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センバでほのぼの?サバイバル

幕間 驚きの白さ 3

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「シィベリ!!ようやく見つけた彼女が!!俺の唯一!俺の女神だ!!」

「は???」

そう言ってニワトコが僕に紹介してきた女性がセイラーちゃん。

「はじめまして。セイラー・アイシアと申します。えっと…」
〖ニワトコの親友が、王家の人?王家の人よね?!〗

「はぁ、シィベリ・プロシェードです」

「プロシェード…えっと、シィベリ様?…もしや、第三王子殿下?」
〖ニワトコサマぁあああ?!王家の人間を気軽に親友?!ホントに?!騙されてないぃぃ?!?〗

「ブッファ!」

「え?」
〖どうして笑われたのかしら?は?!もしや身長差?!身長差がおかしい?!〗

「ブッフォ!」
僕はお腹を抱えて笑ってしまった。
王家の人間を見て媚びを売るでなく、詐欺を疑ったあげく、笑った事を失礼って思うんじゃなくて、身長差を気にしてるなんて!!
いや、確かに30センチ近い身長差は、なかなかに大変そうだけど。

すごいな、ニワトコ!
こんなに素直な女性を見つけるなんて。そして僕を親友って紹介していたなんて。

「いやぁ、ごめん、ムキムキマッチョがこんなに綺麗な女性を連れて来るなんて思わなくて。
ニワトコの半分ぐらいしか、厚み、ない、よ。グックククッ」

「そうなんだ!!細くて儚くて美しくて、それでも強くあろうとする素晴らしい俺の女神なんだ!!
俺の女神!シィベリはいつも突然大笑いするんだ、いつものことだ、気にするな!!」
〖俺の女神!そうだ、シィベリも綺麗と言ったぞ!画家が綺麗と言ったらやっぱり綺麗なんだ!
さすが俺の唯一!俺の女神!俺の唯一!俺の女神!〗

僕の唯一無二の親友を奪った女性。

もし、この人を僕が奪ったら、ニワトコは裏の顔を見せてくれるかな?
女なんて、権力者やら、王家の威光とか、大好きだよね?


…なんて思ったけど、セイラーちゃんは全然靡かなかった。


まだ学生で、王都の学園に居たからニワトコが居ない間にイロイロ誘ってみたりしたけど、

「ニワトコのためですね!」「まぁ!センバに協力してくださると!」「ええ!騎士団の備品もメイドインセンバ、素晴らしいでしょう!」

表も裏もセンバのため、ニワトコのためだった。
なぁんか、僕を出汁に王家もセンバを認めてる的な雰囲気になってた。

あっれぇ?おかしいな?でも、面白いからいっか。

いつの間にか卒業してて、辺境で式を挙げるから来いって言われたけど、クズ兄に
「王都での式ならまだしも、辺境の式に赴くなど、王家の方がセンバに尻尾を振っているようではないか!!」
って、監禁されて行けなかった。

暫くして、王都にセンバ夫妻が来たって、遊びに行くと、

セイラーちゃんは妊娠してた。
ニワトコの過保護が炸裂してて、確かに大爆笑したけど。それで誤魔化しは、したけど。

初めて見た妊婦。

初めて見た母性愛。

女性は子供が生まれてもいないのに母親になっていくのかと、驚いた。
僕の母親もこうだったのだろうかと、希望を持ってしまった。


そして、イチイが生まれた。


3ヶ月ぐらい経って、会っても大丈夫と了解をもらって会いに行くと。


…ニワトコ、女神の意味がわかったよ。


笑顔でイチイを見つめるセイラーちゃんからは、

〖愛しい、嬉しい、元気で育って、幸せであって、私が守る〗

慈愛しか感じられなくて。

ああ、僕の母親とは根本的に違う、と、わかってしまった。


そして、初めて見た生まれたばかりの赤ちゃん。


まっさらすぎて、驚きの白さで。
白いのはキャンバスで見てるけど、白にも種類があって、あ、噂だと白って200色あんねんて。

そして、キャンバスには枠があって。

赤ちゃんには〝枠〞がなくて。

どこまでも、まぶしい白さて。


僕は、にっこりと笑顔で、目を閉じてしまった。





でも、家に帰ってからも、初めて見た純粋無垢と慈愛が忘れられなくて。

気づいたら、夢中で描いてた。

うん、僕の最高傑作、カモ?



「アーーーーーーッハッハッハッハッハ!!」



出来上がったソレに、僕は大きく〝バツ〞をつけた。
だって、僕には触れられないモノだもの。



その後、改めて、同じ構図の物を、丁寧に、丁寧に描いてセイラーちゃんに渡したら。

涙を流して喜んでくれた。
ニワトコも絶対気に入ると。

「イチイもお礼を言って?」〖ああ、こんなに素敵な絵を!〗
「あぅだぁう!!!」〖あっきゃーー!!〗
「まぁ!イチイもありがとうって思ってるのね!」〖嬉しさは伝わるのね!〗
「抱っこが無理なら、ほっぺ触ってみて?」〖ぷにぷにの虜よ!〗

「あーー、僕の手は、汚れてるから、遠慮しとく」

「絵の具でしょう?大丈夫よ!口に触れなきゃ舐めたりしないわ!」
〖さぁ、ぷにぷによ!〗

そう言ってセイラーちゃんは、僕の人差し指を取り、イチイのほっぺにツンツンさせた。

イチイは、ニッカァ!って笑った。
ああ、ニワトコの子供だな、って、納得してしまった。





家に帰った僕は〝バツ〞をつけた絵を出して、

イチイのほっぺに、

小さく〝まる〞をつけた。







あぁ、
死ねなかった。殺して貰えなかった。

そんな僕は。

もう、あの絵も見れない、ってことかな?
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