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センバでほのぼの?サバイバル

変態さん、ご退場

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後ろに倒れ込んだ変態さんに向けて、さらに心を折りに行きます。

「だって、多分。
アナタが本当にカマッテ欲しいのはお父様でしょう?
だからお母様にちょっかいかけて、お父様を怒らせたりして。
結局は、お父様に自分を見て欲しいんでしょう?」
違う?とコテンと首をかしげて見せます。
すると、お兄様が続けます。

「ディに聞いて、なるほどなぁって思ったんだ。

アンタ、わざとチャラチャラしてるけどさ、腐っても?腐ってるからこそ?王族だもんな。
裏表の有りすぎる家族や貴族しか会ったことないから、
センバの真っ直ぐさが有り得なくて、それでも生きていけてる強さがうらやましくて、
憧れだの、なんだのかんだの、全部混ざって、

アンタ、

ニワトコの最愛の目の前で、ニワトコ本人に自分を殺させる気だっただろ?」

「はぁ?!!ちょ?え?」
お母様、驚愕の表情で変態さんとお兄様を三度見ぐらいします。

「なんとなぁく、コイツの思考の方向も分からなくもないんですよ。

ディ用語で言うと〝ヤンデレ〞って言うらしいですよ?
好きな人にデレデレするやり方が、心を病んでるせいで常識人とかけ離れてる事を言うんだっけ?

多分コイツは。

父上と母上、両方に心の傷を負わせて、
お互いがお互いの顔を見る度に、自分を思い出させようとしたかったんだろうなぁ、って。

なぁ?ダァレがさせるか。

そんな勝手な思いぶつけられて、こっちの平穏壊されたらたまったもんじゃねぇんだよ。

アンタら王家ってのは、あのヘドロ殿下もそうだったけどさ、
やり返される覚悟、ねぇのか?テメェらが絶対的に上だと思うなよ?」

「腹が立つ!ので!殴ります!!」
そんな声が上から聞こえたと思ったら、

ドォン!!!

変態さんの頭の隣に、チィちゃんが地面を殴った状態で降り立ってましたわ。

「大丈夫!!当ててません!!」

「うん、当たってたら、スプラッタ状態だったわ!!
イチイ!びっくりするから行動起こす前に声かけて!!!」

「ハイ!ガンバります!!」

「鋭意努力目標止まり?!!」

「サンショウ!!しーおじさまをぐるぐる巻きにして!身体が全部覆うぐらい!!」「え?あ、はい」
なんの抵抗もなく、されるがままの変態さん。

「イチイ?ナニする気?」
お兄様が尋ねます。

「こうするのです!フーちゃん!!!」

「「え???」」
チィちゃんがそう声をかけると、バザッバサッと羽音がしたので上を見上げると

「「ええええええ?!!グリフォン?!!!!」」
上半身が鷲、下半身が獅子って本当になんですのね?!
初めて見ましたわ!!!

「パパが育てたグリフォンのフーちゃんです!!
フーちゃん!!アレ捕まえて、空から捨てて来て!!」「ピキューーーイ!」
そう言うが早いか、ガッと頭の部分を咥えて飛び立とうとします。

「死んじゃう死んじゃう!!」「イチイ!殺人はマズイ!!」「あああ、頭持つのもマズイわ!!」
あ、お母様、復活しましたわ。

「ぬー。フーちゃん、戻っておいで~」「ピキュ」

「ああ、じゃぁ、紙とペンない?!
あ、ありがとう。

〝今後、センバにちょっかいかけたら、宣戦布告とみなします〞

これ、アレに挟める?風圧で外れないようにね?

ねぇ、イチイ?
グリフォンで、アレ、王城に捨てて来れない?」

「あーー!なるほど!王都って、どっちの方角です?こっち?

フーちゃん!
こっから、真っ直ぐ行った所に、パパ達が住んでるみたいなお城があるんだよ!
そこに、コレ、ポイってしてきてくれない?」

「「ポイはマズイ、ポイは!!」」
私とお母様が焦ります。

「うん、センバじゃないから、空からポイしたら、死んじゃうかな?
城内のいっぱいお花が咲いてる綺麗な場所があるんだよ。
そこに置いてきてくれないかな?」

「ピキー♪」

「真ん中持って!真ん中!!」「ピキュ!」
なんって言うか、お兄様の言うこと良く聞きますわね!

グリフォンのフーちゃんは、ミイラみたいにぐるぐる巻きの、最早荷物と化した変態サマの腰の辺りをガシっと鉤爪で掴み、空高く飛び立って行きます。

「ここで待ってるから、ここに帰ってきてねぇ!!」「ピキー♪」
チィちゃんの言うことも良く聞きますわね?

「なんって言うか。
王城の真ん中の庭園。一番手間暇をかけていそうな場所にグリフォンを降り立たせて
そこをめちゃめちゃにした挙げ句、ぐるぐる巻きの人間、しかもそれが王弟、を届けるなんて、
なかなかの嫌がらせじゃない、リオくん?」

「それぐらいで手打ちにしてやった事を、むしろ感謝して欲しいくらいですが?」



お兄様!短時間でそこまで思い付くなんて素晴らしいです!!!
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