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学園へ

幸せな王子 2

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まだまだ続く、マシンガントーク。

「僕さ、三男じゃん。継ぐ爵位ないんだよ。
だからさ、どっかに婿入りするか、領地の軍に入るか、自分で爵位取るかしないといけないじゃん。
でも、殿下も婿入りじゃん?
だから、殿下が決まらないと、婿入りは、どっこも受けてくれないと思うって母上が言うんだ。
軍に入って兄上達の役に立つのもいいかと思ってるんだけどさ、それには強くならないといけないじゃん。
つまり、騎士科も視野に入れないといけないじゃん。
そしたら、殿下なんて言ったと思う?!
自分の側近が自分から離れ、かつ無爵位などあり得ない、私が何か爵位を準備できると思う、とか言うんだよ?婿入りする人間が、その家に側近連れてくの?爵位なんて用意できるの?!結果的に僕ってその家の執事になるの?!
なんか殿下ってさ、自分の身近な人に良くしたいと思うみたいでさ、いいんだよ、ありがたいんだよ。こういうのは部下に優しい上司っていうんだろ?
自分の使わなくなったもの物ホイホイあげるしさ、僕も貰ってさ、母上に言ったら、拳骨もらって、返してこい、って言われちゃったけど、こんな困ってることあるんですよね、みたいな相談されると私が力になろう、とかさ、安請け合いするんだよ!
でもさ、その困ってることの原因とか、僕達に調べろとか、無理でしょう?!
出来ることと、出来ないこと、区別しようよ!!」

ここまで一気に言って、ぜぇぜぇ息を切らせるバストン様。

「だ、大丈夫です?こんなに言っちゃって、誰かに聞かれたら、不敬罪とか、それこそ、殿下の目の敵に…」
思わず、オロオロしてしまいましたわ。

バストン様も、今気づいた!みたいな顔してますわ。キョロキョロ回りを見渡します。

「…どっかで聞いた話だなぁ、ホネ…「ビクッ」
バストン様、大丈夫です、薄くですが風の壁作っておきました。私達の回りから声は漏れてないと思います。
でもきっと、殿下から目の敵にされてる私達と殿下の側近であるバストン様が話していたのは見られています。
もし、殿下に聞かれたら、私達が、なぜ殿下に嫌われているのか説明していた、とだけおっしゃってくださいね。
それで殿下は納得されるでしょうから。
で、もし、バストン様がまたお時間作ってくださるなら、今度は私達の事情を聞いてくる、と殿下に説明しておけば、そんなに疑われないと思います。
なんか、こういっちゃなんですが、単純みたいですし…」
お兄様が苦笑いしてますわ。

「僕思うんだけど、殿下みたいに生きられたら、すっごい幸せだと思うよ!!」
バストン様、握り拳で言い切っちゃいますか、そうですか。


多分きっと?
この無駄な正義感?困ってる下々を助ける俺サマカッコいい的な?
それが〖聖玉の剣〗の主人公を助けて正義のヒーローな自分に酔えちゃう殿下の出来上がり?

そしたら、もう、協力しない、したくない、ほっといて欲しい、
そんな私達は殿下からしたら、悪役確定じゃないですか。

もうやだー。
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