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幼少期
母親はどこまでも母親だった
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辺境伯夫人との面会から2週間後、母親と一緒のお茶会となった。
招待状を受け取った時の母親の反応は
「辺境伯夫人?伯爵位ってことよね?なによ、上の貴族の茶会に出ろだの、マナーだのなんだのって私に言ってくるくせに、子供達だって自分より下の貴族と親しくしているんじゃない。
伯爵位なら私も行ってあげるわ。あ、子供にお揃いの服を用意するから、明日から毎日商会に出掛けるわ」
と、手紙を渡したギャリクソンにのたまったらしい。
「コイツ、終わってるわぁ」
とは、お兄様の談だ。
そして、お兄様とお揃いのお洋服を着て(これは純粋に嬉しかった)辺境伯夫人のお茶会に出席した。
「ようこそお越し下さいました。セイラー・センバと申します」
「まぁ、その青色の髪は氷のアイシア家の方よね?!
格下の家にしか嫁げなかったなんて、お可哀想に!
ワタクシ、元は子爵家でしたが、強く望まれて侯爵家に嫁ぎましたのよ、やはり」「なにぶっこんでんだ、クソばばぁ!」「んなぁッ?!」
母親の後ろでお辞儀をしていたお兄様が、頭を下げたまま、怒りのあまりお言葉が乱れたツッコミをいれますが、そのままの体勢のため、母親は変な悲鳴を上げたまま、誰が言ったか分からずに辺りをキョロキョロしております。
まさか自分の息子に馬鹿にされると思ってなかったんでしょうね。
「後ろのお子様達は頭を上げて。その子達はとても素晴らしいご挨拶をしてくれているけれど、貴方は5歳児にも劣るのかしら?」
「はぁっ?!爵位が格下のくせにがワタクシを馬鹿にしていいと思っているの?!」
「望まれて侯爵家に入ったのにも係わらず、その家の事を何も学ばれていないの?
何を望まれて嫁いだの?実家のお金かしら?」
「なんって失礼なの!!侯爵家から抗議させてもらいますわよ!そうしたらどうなるか、わかっているんでしょうね?!そうなってから慌てて謝っても遅いのよ!
そうされたくなければ、今すぐ膝をついて謝りなさい!!」
「そうやって、伯爵位の者達を脅してきたのね。
まず、勘違いを正しましょう。
貴方は確かに侯爵家に嫁いだわ。
でも、現侯爵はまだ領地にいる貴方の夫の父親よね?」
「だからなんなのよ!」
「つまり、貴方は次期侯爵(予定)の妻でしかないのよ。
何かをするには侯爵の許可が必要、許可が出なければ何も出来ない。
つまり、現時点で伯爵夫人である貴方が脅してきた人達よりも、なんの権限もないわ」
「はぁ?!そんなわけないでしょう!侯爵家は伯爵家より偉いのよ!」
「爵位は上よ?
でも、実際侯爵家の権限を有して居るのは現侯爵様であって、貴方の夫でも、ましてや妻の貴方でもないわ。
継ぐために学んで、継いでようやく権限が認められて、領地を治めるのよ」
「継いだら領地に行かなくちゃいけないの?
イヤよ!王都を離れて辺鄙な所で暮らすなんてまっぴらだわ!
あら、エミリオが爵位を継ぐのよね?何歳から継げるの?」
「は?」
いきなりの突飛なの質問にお兄様も面食らった。
「なぁんだ、アンタも知らないんじゃない。
あんなに勉強勉強って、何も学んでないじゃない」
「15歳で後見人が居れば、仮爵位として、18歳になれば正式に継げますが、ナニカ?」
お兄様、殺気がダダモレです。
「アンタ達5歳よね?ならあと10年ってこと?
10年位、領地のお義父様もつわよね?
アンタが継いだら、ワタシはどうなるのよ」
「…正直まだ分かりませんが、引退した侯爵と同様の扱いになるかと。
多分、侯爵は引退後、領地の別荘で平穏に暮らして頂くかと」
「領地がイヤだって言ってるのよ!話を聞いてないの?!
王都に別邸を作ってちょうだい!そこで暮らすわ!
そうよ!!
領地のお義父様にあと10年頑張ってもらう。
その後はアンタが爵位を継いで領地に行く。
ワタシはそのまま王都で暮らす。
ほら、今と何も変わらないじゃないの!!
そうでしょう!
なら、継いで領地に行くアンタ達が学べば済む話じゃないの。
ワタシは関係ないわ!!」
「「「は???」」」
「なら、こんなに不愉快な思いも、もうしなくて良いってことよ。帰るわ!!!」
そう言って、ドスドスと〝ワタシ怒ってます〞アピールしながら本当に帰って行った我が生物学上の母親。
「ウソだろ?
子供置いて、本当に馬車乗って帰ったぞ」
「きょ、強烈だったわ。ある意味、無敵ね。
あれは王家のお茶会どころか、貴族の前に出しちゃダメよ」
…ですよね~。
招待状を受け取った時の母親の反応は
「辺境伯夫人?伯爵位ってことよね?なによ、上の貴族の茶会に出ろだの、マナーだのなんだのって私に言ってくるくせに、子供達だって自分より下の貴族と親しくしているんじゃない。
伯爵位なら私も行ってあげるわ。あ、子供にお揃いの服を用意するから、明日から毎日商会に出掛けるわ」
と、手紙を渡したギャリクソンにのたまったらしい。
「コイツ、終わってるわぁ」
とは、お兄様の談だ。
そして、お兄様とお揃いのお洋服を着て(これは純粋に嬉しかった)辺境伯夫人のお茶会に出席した。
「ようこそお越し下さいました。セイラー・センバと申します」
「まぁ、その青色の髪は氷のアイシア家の方よね?!
格下の家にしか嫁げなかったなんて、お可哀想に!
ワタクシ、元は子爵家でしたが、強く望まれて侯爵家に嫁ぎましたのよ、やはり」「なにぶっこんでんだ、クソばばぁ!」「んなぁッ?!」
母親の後ろでお辞儀をしていたお兄様が、頭を下げたまま、怒りのあまりお言葉が乱れたツッコミをいれますが、そのままの体勢のため、母親は変な悲鳴を上げたまま、誰が言ったか分からずに辺りをキョロキョロしております。
まさか自分の息子に馬鹿にされると思ってなかったんでしょうね。
「後ろのお子様達は頭を上げて。その子達はとても素晴らしいご挨拶をしてくれているけれど、貴方は5歳児にも劣るのかしら?」
「はぁっ?!爵位が格下のくせにがワタクシを馬鹿にしていいと思っているの?!」
「望まれて侯爵家に入ったのにも係わらず、その家の事を何も学ばれていないの?
何を望まれて嫁いだの?実家のお金かしら?」
「なんって失礼なの!!侯爵家から抗議させてもらいますわよ!そうしたらどうなるか、わかっているんでしょうね?!そうなってから慌てて謝っても遅いのよ!
そうされたくなければ、今すぐ膝をついて謝りなさい!!」
「そうやって、伯爵位の者達を脅してきたのね。
まず、勘違いを正しましょう。
貴方は確かに侯爵家に嫁いだわ。
でも、現侯爵はまだ領地にいる貴方の夫の父親よね?」
「だからなんなのよ!」
「つまり、貴方は次期侯爵(予定)の妻でしかないのよ。
何かをするには侯爵の許可が必要、許可が出なければ何も出来ない。
つまり、現時点で伯爵夫人である貴方が脅してきた人達よりも、なんの権限もないわ」
「はぁ?!そんなわけないでしょう!侯爵家は伯爵家より偉いのよ!」
「爵位は上よ?
でも、実際侯爵家の権限を有して居るのは現侯爵様であって、貴方の夫でも、ましてや妻の貴方でもないわ。
継ぐために学んで、継いでようやく権限が認められて、領地を治めるのよ」
「継いだら領地に行かなくちゃいけないの?
イヤよ!王都を離れて辺鄙な所で暮らすなんてまっぴらだわ!
あら、エミリオが爵位を継ぐのよね?何歳から継げるの?」
「は?」
いきなりの突飛なの質問にお兄様も面食らった。
「なぁんだ、アンタも知らないんじゃない。
あんなに勉強勉強って、何も学んでないじゃない」
「15歳で後見人が居れば、仮爵位として、18歳になれば正式に継げますが、ナニカ?」
お兄様、殺気がダダモレです。
「アンタ達5歳よね?ならあと10年ってこと?
10年位、領地のお義父様もつわよね?
アンタが継いだら、ワタシはどうなるのよ」
「…正直まだ分かりませんが、引退した侯爵と同様の扱いになるかと。
多分、侯爵は引退後、領地の別荘で平穏に暮らして頂くかと」
「領地がイヤだって言ってるのよ!話を聞いてないの?!
王都に別邸を作ってちょうだい!そこで暮らすわ!
そうよ!!
領地のお義父様にあと10年頑張ってもらう。
その後はアンタが爵位を継いで領地に行く。
ワタシはそのまま王都で暮らす。
ほら、今と何も変わらないじゃないの!!
そうでしょう!
なら、継いで領地に行くアンタ達が学べば済む話じゃないの。
ワタシは関係ないわ!!」
「「「は???」」」
「なら、こんなに不愉快な思いも、もうしなくて良いってことよ。帰るわ!!!」
そう言って、ドスドスと〝ワタシ怒ってます〞アピールしながら本当に帰って行った我が生物学上の母親。
「ウソだろ?
子供置いて、本当に馬車乗って帰ったぞ」
「きょ、強烈だったわ。ある意味、無敵ね。
あれは王家のお茶会どころか、貴族の前に出しちゃダメよ」
…ですよね~。
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