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学園へ

よし、表出ろや

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食堂は基本セルフサービス。
人数が多いのでA、B、Cの3つの定食のみ。デザートは別料金で3種類。代金は前払制。並んで受け取り、席につきます。
新入生は今日は無料だそうですわ。

お昼の時間にはまだ少々早いので、テラス席には私達だけ。

他のクラスの1年生もまだ来ていないようです。

いいお天気で、テラスで頂くお食事は格別。
やっぱり、別の意味でも別格?になりそうな雰囲気です。

お兄様と2人最後に席につきました。

「いただこうか」「はい、美味しそうですわね」
お兄様と笑顔で会話です。あえて向こうの団体さんの方は見ません。
ええ、目も向けませんとも。

お兄様はお魚のB定食。私はサンドイッチのC定食。
この国の食料事情は良いようです。小麦文化なんで、お米見ないんですけどね。
お兄様のお魚定食にもパンがついてます。
どっかにパエリアとかならあるのかしら?

お兄様と和やかに、そろそろ食事が終わろうという時、
他の学年のAクラスの方々がやってきましたわ。

「ギニタス!」
殿下がどなたかを呼びましたわ。

「ああ、殿下。お食事中でしたか。どうなさいました?」
ギニタスと呼ばれた方が殿下に寄って行きます。

「知っている者も居ると思うが、紹介しておこう。私の側近のギニタス・マンドルだ。
ギニタス、ここに居るのが同じ学年のAクラスの者達だ。
ギニタスは1つ上の学年だが、私の元にすぐ駆けつけてくれる優秀な奴だ。
同じクラスであるのに、私に挨拶もない者達とは全く違う」

「…」

「殿下?せっかくのご歓談の時間です。他の学年の者も居ます。
お諌めするなら、このような場所ではなく、ふさわしい場所でなさったらいかがでしょう?」
マンドル様、非常に常識的ですわ。
殿下、助言を聞くべきですわよ?

「ギニタス、逆だよ。皆に知ってもらういい機会だと思ったのだ。
エアトル家の者達は、かつて私の申し出を断ったばかりか、挨拶もまともに出来ない者達だ」
もうやだー、暴君がいるー。

「挨拶も?それはどういう意味で…?」
ギニタス様が怪訝な顔をしはじめちゃったじゃないですか。

「そのままの意味だ。教室に入っても、挨拶もしてこない!」
テラス席に来はじめた他の学年の皆さん、殿下が怒ってるから、席にも座れずにいるじゃないですかー。

「恐れながら、発言の許可を頂けますか?」
お兄様が、ため息まじりに手を上げて言います。

「なんだ、その態度は?不敬ではないか?」
いやだから殿下、発言して良いのか悪いのか、はっきり許可しなさいよ。

「恐れながら殿下、発言の許可を頂けますか?」
お兄様、はっきり目を見て言い直しましたわ。イラっとしてますわー。

「許さん、と言いたいところだが、言い分を聞いてやろう」

「まず、他の学年の皆様の着席の許可を頂たいのですが?」
お兄様にそう言われて、初めて回りを見回す殿下。
入り口付近に固まってこっちを凝視している皆様に気がついたようです。

「う、うむ、皆の者、昼食を取るがよい」
焦ってるのを誤魔化す殿下。

入り口付近にいた皆様がわらわらと中に入って、着席します。

「先ほど、殿下がおっしゃった教室で挨拶もしない、という点ですが、
殿下は常に人に囲まれております。

朝も、馬車降り場で皆様方が待機なさって、殿下と共に教室に入られます。

ご令嬢の朝のお支度は時間のかかるものでしょう。それを殿下より早く準備し、お待ち申し上げる。
それをこれから毎日なさるおつもりなのでしょうね。
殿下がそれを望んでいらっしゃるようなので。
その労力たるや、素晴らしいものです。本当に頭が下がります。

で。
そのご令嬢達をかきわけてご挨拶申し上げろ、そうおっしゃりますか?」


「「「「うわーー」」」」
聞き耳を立てていた回りの皆様から、ざわざわとさざめきが広がります。
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