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打倒、物語の強制力
小物感、ハンパないですわ
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「んなっ!声でお分かりになるでしょう!」
「ですから、今、初めて声を聞きました。そんなに声を判別できるほど、会話しましたか?
騎士様とおっしゃいましたが、3人ぐらい騎士様が並んでドア越しで声をかけられたら判別つかない自信がありますが」
シラヌイ様がこう言うと、お兄様は肩を震わせて笑っています。
確かに、会話らしい会話してませんわ。
「ええい、無礼な!良いから扉を開けないか!!ぶち破るぞ!!」
「宿の方!逃げなさい!こんないきなり乱暴するのがエアグラフ伯爵ゆかりの者であるはずがない!!
警備兵を呼びなさい!」
「ハイッ!!!」パタパタと足音が遠ざかります。「いや、待てッ!!クソっ!!」バタバタともうひとつの足音も遠ざかります。
口を押さえて我慢していたお兄様。
足音が十分遠ざかってから「ぶわははははは!!!!」ソファを叩いて笑いだします。
「やるねぇ、シラヌイ様、面白かった!!さりげなくエアグラフの名前も入れたし!」
「ええ、いい加減、俺も腹立ってたんで」
そう言って、二人で顔を見合せると「「グフッ、ワハハハ」」と笑いだしました。
あらやだ、お二人とも仲良しさんになったじゃないですか。
十分笑ったあと、
「さぁて、この後、どうなるかなぁ?」お兄様がうーん、と腕を組みます。
「そろそろ、テン爺も帰って来ると思うんですよね。それからでも良いんじゃないですか?」
「まぁ、そっか。ワサビ達が捕えたヤツから何か聞き出してるかなぁ」
「忠誠心無いヤツだといいですね」
「「ああ、なるほど」」お兄様と二人納得してしまいました。
その後、わりとすぐに先生達が帰って来たので、先程の出来事を話します。
「なんです、その悪役に成りきれない小物感は?」
「「ブフォ」」お兄様とシラヌイ様が吹き出します。
「ワサビ達が聞き出した情報によると、まず、我々が伯爵様と呼んでいた軍の統括ですが、伯爵ご本人ではありませんでした。
伯爵の当主は彼の兄だそうです。
エアグラフ家は、御当主様と軍の統括は別だそうで、大体が継がせる爵位がない兄弟をつけるそうです。
ですので、結婚はせずに、跡継ぎをもうけないのが表のルールだそうです。
それが不満で、兄が居なければ的な発言があるそうです。
しかし、たいした能力もなく、軍の指揮自体は現場の隊長達が行っているそうで、お飾りの事務方だそうです。
どうも、今回の襲撃は、そんな実力のない統括が、困っている我々を颯爽と助けて恩を売ろうとした自作自演のようです。
それが、我々にあっさり襲撃は阻止され、逃がした上に、子供に良いようにあしらわれたという醜態をさらしたわけですな」
「小物感ハンパないな」
お兄様も容赦ないですわ。
「ただ、兄の伯爵が、きな臭いかもしれません。
ワサビ達が探ると言ってます」
「え、そんな暗部みたいなこともできますの?」
「今回のことで、セイラー様が、影の護衛もつけようかとおっしゃってるらしく、ワサビ達と連絡取り合うことにしたそうです」
「え?めっちゃ会いたい!」お兄様が喜んでますわ。
もしや、こういうのが、チーム守護天使?
翌朝、出掛けると、伯爵、あ、違いますわね、統括さんが出待ちしてました。
「昨日は、よくもやってくれましたね?」
いきなりですの?
「いやぁ、魔物の襲撃など、想定外でしたからな。
待ち合わせ場所など決めておりませんでしたから、探させてしまいましたか?
まぁ、でも、馬車でわかりそうなものですが、裏口の方にしまってありましたか?
というか、魔物の襲撃などは、エアグラフ軍の領分だと思うのですが、
この領地は多いのですか、魔物の襲撃は?」
先生が何事もなかったように話を続けます。
「昨日の話を聞いていないのですか?!」
「ああ、貴方の偽物がエアトル侯爵家の後継を拐おうと乗り込んできた、というものでしょう?
その事についても、治安などもエアグラフの領分ではないのですか?
なぜ、双子が少ない人数で移動しているのがバレているのでしょう?
これは由々しき事態だと貴方もお考えなのですね?
もしや、領地に入ったから護衛が増えるというお話でしょうか?
そろそろ本邸にも到着しますよね?本邸の警備のご相談ですか?」
先生が畳み掛けます。
「ッチ!うるさい、さっさと移動を開始しろ!」
「いや、オマエが話かけてきたんだろ?」セリから殺気がでます。
「今日も朝から小物感満載」お兄様のイヤミも満載です。
「セリの殺気に気が付かないって、軍の統括がダメじゃろ」先生がため息まじりです。
そして、お昼頃、「ここだ」と統括さんに案内された場所。
それは古い別荘でした。
「…やっぱりか」先生が額に手を当てうなだれています。
「ですから、今、初めて声を聞きました。そんなに声を判別できるほど、会話しましたか?
騎士様とおっしゃいましたが、3人ぐらい騎士様が並んでドア越しで声をかけられたら判別つかない自信がありますが」
シラヌイ様がこう言うと、お兄様は肩を震わせて笑っています。
確かに、会話らしい会話してませんわ。
「ええい、無礼な!良いから扉を開けないか!!ぶち破るぞ!!」
「宿の方!逃げなさい!こんないきなり乱暴するのがエアグラフ伯爵ゆかりの者であるはずがない!!
警備兵を呼びなさい!」
「ハイッ!!!」パタパタと足音が遠ざかります。「いや、待てッ!!クソっ!!」バタバタともうひとつの足音も遠ざかります。
口を押さえて我慢していたお兄様。
足音が十分遠ざかってから「ぶわははははは!!!!」ソファを叩いて笑いだします。
「やるねぇ、シラヌイ様、面白かった!!さりげなくエアグラフの名前も入れたし!」
「ええ、いい加減、俺も腹立ってたんで」
そう言って、二人で顔を見合せると「「グフッ、ワハハハ」」と笑いだしました。
あらやだ、お二人とも仲良しさんになったじゃないですか。
十分笑ったあと、
「さぁて、この後、どうなるかなぁ?」お兄様がうーん、と腕を組みます。
「そろそろ、テン爺も帰って来ると思うんですよね。それからでも良いんじゃないですか?」
「まぁ、そっか。ワサビ達が捕えたヤツから何か聞き出してるかなぁ」
「忠誠心無いヤツだといいですね」
「「ああ、なるほど」」お兄様と二人納得してしまいました。
その後、わりとすぐに先生達が帰って来たので、先程の出来事を話します。
「なんです、その悪役に成りきれない小物感は?」
「「ブフォ」」お兄様とシラヌイ様が吹き出します。
「ワサビ達が聞き出した情報によると、まず、我々が伯爵様と呼んでいた軍の統括ですが、伯爵ご本人ではありませんでした。
伯爵の当主は彼の兄だそうです。
エアグラフ家は、御当主様と軍の統括は別だそうで、大体が継がせる爵位がない兄弟をつけるそうです。
ですので、結婚はせずに、跡継ぎをもうけないのが表のルールだそうです。
それが不満で、兄が居なければ的な発言があるそうです。
しかし、たいした能力もなく、軍の指揮自体は現場の隊長達が行っているそうで、お飾りの事務方だそうです。
どうも、今回の襲撃は、そんな実力のない統括が、困っている我々を颯爽と助けて恩を売ろうとした自作自演のようです。
それが、我々にあっさり襲撃は阻止され、逃がした上に、子供に良いようにあしらわれたという醜態をさらしたわけですな」
「小物感ハンパないな」
お兄様も容赦ないですわ。
「ただ、兄の伯爵が、きな臭いかもしれません。
ワサビ達が探ると言ってます」
「え、そんな暗部みたいなこともできますの?」
「今回のことで、セイラー様が、影の護衛もつけようかとおっしゃってるらしく、ワサビ達と連絡取り合うことにしたそうです」
「え?めっちゃ会いたい!」お兄様が喜んでますわ。
もしや、こういうのが、チーム守護天使?
翌朝、出掛けると、伯爵、あ、違いますわね、統括さんが出待ちしてました。
「昨日は、よくもやってくれましたね?」
いきなりですの?
「いやぁ、魔物の襲撃など、想定外でしたからな。
待ち合わせ場所など決めておりませんでしたから、探させてしまいましたか?
まぁ、でも、馬車でわかりそうなものですが、裏口の方にしまってありましたか?
というか、魔物の襲撃などは、エアグラフ軍の領分だと思うのですが、
この領地は多いのですか、魔物の襲撃は?」
先生が何事もなかったように話を続けます。
「昨日の話を聞いていないのですか?!」
「ああ、貴方の偽物がエアトル侯爵家の後継を拐おうと乗り込んできた、というものでしょう?
その事についても、治安などもエアグラフの領分ではないのですか?
なぜ、双子が少ない人数で移動しているのがバレているのでしょう?
これは由々しき事態だと貴方もお考えなのですね?
もしや、領地に入ったから護衛が増えるというお話でしょうか?
そろそろ本邸にも到着しますよね?本邸の警備のご相談ですか?」
先生が畳み掛けます。
「ッチ!うるさい、さっさと移動を開始しろ!」
「いや、オマエが話かけてきたんだろ?」セリから殺気がでます。
「今日も朝から小物感満載」お兄様のイヤミも満載です。
「セリの殺気に気が付かないって、軍の統括がダメじゃろ」先生がため息まじりです。
そして、お昼頃、「ここだ」と統括さんに案内された場所。
それは古い別荘でした。
「…やっぱりか」先生が額に手を当てうなだれています。
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