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溺愛に、振り回される?振り回す?

芸術家、という生きもの

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双子が夫人達とわちゃわちゃしてる頃。
別の部屋では、辺境伯が床に座って、二人の子供の相手をしていた。

「ぱぱ、じゃない、お父様!!天使達とお揃いのお洋服を買ってくれるって、本当ですか?!」
「ああ、今、ヒサギがとんでもない量の商品を運び込んでたから、一緒に選んでるんじゃないか」

アカシアは、辺境伯の肩に担がれ、髪の毛を引っ張っている。

「綺麗なお洋服に囲まれた天使達。み、見たい…」
「ダメだ!イチイが鼻血を吹き出したら商品がダメになってしまうだろう!!大人しく、アカシアの面倒をみて一緒に遊んでてくれ。あ、そうだ、画家のアイツが来るぞ。先にアカシアのデッサンをするらしいから、アカシアをご機嫌にさせてくれって言われてたんだ」

アカシアは、辺境伯の肩に登ろうとじたばたしている。なかなかに良い音で辺境伯の胸を蹴っている。

そんな時、コンコンコンとノックの音がして「旦那様、お客様がお越しでございます。お通ししてよろしいですか?」と執事の声がした。
「おお!良いタイミングだ!連れて来てくれ!」
と入って来たのが、黄色い髪と瞳で背の高い、というか、ひょろひょろの男だった。

「久しぶりだな、シィベリ、相変わらず顔色悪いなぁ。メシ、食ってるか?」
「僕のそんな心配をするのはお前だけだよ。ニワトコも相変わらずだなぁ。
…なかなかの音で蹴られてるけど、なんともないんだね?
こんにちは、イチイちゃん。おじさんの事、覚えてる?」
「ハイ!こんにちは、しーおじ様!こっちがアカシアです。私の弟なの!!」
イチイは、じたばたしているアカシアをヒョイと抱き上げて、ひょろい男に差し出した。

「イチイちゃんも相変わらず力持ちだね。普通、暴れる赤ちゃんを5歳児で抱っこはムリ!!
なのに、なにこの安定感。僕より力有るんじゃない?」
「あると思います!」イチイは元気一杯答えます。

「恥じらうとか、ないんだね。…うん、イチイちゃんも相変わらずでなによりだよ。
で、今日描くのはこの子?アカシアくん、だっけ?」

「アカシアだけじゃなく、家族の肖像画にしたいんだ。
それと、そこに子供を2人足したい。
将来の俺の義理の息子とその妹だ」

「…ってことは、イチイちゃんの婚約者?
おお!イチイちゃんも婚約者を持つまでになったのか、って、5歳じゃ早くない?!」

アカシアは、下に降りようと、じたばたもがく。

「センバの唯一を知ってるだろう?
イチイはそれをもう見つけたんだ。ただ、まぁ、ちょっと問題が無くもない、が、俺の女神がなんとかするだろう!!」

暴れる乳幼児をものともせず、小脇に抱えるイチイ。

「相変わらず、セイラーちゃんに丸投げかよ。まぁ、それが一番丸く収まるんだけどな。
よし、まぁいいや。僕に関係無いし。先にアカシアくんのデッサンやっちゃおう!
イチイちゃん、じたばたするアカシアくんを宙吊り状態で小脇に抱えるって、どんな腕力?
まぁいいや。イチイちゃんとアカシアくんの遊んでる姿、見たい」
そう言って男は、いそいそと紙を取り出して、書き始めた。

「アカシア、何して遊ぶ?」
そう言ってイチイは、小脇に抱えて居たアカシアを抱っこし直た。
「あ、たかいたかい、する?」
そう言うと、ポーンと放り投げた。

「あっきゃあーー!!」
アカシアは笑顔で、空中で手足をバタバタさせている。

「姉弟って良いなぁ」辺境伯に止める気配はナイ。

「さっすが、センバだね~」男はニコニコと鉛筆を走らせていた。
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