコがリオ君抱えて着地してるし。

「ディ?!」
「何があった?!イチイか?え?脚が6本ある馬?!」

リオ君はすぐに私が抱えてたリアちゃんに気づいて心配するし、
音の原因はイチイだろうと周りを見渡したニワトコは、6本脚の馬を追いかけるイチイに理解が追い付かなくて、私とイチイを3度見してるし。

「なんかね、あの馬をリアちゃんが撫でたら、リアちゃん、倒れちゃったの。
で、馬がいきなりキラキラ光ったと思ったら、イチイが殴り倒しちゃって。
馬は死んだかと思ったら、思いっきりイチイから逃げ回ってるし。
もう、何が何やら」

「イチイ!ハウス!!」「ハイ!!」

シュタっと、リオ君の前にイチイが飛んできて頭を差し出すんですもの。
条件反射ってスゴいわよねぇ。

頭を撫でながら「イチイ、説明して?」ってリオ君が言ったら

「ハイ!!
アイツ、スレイプニルの成り損ないで、魔力が足りなくて力出なくて、撫でてたリア様から魔力奪って元気になりやがったの!!とっちめてるの!!」

「ほほう?ディは魔力切れで倒れたと。元凶はアレだと?許せないなぁ?」

リアちゃんは、魔力切れだったのね。
脈とか大丈夫そうだったから、まだ本調子じゃなかったのかしら、貧血かしらと思ってたけど、
魔力切れ、ねぇ?それなら寝れば治るけど。
ねぇ、イチイ?スレイプニルって言わなかった?

そんなこと思ってたら、リオ君まで魔王のごとく黒いオーラが見えるようだし、

「普通の馬で4本で事足りる脚、6本もあって魔力を他から奪うくらいなら要らねぇよなぁ?!!」

ウィンド・カッターで攻撃し始めるし、イチイは相変わらず追いかけてるし、

「ちょこまかちょこまかと、しゃらくせぇ!!ディを傷つけた罪、償いやがれ!!!」

そう言って、竜巻とか出しちゃうし。あらやだ、あの馬、巻き込まれて、回りながら天高く登ってくわ。
イチイは、うん、リオ君の隣で見てるわね?

って、そこでハタと気づいて

「牧場に被害出すの、止めなさい!!!」

リオ君とイチイに氷ヘルメット被せて落ち着かせたわ。

「魔力切れなら、リアちゃんは寝かせておけば大丈夫よ!!どこか休める所に案内してちょうだい!!」

ってことで、今の状態なわけ。

ちなみに、あの馬は、
竜巻に巻き込まれても大丈夫な馬なんてぜひ欲しいって、ニワトコが今、躾してるわ。




うん、センバの家族にかかったら、
スレイプニルでさえ、食物連鎖の上には立てないようです?
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