上 下
208 / 391
これぞ悪役?シスコン無双

こてんぱん、って

しおりを挟む
「仮にも王族が魔物を倒すと言っているのです、万が一の安全策を講じない訳はなく、
教会から治癒師を派遣してもらっていたようで、イーリーはその場で治癒してもらいました。
なので、傷はなくなりましたが、傷つけられた、という事実は残ります。
治癒師も眉間にシワを寄せていました。
この傷に思う所はありますが、口をつぐみます、と。

なので、イーリーは無事ですが、治癒のあと体のダルさが抜けず今日は伏せっているらしいわ。

お父様にもお話はしましたの。
私はアレを聖玉の剣だとは思えません、と。
その時、もう、殿下にはついていけません、とも、お話したわ。
ギーニー、今回の事で私との婚約話が急激に進むかもしれないわ。大丈夫?」

「望むところです!!一緒にライド家の未来を考えさせてください!!」

「まぁまぁまぁ!!公開プロポーズ?ですの!!」
思わず叫んでしまいましたわ。
すると、フーティ様も、ギーニー様もお互いの顔を見合わせて、ボンっと赤くなりましたわ!
初々しいですわぁ!!

「僕達だったら、いっくらでも証人になるからね!!」
「いやぁ、めでたい!ちょっと明るい未来の話が出るのは良いね!!
泥船からは、さっさと撤退するに限ります。そう、だからヘドロから物理的に離れましょう」
ウンウンとヨーク様もお兄様もうなずいています。

「では、イーリー様もヘドロ船からの撤退を表明してるので?」
お兄様がフーティ様に確認します。

「多分?治癒のあと、同じ馬車で帰って来たけれど、イーリーは眠ってしまってお話出来なかったのよ。
魔物の傷っていうのもショックだったのかな、とも思って、そっとしておいたし、今日も伏せっているっていうから、確認は取れてないわ」

「今までいた4人が全員離れたら、殿下、どうするんだろう?」
ヨーク様に罪悪感が出てきたようです。

「それで反省してくれたら…ってしなさそうだな?
その自称聖玉の剣サマがいる限り、悪い方に進みそうだな?!
さらにめんどくさくなりそう!!」
お兄様がめっちゃイヤな顔をします。

「そう、思い出しましたわ。
殿下と2人で〝エアトルをこてんぱんにするぞ!!〞って言ってたんですわ。
「「こてんぱんって?!」」
貴方達、どこかでお会いした事、ありまして?」 

「自称聖玉の剣サマと?!ナイナイナイナイ!!」
お兄様が思いっきり、首を横に振ります。

フーティ様が私の方を向き、あら?という顔をして、話を促します。

「お兄様、心当たりがナイこともないんですけど…」
「え?ディ、会った事あるの?どこで?」

「私は会った事無いですわ。お兄様が一度会ってます。
ホネん"ん"っ、魔物で全滅した村の、見つからなかたった、あの子です。名前、覚えてますか?」

「…あ"あ"あ"あ"あ"ぁ!!!アイツか?!!!
アレが自称聖玉の剣サマ?!
名前?!聞いたっけ?覚えてない」

「なんですの?!その魔物で全滅した村の生き残りって?!」
フーティ様が食いつきます。

「私が領主代理の時、領地を回ったんですよ。
その時、ちょっと遠い山の麓の村に、気になる子がいて、よそ者家族って呼ばれてて、あんまり受け入れられて無かったから、軍で働かないか、って声かけた事があったんです。
でも断られまして。

で、魔物の大量発生が起きた時、2か所で起きてて「「2か所?!」」
1か所は軍も近くで、昔からその森に魔物が湧くってわかってたんで、巡回もしてたから早めに対応出来てて、
近くの村にそこまで被害はなかったんです。

もう1ヶ所が、その家族のいた村で。
ちょっと遠かったし、森に出払ってて対応が遅くなったのもあるんですが
その村が全滅してまして、生き残りが見つからなかったんです。
付近の村に被害が及ばなかったのが不幸中の幸いでしたが。

ちょっと外れの家に両親らしき遺体はありました。

でも、そこに子供の遺体は、なかったんですよ。

魔物が湧いてる外に子供を逃がすか?とも思ったんですが、結局わかりませんでした。

村は浄化のために焼き払いました。

もしかして、焼き払われたのを見て、恨みを募らせてる?
でも、ちゃんと慰霊碑も建てたんだけどな?」
うーん、とお兄様が腕を組んで考えてますが、
最初っから敵愾心持ってたって言ってませんでした?ホネマントが。



ってか、私、気になってるのは、物語って、こんなに早く始まるんでしたっけ?
普通の村の10歳の少年が、魔物退治?

そもそも、主人公の名前、レンヤでしたっけ?

なんか、ハルとか、ヒナとか、もっと柔らかい名前だったような……


うん、思い出せないわ。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
恋愛
公爵家の末娘として生まれた8歳のティアナ お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。 ただ、愛されたいと願った。 そんな中、夢の中の本を読むと時分の正体が明らかに。 普通に恋愛して幸せな毎日を送りたい!

お母さん冒険者、ログインボーナスでスキル【主婦】に目覚めました。週一貰えるチラシで冒険者生活頑張ります!

林優子
ファンタジー
二人の子持ち27歳のカチュア(主婦)は家計を助けるためダンジョンの荷物運びの仕事(パート)をしている。危険が少なく手軽なため、迷宮都市ロアでは若者や主婦には人気の仕事だ。 夢は100万ゴールドの貯金。それだけあれば三人揃って国境警備の任務についているパパに会いに行けるのだ。 そんなカチュアがダンジョン内の女神像から百回ログインボーナスで貰ったのは、オシャレながま口とポイントカード、そして一枚のチラシ? 「モンスターポイント三倍デーって何?」 「4の付く日は薬草デー?」 「お肉の日とお魚の日があるのねー」 神様からスキル【主婦/主夫】を授かった最弱の冒険者ママ、カチュアさんがワンオペ育児と冒険者生活頑張る話。 ※他サイトにも投稿してます

転生したら使用人の扱いでした~冷たい家族に背を向け、魔法で未来を切り拓く~

沙羅杏樹
恋愛
前世の記憶がある16歳のエリーナ・レイヴンは、貴族の家に生まれながら、家族から冷遇され使用人同然の扱いを受けて育った。しかし、彼女の中には誰も知らない秘密が眠っていた。 ある日、森で迷い、穴に落ちてしまったエリーナは、王国騎士団所属のリュシアンに救われる。彼の助けを得て、エリーナは持って生まれた魔法の才能を開花させていく。 魔法学院への入学を果たしたエリーナだが、そこで待っていたのは、クラスメイトたちの冷たい視線だった。しかし、エリーナは決して諦めない。友人たちとの絆を深め、自らの力を信じ、着実に成長していく。 そんな中、エリーナの出生の秘密が明らかになる。その事実を知った時、エリーナの中に眠っていた真の力が目覚める。 果たしてエリーナは、リュシアンや仲間たちと共に、迫り来る脅威から王国を守り抜くことができるのか。そして、自らの出生の謎を解き明かし、本当の幸せを掴むことができるのか。 転生要素は薄いかもしれません。 最後まで執筆済み。完結は保障します。 前に書いた小説を加筆修正しながらアップしています。見落としがないようにしていますが、修正されてない箇所があるかもしれません。 長編+戦闘描写を書いたのが初めてだったため、修正がおいつきません⋯⋯拙すぎてやばいところが多々あります⋯⋯。 カクヨム様にも投稿しています。

悪役令嬢に転生したようですが、前世の記憶が戻り意識がはっきりしたのでセオリー通りに行こうと思います

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢に転生したのでとりあえずセオリー通り悪役ルートは回避する方向で。あとはなるようになれ、なお話。 ご都合主義の書きたいところだけ書き殴ったやつ。 小説家になろう様にも投稿しています。

【完結】平凡な容姿の召喚聖女はそろそろ貴方達を捨てさせてもらいます

ユユ
ファンタジー
“美少女だね” “可愛いね” “天使みたい” 知ってる。そう言われ続けてきたから。 だけど… “なんだコレは。 こんなモノを私は妻にしなければならないのか” 召喚(誘拐)された世界では平凡だった。 私は言われた言葉を忘れたりはしない。 * さらっとファンタジー系程度 * 完結保証付き * 暇つぶしにどうぞ

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

前世と今世、合わせて2度目の白い結婚ですもの。場馴れしておりますわ。

ごろごろみかん。
ファンタジー
「これは白い結婚だ」 夫となったばかりの彼がそう言った瞬間、私は前世の記憶を取り戻した──。 元華族の令嬢、高階花恋は前世で白い結婚を言い渡され、失意のうちに死んでしまった。それを、思い出したのだ。前世の記憶を持つ今のカレンは、強かだ。 "カーター家の出戻り娘カレンは、貴族でありながら離婚歴がある。よっぽど性格に難がある、厄介な女に違いない" 「……なーんて言われているのは知っているけど、もういいわ!だって、私のこれからの人生には関係ないもの」 白魔術師カレンとして、お仕事頑張って、愛猫とハッピーライフを楽しみます! ☆恋愛→ファンタジーに変更しました

処理中です...