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打倒、物語の強制力

風雲急を告げる

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辺境伯ご家族と過ごした日々から2ヶ月経ち、来月には辺境へ皆でお邪魔することだし、そろそろ計画も立てないとね、なんて話が出た、そんな時期でした。

「来月には夏の長期休暇が始まります。その後、新学期です。
今年、ミツバとセリが新入学なので、エミリオ様達と一緒に辺境へ一旦帰って、準備をさせたいんですが、大丈夫ですかね?」
ハジカミが確認にきました。

そうそう、この学園は9月始まりの2学期制で、
9月~12月までが前期
1月は冬の長期休暇
2月~7月までの後期(5月に1週間ほどの中休みがある)
8月が夏の長期休暇で1年終了なのだ。

「ミツバ達が言うには
1年で一般教養を終わらせて2年3年で騎士科と官吏科、4年5年でメイド科に通う予定だそうです。
なんでも、同学年の横の繋がりを各方面に作っておきたいんだそうです。
で、最後をメイド科にする理由が、淑女科と合同授業で、お茶会があるそうなんです。
そこで、淑女科にいるどっかの夫人になる予定の女性達も見ておくとの事です。
そういう考え方もあったな、と思って、俺も各方面に横の繋がりを作るのに騎士科と従者科にも通っておこうかと思いました。
俺も学園に通う期間長くなっても大丈夫ですかね?
シラヌイ様の手助け、期待していいですかね?」
ハジカミがお兄様にそう言うと

「ぐぬぬぬぬ、ものすごく、ものすごく悔しいが、あの、ディ泥棒め、官吏科の勉強をもう始めてて、本当に前期で終わらせるつもりらしい。優秀らしい。僕とハジカミから言えば大喜びで手伝ってくれると思うっ、だがぁぁ」
机に突っ伏して、拳で机をガンガン叩きながらお兄様は悔しがります。

「ね、お兄様。
お兄様のお仕事が楽になって、私と一緒に過ごせる時間が増えると思えば、
私はシラヌイ様に感謝しかないんですのよ?
もちろん、ハジカミ達もよ?いつもありがとうね」
にっこり笑って、ハジカミにお礼を言います。

「見ましたか、エミリオ様!!!
あなたに必要なのは、この寛大さです!!」
ハジカミがお兄様の肩をバンバン叩いて励まし?ます。

「痛いし!わかってるし!!
理解しても、感情が追い付かないことあるだろう!!
僕のディがぁ!!
アイツが優秀じゃなければ、イチャモンつけて、遠ざけるのに、
優秀って、なんなんだよぉ」

「優秀で良いじゃないですか!
あと10年も経てば、ユーディリア様とシラヌイ様が一緒にいる姿にも慣れますって!!
それだけの時間を貰えたと思いましょうよ!
10年、エミリオ様が全力で八つ当たりしても、シラヌイ様はキチンと受け止めてくれますよ!!」

「ハジカミ?!励ましなのか、イヤミなのか判別がつかないんだけど?!」

「さすが、エミリオ様、両方です!!」

「コイツ、めっちゃ腹立つ!!!」

ぎゃあぎゃあと、お兄様と全力で言い合えるハジカミの存在が嬉しく思ってると

「なんかディが聖母の微笑みになってる?!え、違うからね?!」

「ウフフ、お兄様、大好きですわ!!」
楽しくなってお兄様に抱きついた。

「うん、全く脈絡の無い安定のディ品質。安心する」
お兄様もぎゅっとしてくださいました。



そんなほのぼのとした時間を過ごしていたら、ドタドタと騒がしい音がして、家令のセバスが、文字通り転がり込んできました。

「ぼっちゃま、大変です!!」

「うぉい、どうしたセバス、そんなに慌てて?まず、落ち着け?」

はぁはぁはぁ、とセバスが息を調えます。

「はい。
今、連絡が入りました。
……奥様が馬車の事故にあったそうです。生死不明です」


「「「……は?」」」
お兄様、私、ハジカミの3人ともフリーズしてしまいました。
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