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溺愛に、振り回される?振り回す?
デジャヴ、プラス犬
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お手紙には、ご令嬢の体調は大丈夫?なんか私達を見て、倒れた気がするんだよね~てへぺろ☆と貴族的な言い回しで書いてみた。お兄様が。
もし、本当に私達が原因で倒れたのなら、もうご令嬢には近づかないようにする、とも一言添えたらしい。
そしたら、次の日、夫人から屋敷に来て欲しいとの連絡を貰った。
「急に来て貰ってごめんなさいね。
うちの娘の事なんだけど…
先に伝えておくわ。
イヤなら、ハッキリ言ってちょうだいね?
じゃないと、センバの執着はしつこいから。お互いの為よ?」
ふぅ、と一つため息をついて夫人は続けた。
「……うちの娘が、血を吹いて倒れたでしょう?
あれ……鼻血だったのだけれど、目覚めてから話を聞いたら、天使達を見たと言い張るのよ。
で、自分はもう、あの天使達の下僕だ、神はどうでもいいが、あの天使達のために教会に入って祈りを捧げて生きる!!とか言い出しちゃって。
夫が必死に力ずくで止めてたの。
裏の訓練場、ボコボコよ?
そんな事をしてたら、貴方達から手紙を貰って。
天使って、貴方達の事なのね?」
「「た、たぶん…?」」
「そう。
それで、訓練場で、攻防を続けていた二人を氷で閉じ込めて、娘に、もしかしたら、天使じゃなく生身の人間じゃないか、心当たりがあって、明日来てもらうから、それを確かめてから、本当に教会に入るかどうか決めなさい、と告げて、落ち着かせたのよ」
「え、じゃぁ、僕達じゃなかったら?」
「教会に入るらしいわ。
まぁ、センバがこうと決めたら止めても無駄だもの。
だから、貴方達じゃなくても責任を感じる必要はないわよ。
まだ5歳なのに、立派にセンバしちゃってて、良いのか悪いのか。
逆に、本当に貴方達だった場合、どうするか、なのよねぇ。
……ちなみに、エミリオくん、婚約者、いないわよね?」
「…いないですね」
「もし、本当に貴方達だった場合、いっくらでも、条件付けてくれていいから、
(仮)でもいいから、婚約をしてもらう事は可能かしら?」
「えっと、会って、ご本人を確かめてからでもよろしいでしょうか?」
「ええ、もちろん。
あの野生児そのものの姿を見て、最初から拒否されなかっただけでも、やっぱり、貴方達、いい子達ねぇ。
条件に淑女教育を入れてくれたら、やるんじゃないかしら?」
「ああ、家の中はいいですけど、外では貴族的な表面は取り繕って欲しいですね」
「切り替え、大事よねぇ。うちの夫とかソレ、苦手なのよねぇ。
…その血を継いでるのよねぇ。
まずは、二人とも娘に会ってみて貰える?
天使達って言ってたから、ユーディリアちゃんもだと思うのよ」
「承知しました」
「大丈夫、いくらセンバでも取って食べたりしないわ。
気軽にお茶してちょうだい。庭に用意してあるの。案内するわね」
そう言って連れて行かれた庭のガゼボには、件のご令嬢と、膝に犬を抱いた辺境伯様が座っていた。
「お待たせ、イチイの言っていた天使かもしれない子達よ」
お兄様がまずは辺境伯様にご挨拶する。
「辺境伯様、お久しぶりでございます。お変わりございませんか?」
「ああ、ありがとう、君達は相変わらず礼儀正しいなぁ。
昨日、きちんと紹介出来なかったが、この子が我が愛娘のイチイだ」
…イチイ嬢の返事がない。
お兄様と顔を見合わせて、私達からご挨拶してみる事にした。
「はじめましてご令嬢、エアトル家嫡子エミリオ・エアトルと申します」
「その妹のユーディリア・エアトルです。よろしくお願いします」
お兄様がお辞儀を、私がカーテシーをする。
返事がない。…なんか屍のようだ?
「二人とも、顔を上げて。イチイ、どうしたの?顔色悪いわよ?」
夫人がそう言った瞬間
「て、てんししゃま、ほんものぉぉぉ!!」
そう言って、再び鼻血を吹き出し、後ろに倒れたイチイ嬢と
慌てて抱き止める辺境伯様。
そして、
何故か辺境伯様の膝に乗っていた犬が、私達にダイブしてきた。
もし、本当に私達が原因で倒れたのなら、もうご令嬢には近づかないようにする、とも一言添えたらしい。
そしたら、次の日、夫人から屋敷に来て欲しいとの連絡を貰った。
「急に来て貰ってごめんなさいね。
うちの娘の事なんだけど…
先に伝えておくわ。
イヤなら、ハッキリ言ってちょうだいね?
じゃないと、センバの執着はしつこいから。お互いの為よ?」
ふぅ、と一つため息をついて夫人は続けた。
「……うちの娘が、血を吹いて倒れたでしょう?
あれ……鼻血だったのだけれど、目覚めてから話を聞いたら、天使達を見たと言い張るのよ。
で、自分はもう、あの天使達の下僕だ、神はどうでもいいが、あの天使達のために教会に入って祈りを捧げて生きる!!とか言い出しちゃって。
夫が必死に力ずくで止めてたの。
裏の訓練場、ボコボコよ?
そんな事をしてたら、貴方達から手紙を貰って。
天使って、貴方達の事なのね?」
「「た、たぶん…?」」
「そう。
それで、訓練場で、攻防を続けていた二人を氷で閉じ込めて、娘に、もしかしたら、天使じゃなく生身の人間じゃないか、心当たりがあって、明日来てもらうから、それを確かめてから、本当に教会に入るかどうか決めなさい、と告げて、落ち着かせたのよ」
「え、じゃぁ、僕達じゃなかったら?」
「教会に入るらしいわ。
まぁ、センバがこうと決めたら止めても無駄だもの。
だから、貴方達じゃなくても責任を感じる必要はないわよ。
まだ5歳なのに、立派にセンバしちゃってて、良いのか悪いのか。
逆に、本当に貴方達だった場合、どうするか、なのよねぇ。
……ちなみに、エミリオくん、婚約者、いないわよね?」
「…いないですね」
「もし、本当に貴方達だった場合、いっくらでも、条件付けてくれていいから、
(仮)でもいいから、婚約をしてもらう事は可能かしら?」
「えっと、会って、ご本人を確かめてからでもよろしいでしょうか?」
「ええ、もちろん。
あの野生児そのものの姿を見て、最初から拒否されなかっただけでも、やっぱり、貴方達、いい子達ねぇ。
条件に淑女教育を入れてくれたら、やるんじゃないかしら?」
「ああ、家の中はいいですけど、外では貴族的な表面は取り繕って欲しいですね」
「切り替え、大事よねぇ。うちの夫とかソレ、苦手なのよねぇ。
…その血を継いでるのよねぇ。
まずは、二人とも娘に会ってみて貰える?
天使達って言ってたから、ユーディリアちゃんもだと思うのよ」
「承知しました」
「大丈夫、いくらセンバでも取って食べたりしないわ。
気軽にお茶してちょうだい。庭に用意してあるの。案内するわね」
そう言って連れて行かれた庭のガゼボには、件のご令嬢と、膝に犬を抱いた辺境伯様が座っていた。
「お待たせ、イチイの言っていた天使かもしれない子達よ」
お兄様がまずは辺境伯様にご挨拶する。
「辺境伯様、お久しぶりでございます。お変わりございませんか?」
「ああ、ありがとう、君達は相変わらず礼儀正しいなぁ。
昨日、きちんと紹介出来なかったが、この子が我が愛娘のイチイだ」
…イチイ嬢の返事がない。
お兄様と顔を見合わせて、私達からご挨拶してみる事にした。
「はじめましてご令嬢、エアトル家嫡子エミリオ・エアトルと申します」
「その妹のユーディリア・エアトルです。よろしくお願いします」
お兄様がお辞儀を、私がカーテシーをする。
返事がない。…なんか屍のようだ?
「二人とも、顔を上げて。イチイ、どうしたの?顔色悪いわよ?」
夫人がそう言った瞬間
「て、てんししゃま、ほんものぉぉぉ!!」
そう言って、再び鼻血を吹き出し、後ろに倒れたイチイ嬢と
慌てて抱き止める辺境伯様。
そして、
何故か辺境伯様の膝に乗っていた犬が、私達にダイブしてきた。
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