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学園へ

ある意味、フルボッコ的な?

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「そ、そのようなことをしなくとも、王族を敬う気持ちがあるのなら、挨拶ぐらいできるだろう!」
無理だ、って言ってるでしょうに。

「どのようにして、でしょう。

私は朝から楽しくご歓談なさっている皆様のお邪魔をしてはいけないと、おとなしく机に向かっていただけなのですが。
尊い王族である殿下に、それが気に入らないと言われたらば、どのようにしたら良いのかご教授頂きたいのです。

私などが考えつくのは、
馬車降り場ですでに囲まれてる殿下にご挨拶するため大声で後ろから叫ぶのでしょうか?
それとも、いきなり殿下の眼前に走り込みますか?
ですが、殿下は平等と無礼を履き違えるな、と入学式でおっしゃいました。
つまり、こちらからはお声がけ出来ないので、先に申し上げた方法は取れませんし、貴族の体面としてもどうかと思いますので、現実的ではありません。

それとも、こういうことでしょうか?
教室に先回りをし、殿下の到着まで待機して、お声がかかるまで頭を下げていろ、と言うことでしょうか?

私は侯爵家の者です。

私がそれをする、というのなら、私より爵位の低い者は私に準じなければいけなくなると思いますが?
殿下の登校に際し、全校生徒、廊下に整列し、殿下のお通りをお待ちせねばなりませんか?」
さらに非現実的ですが、と付け加えるお兄様。

怒ってますわー。
回りの皆さんもひきつってますわー。

「尊い王族である殿下のことです。侯爵家の体面をきちんと考えてくださる、爵位をないがしろにしない、素晴らしい案をお持ちなのでしょう」
笑ってない目で、にっこり微笑むお兄様。

ワナワナと顔が赤くなっていく殿下。
「もういい!不愉快だ!!皆の者行くぞ!」
取り巻きの皆さんを引き連れて出ていく殿下。
取り巻きの皆さん、ちょっと恥ずかしそうに下を向いちゃってそそくさと立ち去りますわ。
そんな中、バストン様、お兄様に小さくサムズアップしてます。
お兄様がクスっと笑いましたわ。

お兄様がシーンとした食堂を見渡して
「皆様、お騒がせして大変申し訳ありませんでした。
お詫びとして、明日の食堂の利用料金はエアトル侯爵家で持ちます。
明日は、いくらでも存分にお召し上がり下さい。
デザート制覇もアリですよ?」
お兄様がにっこり笑って声を食堂中に届けます。

「え、マジ?!」
あら、ハジカミがサクラをやってくれましたわ。

「はい、明日1日分、この食堂の料金は、すべてエアトル侯爵家がお支払い致します」
再びお兄様が答えます。

「「「イヤッホーーー!!」」」「「いいぞ、エアトル家!!」」
拍手や指笛など、食堂は大騒ぎになりました。
そんな中、私とお兄様は挨拶とカーテシーをして退場します。

お兄様が風で声を拾います。
「やられた…殿下、アレに喧嘩売ったのかよ…」
ギニタス様の声ですわね。

セリが走って来ます。
「食堂の管理者とお話しますか?」「ああ、頼む」「こちらです」

「なんか、スゴいこと言ったねぇ?大丈夫かい?」
肝っ玉母さんみたいなお人が出て来ましたわ。

「こちらこそ、勝手なことをして申し訳ありません。
私はエミリオ・エアトル。こっちが妹の「ユーディリア・エアトルですわ」
早速ですが、明日の食堂の利用料金の前に。
1学年160人として3学年で480人。
まぁ定食500人分と、デザート500人分、毎日滞りなく提供してくれる作業員の皆様に感謝を」

「私達に感謝を、なんて言葉、初めてもらったよ?
そうだよ、最初に勝手をして、なんて謝意ももらっちゃったし、アンタ達、本当にお貴族様かい?!」

「少なくとも殿下よりは、貴族の義務を理解してると思ってますよ」
笑ってない目でにっこり微笑みます。

「伊達に長年色んな子を見てきた訳じゃないんだよ。怒らせちゃいけない子って、居るんだよ。
あーあ、殿下、一番ヤバい子に喧嘩ふっかけたね…」
肝っ玉母さん、遠い目をしてます。

「とりあえず、皆さんは何時までお仕事されます?」
「食堂は2時まで、後片付けで3時にあがるよ。朝は8時から出勤して仕込みさ」
「わかりました。3時までに、とりあえず定食500人分、デザート300人分の支払いをします。
足りない分、明日支払います」
「わかったよ、従者に丸投げじゃなく、自ら来てくれて、しかも労りの言葉まで貰ったんだ。
任せときな」
「頼りにしてます」
最後はお兄様とがっちり握手です。

肝っ玉母さんゲットだぜ!!
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