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溺愛に、振り回される?振り回す?
肖像画
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「ハッ、まま、じゃない、お母さま、わたし今、天国を見たの!
天使達が赤ちゃんと仔犬とじゃれついていたの!
この光景を、後世に残さないのは人類のそんしつだとおもうのです!
そうよ!!ママ!!わたし画家になるッ!!」
イチイ嬢が飛び起きて、夫人に詰め寄ります。
「貴女が画家にならなくても、本職を呼んであげるわ。一緒に描いて貰えばいいじゃない」
ほら、と夫人が私達の方を指差します。
ギギギと音がしそうなぎこちなさで、こっちを振り向くイチイ嬢。
お兄様と二人、笑顔で手を振ってみました。
「ギャーーー!」
イチイ嬢は白目を剥いて倒れた!
「笑顔はまだダメよ!笑顔は!」
夫人に怒られてしまいました。
「まぁでも、画家を呼んで描いて貰いましょう。アカシアも生まれたから、家族の肖像画、新しく描いて貰おうと思ってたから丁度いいわ。
エアトル家のお抱えの画家は居る?その人なら、貴方達を描き慣れてるかしら。そしたらそれを辺境に持って行けば、イチイのリハビリに使えそうじゃない?」
「いや、僕達、肖像画描いて貰ったことないです。我が家に誰かの肖像画、あった?」
さぁ?とお兄様と二人、首をかしげます。
「セバスに聞いてみましょうか?家に言付けをお願いすることになりますが」
お兄様は申し訳なさそうに続けます。
「いえ、ならば私達と一緒に描いて貰いましょう。
将来、家族になる予定だし?」
ウフフ、と夫人はいたずらっぽく笑います。
「イチイと結婚したら、貴方は私達の息子になるのだもの。
勇者の再来のイチイとお守り様は切っても切れない信頼の相棒、家族なのよ。
そして、私達の息子になるエミリオくんの最愛の双子の妹のユーディリアちゃんは、お守り様の唯一無二のお世話係。
もう未来の家族の一員よ?
私達から離れようとしても、もう、離さないんですからね?」
覚悟してね?と夫人は私達を抱きしめました。
私とお兄様は夫人の胸の中で、コクリ、とうなずくしかできませんでした。
「一緒に描いて貰うなら、皆でお揃いの服にしたら、楽しいと思わない?
でも一週間じゃ用意できないから、既製品になるけれど、それでも良いかしら?
ということで、明日は画家と商会を呼ぶわ。
画家のあの子も、まぁ、変わってるから、気にしないでね」
夫人は私達の頭を撫でながら言うと
「アレを変わってる、の一言で済ませて良いのか?
確かに腕は良いのだ。
おう、そうだ、アレが描いた絵、ここにも有っただろう、見るか!」
そう言って、辺境伯様はアカシアくんを夫人に預けて私達を案内し始めた。
お屋敷の一部屋に案内されたお兄様と私。
「絵が痛むというからな、飾ってない物は日陰にしておけというのでな、カーテンを締め切って布を掛けている」
そういって、いそいそとカーテンを開け始める。
「さぁ見てくれ、俺の女神と天使の肖像画だ!!」
辺境伯様が取っ払った布。
そこには、
生まれたての赤ちゃんを愛おしそうに見つめる女神のような夫人と
なんの憂いもなく眠るイチイ嬢の姿があった。
無い物ねだりだとは分かっている。
でも、
その愛情のヒトカケラ、お裾分けを頂いた気がした。
ぼーっとその絵を見ていたら
お兄様に手をぎゅっと握られて横を向くと、くしゃっとした顔のお兄様が私の頬に手を添えた。
その瞬間、お兄様と一緒に乱暴に引き寄せられた。
私達は辺境伯様の腕の中に居た。
天使達が赤ちゃんと仔犬とじゃれついていたの!
この光景を、後世に残さないのは人類のそんしつだとおもうのです!
そうよ!!ママ!!わたし画家になるッ!!」
イチイ嬢が飛び起きて、夫人に詰め寄ります。
「貴女が画家にならなくても、本職を呼んであげるわ。一緒に描いて貰えばいいじゃない」
ほら、と夫人が私達の方を指差します。
ギギギと音がしそうなぎこちなさで、こっちを振り向くイチイ嬢。
お兄様と二人、笑顔で手を振ってみました。
「ギャーーー!」
イチイ嬢は白目を剥いて倒れた!
「笑顔はまだダメよ!笑顔は!」
夫人に怒られてしまいました。
「まぁでも、画家を呼んで描いて貰いましょう。アカシアも生まれたから、家族の肖像画、新しく描いて貰おうと思ってたから丁度いいわ。
エアトル家のお抱えの画家は居る?その人なら、貴方達を描き慣れてるかしら。そしたらそれを辺境に持って行けば、イチイのリハビリに使えそうじゃない?」
「いや、僕達、肖像画描いて貰ったことないです。我が家に誰かの肖像画、あった?」
さぁ?とお兄様と二人、首をかしげます。
「セバスに聞いてみましょうか?家に言付けをお願いすることになりますが」
お兄様は申し訳なさそうに続けます。
「いえ、ならば私達と一緒に描いて貰いましょう。
将来、家族になる予定だし?」
ウフフ、と夫人はいたずらっぽく笑います。
「イチイと結婚したら、貴方は私達の息子になるのだもの。
勇者の再来のイチイとお守り様は切っても切れない信頼の相棒、家族なのよ。
そして、私達の息子になるエミリオくんの最愛の双子の妹のユーディリアちゃんは、お守り様の唯一無二のお世話係。
もう未来の家族の一員よ?
私達から離れようとしても、もう、離さないんですからね?」
覚悟してね?と夫人は私達を抱きしめました。
私とお兄様は夫人の胸の中で、コクリ、とうなずくしかできませんでした。
「一緒に描いて貰うなら、皆でお揃いの服にしたら、楽しいと思わない?
でも一週間じゃ用意できないから、既製品になるけれど、それでも良いかしら?
ということで、明日は画家と商会を呼ぶわ。
画家のあの子も、まぁ、変わってるから、気にしないでね」
夫人は私達の頭を撫でながら言うと
「アレを変わってる、の一言で済ませて良いのか?
確かに腕は良いのだ。
おう、そうだ、アレが描いた絵、ここにも有っただろう、見るか!」
そう言って、辺境伯様はアカシアくんを夫人に預けて私達を案内し始めた。
お屋敷の一部屋に案内されたお兄様と私。
「絵が痛むというからな、飾ってない物は日陰にしておけというのでな、カーテンを締め切って布を掛けている」
そういって、いそいそとカーテンを開け始める。
「さぁ見てくれ、俺の女神と天使の肖像画だ!!」
辺境伯様が取っ払った布。
そこには、
生まれたての赤ちゃんを愛おしそうに見つめる女神のような夫人と
なんの憂いもなく眠るイチイ嬢の姿があった。
無い物ねだりだとは分かっている。
でも、
その愛情のヒトカケラ、お裾分けを頂いた気がした。
ぼーっとその絵を見ていたら
お兄様に手をぎゅっと握られて横を向くと、くしゃっとした顔のお兄様が私の頬に手を添えた。
その瞬間、お兄様と一緒に乱暴に引き寄せられた。
私達は辺境伯様の腕の中に居た。
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