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打倒、物語の強制力

幕間 チーム最終兵器ができるまで

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「アンさん、今すぐユーディリア様の部屋に行って下さい!
エミリオ様とユーディリア様が、誘拐の承諾をしました!」

「は??」

「いいから、早く!!」

「ちょ、え、え??」

ハジカミは、アンをユーディリアの部屋に向かわせると、次にテン爺の所に向かった。

「爺さん!大変だ!今、客間に厄介な客がいる。
そいつから、爺さん自身がエミリオ様達と一緒に領地に行く許可をもぎ取ってくれ!!」

「は??」

「時間がないんだ、早く!」

「厄介な人間と意味もわからず交渉できるか!!
説明せぇ!!」

「クソババァ様が馬車の事故で死んだかもしれん。
アスビル商会から今後も金を引き出すのに、双子を商会から遠ざけるから領地へ幽閉するって言って、今、迎えに来てるのが客間にいるヤツだ。
セリ一人しか一緒に行けない。爺さんもなんとかついていってくれ!
死ねば良いのにと思ってたヤツが実際死んだら余計に厄介って、なんなんだよ!?
エミリオ様からの手紙を持って俺は、センバ商会へ走る。
爺さん、頼んだ!!」

それだけしゃべるとハジカミは執務室へ走る。

「オイオイオイ、説明が足りんぞ。
クソババァ様って事は、若奥様じゃな?馬車の事故で死んだかもしれんと?
つまり、この屋敷に現侯爵が来て、もしかすると双子の父親が住む事になるのか?
あの子らが追い出される形になるのか?
そりゃわしも一緒に行かねば。
本当に領地の本邸に連れて行かれるのか?
セリも一緒に行くと行ってたな。セリの相棒はどっちだ?
そいつを御者にして、二人が連れて行かれた場所を特定して知らせねば。
どれ、まずは、客間のヤツと交渉かの」

テン爺はよっこいしょ、と立ち上がり、客間へ向かう。

執務室へついたハジカミ。

「エミリオ様、手紙できました?」
「そんなに早く書けるか!まず、セバスと一緒に僕の荷物を頼む。書けたら呼ぶ」
「了解っす!セバスさん、どっから手つければいいですか?」
「ああ、待ってた。下着から、服を頼む。動きやすいもの中心に。一応礼服も一式」
「了解!!」

バタバタと動き回る二人。
そこにユーディリアが到着。

「お兄様、指示出してきましたわ」

「ディ、シラヌイ様とイチイ嬢にお手紙書いて。
あの二人が怒ったら、破壊活動程度で済めばいいけど、天変地異ばりの暴走が起こる。それは避けたい。
くれぐれも、くれぐれも、夫人とヒサギ様の指示に従うようにって」

「確かに。辺境と王都の両方から、竜巻が攻めてくる感じですわね?」

「「「うわぁ、そんな絵が見える…」」」セバスとハジカミ、そしてエミリオ、そこにいた全員の手が一瞬止まった。

「でも、それなら一言、カードで良いから、お兄様もイチイ嬢にメッセージを送るべきですわ。
〝待て〞って」

「犬のしつけみたいだね?」エミリオが素面でユーディリアに言う。

「んー、どっちかって言ったら、ご褒美ですわ。
そのカードを糧に、イチイ嬢には待ってていただきましょう」

「わかった、夫人へのお手紙と一緒にイチイ嬢にカードを添えよう」
そう言って、二人は手紙を書き始める。

そこにテン爺がやってきた。

「お二人とも、領地へ行くという話ですが、わしもご一緒しますぞ。
母親の事故死に憔悴しているのなら、医者も一緒の方が信憑性が高まりましょう。
大丈夫、客間の伯爵様からは、許可を取って来ましたぞ」

そう言って机に向かっている双子を抱きしめる。

「「先生……!!」」

「貴方達を助けたいと思う人間は意外と多いですぞ。
今は不安しかないと思います。
でも、大丈夫です。
貴方達の後ろには戦争も辞さないセンバがいるんです。
むしろ、なだめるのに苦労すると思いますよ?」

「「うふふ、ハイ」」

双子がテン爺の胸に顔を埋める後ろで、セバスとハジカミは深々と頭を下げていた。
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