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幼少期
エアトル家、風前の灯 2
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席を離れると、辺境伯夫人が近くにいたメイドに、
「センバとエアトル家の者を呼んで貰えるかしら。
あそこで騒いでる馬鹿をこちらで回収するわ。手間をかけさせるわね」
「いいえ!かしこまりました!」
そう言って、私達の生物学上の父親が騒いでる場所に近づいて行く。
「お兄様、寒い気がしません?」
「そりゃあ、夫人が怒ってるもの。冷気ダダモレ。あんなに静かに激怒するって出来るんだねぇ、スゴいや。
夫人が激怒してくれてるから、ちょっと落ち着いたけど、
僕だったら、魔力暴発の事故を装ってぷちっとヤってしまいそうだったよ。
さすがに、王城で殺人はマズイよねぇ?でも、魔法習いたての制御できない子供なら許されそうじゃない?」
その瞬間、夫人がクルっとこっちを向いた。
「魔法制御の権化みたいな子が、何言ってるの。でも、私もちょっと落ち着いたわ。
さて、どうしてくれようかしら?」
頬に手を当てて考える姿さえ優美です、夫人。
夫人の姿が見えたのだろう、父親が驚いた声をあげた。
「なぜ、アイシア公爵家の方がこちらに来られるのか?私はエアトル家の双子を出せと言っているのだ!」
「それがこの子達ではなくて?」
「アイシア公爵家の方を煩わせるなど、やはりおまえ達は役に立たない出来損ないだな!
申し訳ない、アイシア公爵家の方、コイツらは、あとでキツく叱っておきます。
こんなやつらではなく、私の愛娘を紹介させて下さい。
あ、もしやアイシア家直々に茶会の会場に案内してくださるとか?
やはり、公爵家の方は、次期侯爵の私の扱い方も心得あがぁ?!」
「これ以上、妄想に付き合いきれませんわ」
夫人は、いきなり父親の口を凍らせた。
「奥様!遅くなりました!何がありましたか?!」
そこにセンバ家の執事とメイドがやって来た。
「ごめんなさいね、急に呼び出して。
ゴミを回収して帰る事になったの。
今、溶かすから、猿轡噛ませて回収して、我が家へ。エミリオくん達は私と一緒に。
ええっと、それから、アナタは、だぁれ?」
父親の足にしがみついて女の子がひとり、ボロボロ泣いている。
「本当に、連れて来やがった。
夫人、多分、この子は僕達の異母妹だと思われます」
夫人は、額に手を当てて、天を仰いだ。
「ああ、確かに愛娘を紹介するとかなんとかほざいていたわね。
この人はアナタのお父様?一緒に暮らしている?」
夫人がしゃがんで目線を合わせて尋ねると、女の子はコクコクと頷いた。
「ナルホド。常識のカケラもないのね。さて、ここはお城ということはわかるかしら?」
コクコクコク。
「アナタのお父様は、お城でやってはいけないことをやってしまったの。
だから、お話を聞かなくちゃいけないの。だけど、暴れるから捕まえる事になったわ。
アナタにも少しだけお話聞かなくちゃいけないの。素直にお話してくれたら、すぐ終るわ。
そしたら、お家に帰れるから、我慢してキチンとお話して欲しいのよ」
ボロボロ涙を流しながら、コクコクコク。
「では、メイドを誰かつけて、安心させてやって。
……縛られてる父親を見るのは忍びないでしょうから、この子を父親とは別の馬車で我が家へ」
「お兄様、あの子は話が通じますかね?」
「家で生物学上の父親からどう聞いてるか、だよね。
でもまだ、矯正は可能そうだけど、どうなんだろうなぁ。
……僕達の話を、信じるか信じないかは、あの子次第、かな」
「センバとエアトル家の者を呼んで貰えるかしら。
あそこで騒いでる馬鹿をこちらで回収するわ。手間をかけさせるわね」
「いいえ!かしこまりました!」
そう言って、私達の生物学上の父親が騒いでる場所に近づいて行く。
「お兄様、寒い気がしません?」
「そりゃあ、夫人が怒ってるもの。冷気ダダモレ。あんなに静かに激怒するって出来るんだねぇ、スゴいや。
夫人が激怒してくれてるから、ちょっと落ち着いたけど、
僕だったら、魔力暴発の事故を装ってぷちっとヤってしまいそうだったよ。
さすがに、王城で殺人はマズイよねぇ?でも、魔法習いたての制御できない子供なら許されそうじゃない?」
その瞬間、夫人がクルっとこっちを向いた。
「魔法制御の権化みたいな子が、何言ってるの。でも、私もちょっと落ち着いたわ。
さて、どうしてくれようかしら?」
頬に手を当てて考える姿さえ優美です、夫人。
夫人の姿が見えたのだろう、父親が驚いた声をあげた。
「なぜ、アイシア公爵家の方がこちらに来られるのか?私はエアトル家の双子を出せと言っているのだ!」
「それがこの子達ではなくて?」
「アイシア公爵家の方を煩わせるなど、やはりおまえ達は役に立たない出来損ないだな!
申し訳ない、アイシア公爵家の方、コイツらは、あとでキツく叱っておきます。
こんなやつらではなく、私の愛娘を紹介させて下さい。
あ、もしやアイシア家直々に茶会の会場に案内してくださるとか?
やはり、公爵家の方は、次期侯爵の私の扱い方も心得あがぁ?!」
「これ以上、妄想に付き合いきれませんわ」
夫人は、いきなり父親の口を凍らせた。
「奥様!遅くなりました!何がありましたか?!」
そこにセンバ家の執事とメイドがやって来た。
「ごめんなさいね、急に呼び出して。
ゴミを回収して帰る事になったの。
今、溶かすから、猿轡噛ませて回収して、我が家へ。エミリオくん達は私と一緒に。
ええっと、それから、アナタは、だぁれ?」
父親の足にしがみついて女の子がひとり、ボロボロ泣いている。
「本当に、連れて来やがった。
夫人、多分、この子は僕達の異母妹だと思われます」
夫人は、額に手を当てて、天を仰いだ。
「ああ、確かに愛娘を紹介するとかなんとかほざいていたわね。
この人はアナタのお父様?一緒に暮らしている?」
夫人がしゃがんで目線を合わせて尋ねると、女の子はコクコクと頷いた。
「ナルホド。常識のカケラもないのね。さて、ここはお城ということはわかるかしら?」
コクコクコク。
「アナタのお父様は、お城でやってはいけないことをやってしまったの。
だから、お話を聞かなくちゃいけないの。だけど、暴れるから捕まえる事になったわ。
アナタにも少しだけお話聞かなくちゃいけないの。素直にお話してくれたら、すぐ終るわ。
そしたら、お家に帰れるから、我慢してキチンとお話して欲しいのよ」
ボロボロ涙を流しながら、コクコクコク。
「では、メイドを誰かつけて、安心させてやって。
……縛られてる父親を見るのは忍びないでしょうから、この子を父親とは別の馬車で我が家へ」
「お兄様、あの子は話が通じますかね?」
「家で生物学上の父親からどう聞いてるか、だよね。
でもまだ、矯正は可能そうだけど、どうなんだろうなぁ。
……僕達の話を、信じるか信じないかは、あの子次第、かな」
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