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打倒、物語の強制力

切実な問題

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イチミに連絡を頼んだら、討伐もするなら、魔物の確認をするから1日待って欲しいと返事があったらしく、軍へのご挨拶は2日後になりました。

空いた1日で、イチイ嬢はライ様から手加減を教わっていましたが、

「ましになった程度です」とはライ様の談です。



そしてついに、私、念願の魔物デビューですわ!

「ディ、魔物デビューってなに?」

「記念すべき、魔物初討伐の日、ってことですわ!!
大人の階段登るのです!!」

「え、大人の階段?」

「はい♪ようやくお兄様の隣に立てる、という実感をするのですわ!!
ワタクシ、負けません!!」
握り拳で気合い十分。
松岡○造スタイルです!アニマルなレスリングよりはマイルドですわ!

「ディ、そんな風に思ってたの?
十分だよ?
本来なら僕の隣で笑ってくれてるだけで良いんだよ?」

「お兄様が良くても、私が良くないのですわ。
だって、お兄様1人におんぶに抱っこで全てを押しつけて優雅にお茶しても、美味しくないのですわ!

一人は寂しいのです!!除け者はイヤなのです!!

お兄様と一緒になんの憂いもなく、達成感をあじわって、ぎゅっとしたいのですわ!」
さぁ、お兄様!と両手を広げます。

「そうだよね、一人はイヤだよね。
(でも、知らないで良いことはいっぱいあるんだよ?僕はディの心も守りたいんだよ)」

お兄様が何かモゴモゴ言ってますが、ぎゅっとしてくださいましたわ。

「うほーーーー!天使達の抱っこ!とぅとぉい!!!」
イチイ嬢が拝んでますわ。

「思い出しましたわ、イチイ嬢の愛称を決めてないのです!」
「その前に!!早く馬車に乗って下さい。時間が押してます!!
愛称は馬車の中で決めてください!!」
…イチミに怒られましたわ。


ワサビとサンショウが馬で並走し、イチミとライ様が馭者席にいます。
馬車には、お兄様、私、イチイ嬢、足元にロア、何か会った時のための先生です。
セリはお留守番です。
シチミは、どっかに行ってるそうです。

「まぁ、これだけの戦力がいて、何かあったら、そりゃぁもう、天変地異です。
お手上げです」
…先生、怖いこと言わないで下さいまし。


馬車の中でイチイ嬢を呼ぶ、私だけの愛称が決まりましたわ!
実はお兄様、渋ったんですの。

「〝イチイ〞は短くしなくても良くない?」
お兄様、それは楽しくないですわ!

「いやだって、〝イチ嬢〞は呼びづらいし〝チイ嬢〞は、変だよ?」
お兄様がビミョーな顔をします。

「もしも、贅沢を言っても良いのなら!天使さ「お兄様はリオで、私がリアですわ!」グフォ、お呼びしても、良いのですか?!」

「「もちろん。イチイ嬢に呼んで貰えたら嬉しいです」」

「うほーーーー!人生で最高の日です!!
で、では、りりりりりりリオさま!!りりりりっりリアさま!!」

「りが多いね?まぁ、いっか。なんでしょう?」
「どもりましたわ。なんでしょう?」

「パパもママもヒサギおば様も〝イチイ〞と呼んでいます。
嬢をつけずに呼ばれたいです!
しししししし親しみがこもった感じで!」

「イチイ?」ニッコリ笑ってお兄様が呼び掛けます。

「うほーーーー!」
「耐えろイチイ様!!馬車内で鼻血はマズイ!」
「テン爺!そうでした!耐えてみせます!!」
イチイ嬢が鼻を押さえて頑張ってます。

「エミリ「リオですわ!」…お嬢様も毎回必ず訂正されるのですな?」
「みんなに浸透するまで続けますわ!!」

「では、リオ様?お嬢を面白がって刺激しないように。
覚えておいでで?一応魔物討伐に行くんですぞ。ピクニックじゃないです」

「「そうだった…」」

「……お二人とも、浮かれ過ぎです。
下手したら、イチイ様が浮かれて暴れて手がつけられなくなったら、それこそ、天変地異です」

「そっちか「ハイ、ごめんなさい」」

「お二人とも素直でよろしい。
イチイ様も暴れ過ぎて、環境破壊しないように。イチイ様の力だと、魔物は棒切れぐらいの脆さです。
ぐれぐれも、昨日学んだ手加減を思い出して下さい」

「はい、テン爺、がんばります」 

「くれぐれも、くれぐれも!!ガンバルのは手加減です!!
ロア、キチンと見張っててくださいね?
調子のりそうになったら、頭突きでもなんでもして、正気に戻して下さい。

いいですか!!
破壊したものを元に戻すには、金がかかるんです!!!」

「ヤベー!!死活問題だ!!」
「え、お兄様、お金ないんですの?」
「予想はしてたが、王都のクソ親子!!アホみたいに買い物してやがる。
とりあえず、そっちの問題は、帰ってからだ。
そうです!!
イチイ?良いですね?物は壊さないように。
僕のためにやってくれますよね?いざとなったら、ロア、止めろ!」

「はい、ハイーーーー!」
「ワン!」

「では、お兄様は〝イチイ〞でいいと思いますの。
でも、私は可愛く呼びたいんですの」

「ディ?いきなり話戻すのね?」

「はい、イチイ嬢に了解をもらわないと!
イチイ嬢、〝チィちゃん〞って呼んでも良いかしら?
すごく、可愛いと思いますの!」

「まぁ、ディのネーミングセンスにしたら、えらくましな気がする。
ディだけが呼ぶ愛称で良いんじゃない?」

「はい、はい、いくらでも呼んでください!!」


やりましたわ!!愛称呼び、ゲットですわ!
これはもう、しししし親友ということで良いんですわよね!!
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