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打倒、物語の強制力

可愛いは正義

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お兄様はイチミとお仕事の段取りをつけ、領地を回る準備を始めた。

遠くまで行く場合、行って戻ってと何回も往復するより、2週間位かけて全て回ってしまおうということになったのだ。
その間、私で出来るお仕事はシチミと一緒にこなしておいて、
お屋敷でチィちゃんとロアに守られておいて欲しいこと。

遠出の間、イチミがお兄様を全力サポートし、ワサビとサンショウの両方を護衛に連れて、こちらもお兄様1人を守るのに集中するという
センバの能力をお兄様1人に極振りすれば危険はないんじゃね?
という事になった。

そして、近場なら私も一緒に行っても良い事になった。

「練習も兼ねて、日帰りで一度行ってみようと思うんだ。
町を巡って、ホネの居た森の手前にある村へ。
そこ出身の軍の人を連れて行けば、意見交換もスムーズにいくかと思ってるんだけど、どうかな?」

「流石お兄様、良いと思いますわ!
私達、軍の皆さんからの好感度高いですもの!
村出身の兵士さんから良い感じの紹介があれば、村長さんも感触は良いはずですわ!!」

「流石エミリオ様、腹黒っす!」

「ワサビ、違いますわ!思慮深いんですわ!!」

そうそう、セイラー夫人に注意を受けましたの。
愛称呼びは親しい人で呼ぶものだけど、使用人には求めないこと。
使用人を信頼していても、線引きは必要なこと、馴れ合いと親しみは別なこと、
そうしないと、他の貴族に揚げ足を取られる可能性があることを教えてもらいましたわ。
いちいち納得でとても反省しましたの。
でも使用人のみんなからは、ユーディリア様からそんなに慕われている事が嬉しかったと言ってもらえましたわ。

本当に良くできた使用人の皆さんを紹介してくれたセンバ商会には感謝しかありませんわ。

そんなわけで、ワサビ達は私達をキチンと名前で呼んでくれるのです。


そんなこんなで視察に出かける事になった当日。
「まずは、町に行ってみようか。商店街を見た後、商人達の元締め的な人と会う予定だよ。
その後、森の近くの村へ行くからね。
イチイ、ディをお願いね。
ロア、何かあったらイチイを止めろよ?物を極力壊さないように!」

「ハイ!命にかえてもリア様をお守りします!」「ワン!!」

「チィちゃん、命に代えてもとか、私、イヤですの。
ちゃんと一緒に、おうちに帰りましょうね。
手を繋ぎましょうね?」

「ハイ!手を繋いで、ずっと一緒にいます!!」

きっと、私と手を繋いでいたら、チィちゃんは暴走しないはず。
ええ、私が初めてのお友達とのお出かけに浮かれてのことじゃありませんのよ!


初めての町の商店街。屋台やら八百屋さんやらイロイロありますわ。
うん、まだ、活気はある方なんじゃなっくて?

お兄様の両サイドにイチミとサンショウ。
後ろにワサビ。
イチミがイロイロ話ながらお店の人と会話してますわ。

私と手を繋いだチィちゃんと、私の足元にロアがぴったり寄り添ってくれてます。
後ろにシチミと後で行く村出身の軍の兵士さんはじめ、3人が護衛として来て下さいましたわ。
あまり大がかりにすると、サンショウ達が動きづらいと、最小限の人数です。

この時の私の光景。
手を繋いでニコニコと並んで歩く、少なく見積もって美少女二人と、足元に大人しく着いて歩くワンコ。
大変に眼福であったと後に語られ、また来て欲しいと言われたのでした。

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