上 下
119 / 395
打倒、物語の強制力

幕間 ハジカミの報告書

しおりを挟む
エミリオ様へ。

私、初めて、根本的な愚か者、というのを目の当たりにしました。

エミリオ様、貴方様の御幼少のみぎりは、さぞかし大変だったことでしょう。

センバだったら一発でのされてると思います。


本日はこんな事がありました。

クソ親父様がご朝食の折り、「夜会などの招待状はないか?」とのたまったので、「ございません」とお答えしたところ
「オマエのような子供従者になど聞いておらん!侯爵家の使用人はオママゴトじゃないんだぞ!俺に夜会の招待状が来ないわけ無いだろ!手紙の仕分けも出来んのか?!」
と、お叱りを受けました。

私、そもそも貴方の従者じゃないんですが?
ってか、貴方、奥方を亡くしたんですよ?喪中ですが?
なのに、夜会だのパーティーに参加したいと、そこら中で吹聴して来たんですか?
貴方を夜会に招待するなど、まだ喪が明けてもいないのに、愛人を屋敷に入れた愚か者を見世物にするためでしょうに。
それもわからないと?

っていうか、もうすぐ学園が始まるんですよ。
9月です、実りの秋の到来もまもなくですよ。
他の領主の皆さんは仕事に追われてるはずなんです。
貴方には仕事をしようという頭すら無いんですね。

だからまだ、社交シーズンでもないというのに。
え?パーティーに向けて、愛人のドレスを買うと?

…今年の流行りはまだ出来てないと思いますよ?

今作った物を次の社交シーズンで着たら、余計に笑い者では?
ってか、在庫を掴まされるのわからないんですか?
良いカモですよ?
ってか、そのお金、どっから出すつもりですか?
は?エミリオ様の部屋にあるものをすべて売れ?
クソババァ様の物は愛人に与えた?
ユーディリア様のお部屋の物はあの娘に与えた?
そもそも侯爵家が欲しいと言う物を用意出来るという栄誉にむせび泣いて献上しないのがおかしい?

…いや、おかしいのは貴方の頭の中では?

現侯爵に報告してみましたが、エミリオ様の物だけでなく、ユーディリア様の物も売れ?
子供は成長するから、あの娘だって使えなくなるんだから、今売った方がいいだろう?
そして、その金は自分に寄越せと?
クソ親父様ではろくな使い方しないから、渡さなくていいと?
自分はこれから値上がりするものを買うから先行投資だと?

…これから価値が上がる物をクズの製造元であるアンタが見極められる気がしないのですが?

それをセバスさんに報告したら、
エミリオ様達の物は売っていいとご本人様達から許可をもらっているが、お金は、日用品や食品を持ってきてくれている商会に払うから、というか、むしろ、その支払いに当てて貰うため、商会から業者を斡旋してもらっているから、勝手に売るな、と言われましたので、セバスさんに従います。

本来ギャリクソンが家令として家のアレコレをするはずが、クソ親父様の尻拭い、買った物が必要なのか、返品したり、交渉したりと奔走してて手が回っていません。
クソ親父様は買って満足して、ろくに管理もしてないですから、それも可能なんでしょう。

ってか、侯爵家が買った物をこっちの都合で返品するって時点で終わりな気がしますがね?



エミリオ様、お願いがあります。

一発、一発で良いです。

殴る許可を下さい。
それで、すべて終わらせてみせますんで。


                      貴方の従者 ハジカミより
しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
恋愛
公爵家の末娘として生まれた8歳のティアナ お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。 ただ、愛されたいと願った。 そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。

勘当された悪役令嬢は平民になって幸せに暮らしていたのになぜか人生をやり直しさせられる

千環
恋愛
 第三王子の婚約者であった侯爵令嬢アドリアーナだが、第三王子が想いを寄せる男爵令嬢を害した罪で婚約破棄を言い渡されたことによりスタングロム侯爵家から勘当され、平民アニーとして生きることとなった。  なんとか日々を過ごす内に12年の歳月が流れ、ある時出会った10歳年上の平民アレクと結ばれて、可愛い娘チェルシーを授かり、とても幸せに暮らしていたのだが……道に飛び出して馬車に轢かれそうになった娘を庇おうとしたアニーは気付けば6歳のアドリアーナに戻っていた。

[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・

青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。 婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。 「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」 妹の言葉を肯定する家族達。 そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。 ※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。

〖完結〗死にかけて前世の記憶が戻りました。側妃? 贅沢出来るなんて最高! と思っていたら、陛下が甘やかしてくるのですが?

藍川みいな
恋愛
私は死んだはずだった。 目を覚ましたら、そこは見知らぬ世界。しかも、国王陛下の側妃になっていた。 前世の記憶が戻る前は、冷遇されていたらしい。そして池に身を投げた。死にかけたことで、私は前世の記憶を思い出した。 前世では借金取りに捕まり、お金を返す為にキャバ嬢をしていた。給料は全部持っていかれ、食べ物にも困り、ガリガリに痩せ細った私は路地裏に捨てられて死んだ。そんな私が、側妃? 冷遇なんて構わない! こんな贅沢が出来るなんて幸せ過ぎるじゃない! そう思っていたのに、いつの間にか陛下が甘やかして来るのですが? 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。

わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの。

朝霧心惺
恋愛
「リリーシア・ソフィア・リーラー。冷酷卑劣な守銭奴女め、今この瞬間を持って俺は、貴様との婚約を破棄する!!」  テオドール・ライリッヒ・クロイツ侯爵令息に高らかと告げられた言葉に、リリーシアは純白の髪を靡かせ高圧的に微笑みながら首を傾げる。 「誰と誰の婚約ですって?」 「俺と!お前のだよ!!」  怒り心頭のテオドールに向け、リリーシアは真実を告げる。 「わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの」

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします

柚木ゆず
恋愛
 ※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。  我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。  けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。 「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」  そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。

処理中です...