33 / 327
幼少期
辺境伯御当主様 3
しおりを挟む
「笑ってしまって、ごめんなさい。
辺境伯様と先生がこんなに気安い関係だと思わなくて。
辺境伯様は先生のことを〝テン爺〞と呼ぶのですね。
辺境伯様が先生からどう聞いているのか、僕達の希望の擦り合わせ、一旦、落ち着いて話ませんか?」
お兄様が、場の仕切り直しを提案してくれた。
「なんて良くできた子なんだと思いませんか、辺境伯様。本来なら、一番偉い貴方がするべきことを…」
先生は辺境伯様にぶつぶつ言っていたが、皆でお茶をする事にした。
辺境伯様の希望で、部屋ではなく、お庭にお茶を用意して貰った。
「こんなに良い陽気だし、さすが侯爵家、庭も整えられておって、気持ちいいではないか」
「ありがとうございます。アン達は何かあったら呼ぶから、下がってていいよ」
アン達は見えるけど話の聞こえない位置まで下がって行った。
「ああ、さっきの話だが、このテン爺は、俺の親父の友人で、俺が小さい時から怪我をしたら診てくれていたんだ。名前がナンテンだから、テン爺な。
テン爺には、頭が上がらん、って、睨むな、本当にそう思っているぞ!
さて、では、本題だ。
俺がテン爺から聞いていたのは、すごい才能のある子供達がいるが、でも親が教育に熱心ではなく、自分達で教えもせず、魔法の講師も見つからないから、何処か伝手はないものか?ということだな」
「それだけですか?」
「まぁ、聞いたのはそれだけだがな、今までテン爺が頼って来たことなど無かったからな、不思議に思って、少し、調べた」
「少し、調べた?」
「坊主は随分頭の回転が良いな?
残念なことに、少し調べただけで、ざくざく出てきたぞ、エアトル家の悪評。
俺のマイスイートハニーも言ってたが」
「「マイスイートハニー??」」お兄様と声が揃ってしまった。
「おお!聞きたいか!俺のマイスイートハニーはな、そりゃぁもう美人で、残念だがここの庭の花達も俺のマイスイー」「辺境伯様、話が進みません、先にお二人の未来について決めましょう」「おおぅ、テン爺、圧が増したな」
「辺境伯様がおっしゃっているのは、辺境伯様の奥様です。奥様にもお話になったので?」
「俺はマイスイートハニーにはなんでも話すからな、それに社交界の噂ならマイスイートハニーに聞いた方が早いだろう?
どうする、聞きたいか?この家の評判」
お兄様と顔を見合せた後、二人でハイ、と答えた。
「俺は言葉を飾れないからな、直接的だぞ。
エアトル家現侯爵は領地から出てこないが、領地での振る舞いは傲慢で、爵位に物を言わせて横車を押すこともあるそうだ。
王都では、次期侯爵夫妻の仲は最悪、次期侯爵は愛人を伴ってパーティーに参加、嫌悪感と失笑を買い、次期侯爵夫人は高位貴族に嫌われて茶会にすら誘われないから、下位貴族のお茶会に参加してはマウント取りに勤しんでいる。
そして、子供は、夫婦仲の悪さから居ないものと思われていた。
しかし、とある高位貴族の子息が鑑定式を受けた際、エアトル家の子供が鑑定式を受けたと、しかも双子で、その魔力は膨大であったと教会から噂が漏れた。そして、その姿は、あの親よろしく傲慢で、家令に全てを押し付けて早々に立ち去った、なんて尾ひれもついてるらしいぞ」
「「えええぇ」…でも、辺境伯様、よくこんなに評判の悪い僕達に会おうと思いましたね?」
私は頭を抱えるだけだったけど、お兄様はきちんと受け答えしてくれていた。
「逆にな、こんだけ評判の悪い家のクソガキ、見てみたいと思わんか!」
辺境伯様と先生がこんなに気安い関係だと思わなくて。
辺境伯様は先生のことを〝テン爺〞と呼ぶのですね。
辺境伯様が先生からどう聞いているのか、僕達の希望の擦り合わせ、一旦、落ち着いて話ませんか?」
お兄様が、場の仕切り直しを提案してくれた。
「なんて良くできた子なんだと思いませんか、辺境伯様。本来なら、一番偉い貴方がするべきことを…」
先生は辺境伯様にぶつぶつ言っていたが、皆でお茶をする事にした。
辺境伯様の希望で、部屋ではなく、お庭にお茶を用意して貰った。
「こんなに良い陽気だし、さすが侯爵家、庭も整えられておって、気持ちいいではないか」
「ありがとうございます。アン達は何かあったら呼ぶから、下がってていいよ」
アン達は見えるけど話の聞こえない位置まで下がって行った。
「ああ、さっきの話だが、このテン爺は、俺の親父の友人で、俺が小さい時から怪我をしたら診てくれていたんだ。名前がナンテンだから、テン爺な。
テン爺には、頭が上がらん、って、睨むな、本当にそう思っているぞ!
さて、では、本題だ。
俺がテン爺から聞いていたのは、すごい才能のある子供達がいるが、でも親が教育に熱心ではなく、自分達で教えもせず、魔法の講師も見つからないから、何処か伝手はないものか?ということだな」
「それだけですか?」
「まぁ、聞いたのはそれだけだがな、今までテン爺が頼って来たことなど無かったからな、不思議に思って、少し、調べた」
「少し、調べた?」
「坊主は随分頭の回転が良いな?
残念なことに、少し調べただけで、ざくざく出てきたぞ、エアトル家の悪評。
俺のマイスイートハニーも言ってたが」
「「マイスイートハニー??」」お兄様と声が揃ってしまった。
「おお!聞きたいか!俺のマイスイートハニーはな、そりゃぁもう美人で、残念だがここの庭の花達も俺のマイスイー」「辺境伯様、話が進みません、先にお二人の未来について決めましょう」「おおぅ、テン爺、圧が増したな」
「辺境伯様がおっしゃっているのは、辺境伯様の奥様です。奥様にもお話になったので?」
「俺はマイスイートハニーにはなんでも話すからな、それに社交界の噂ならマイスイートハニーに聞いた方が早いだろう?
どうする、聞きたいか?この家の評判」
お兄様と顔を見合せた後、二人でハイ、と答えた。
「俺は言葉を飾れないからな、直接的だぞ。
エアトル家現侯爵は領地から出てこないが、領地での振る舞いは傲慢で、爵位に物を言わせて横車を押すこともあるそうだ。
王都では、次期侯爵夫妻の仲は最悪、次期侯爵は愛人を伴ってパーティーに参加、嫌悪感と失笑を買い、次期侯爵夫人は高位貴族に嫌われて茶会にすら誘われないから、下位貴族のお茶会に参加してはマウント取りに勤しんでいる。
そして、子供は、夫婦仲の悪さから居ないものと思われていた。
しかし、とある高位貴族の子息が鑑定式を受けた際、エアトル家の子供が鑑定式を受けたと、しかも双子で、その魔力は膨大であったと教会から噂が漏れた。そして、その姿は、あの親よろしく傲慢で、家令に全てを押し付けて早々に立ち去った、なんて尾ひれもついてるらしいぞ」
「「えええぇ」…でも、辺境伯様、よくこんなに評判の悪い僕達に会おうと思いましたね?」
私は頭を抱えるだけだったけど、お兄様はきちんと受け答えしてくれていた。
「逆にな、こんだけ評判の悪い家のクソガキ、見てみたいと思わんか!」
110
お気に入りに追加
275
あなたにおすすめの小説
勘当された悪役令嬢は平民になって幸せに暮らしていたのになぜか人生をやり直しさせられる
千環
恋愛
第三王子の婚約者であった侯爵令嬢アドリアーナだが、第三王子が想いを寄せる男爵令嬢を害した罪で婚約破棄を言い渡されたことによりスタングロム侯爵家から勘当され、平民アニーとして生きることとなった。
なんとか日々を過ごす内に12年の歳月が流れ、ある時出会った10歳年上の平民アレクと結ばれて、可愛い娘チェルシーを授かり、とても幸せに暮らしていたのだが……道に飛び出して馬車に轢かれそうになった娘を庇おうとしたアニーは気付けば6歳のアドリアーナに戻っていた。
悪役令嬢予定でしたが、無言でいたら、ヒロインがいつの間にか居なくなっていました
toyjoy11
恋愛
題名通りの内容。
一応、TSですが、主人公は元から性的思考がありませんので、問題無いと思います。
主人公、リース・マグノイア公爵令嬢は前世から寡黙な人物だった。その為、初っぱなの王子との喧嘩イベントをスルー。たった、それだけしか彼女はしていないのだが、自他共に関連する乙女ゲームや18禁ゲームのフラグがボキボキ折れまくった話。
完結済。ハッピーエンドです。
8/2からは閑話を書けたときに追加します。
ランクインさせて頂き、本当にありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ
お読み頂き本当にありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ
応援、アドバイス、感想、お気に入り、しおり登録等とても有り難いです。
12/9の9時の投稿で一応完結と致します。
更新、お待たせして申し訳ありません。後は、落ち着いたら投稿します。
ありがとうございました!
転生したら攻略対象者の母親(王妃)でした
黒木寿々
恋愛
我儘な公爵令嬢リザベル・フォリス、7歳。弟が産まれたことで前世の記憶を思い出したけど、この世界って前世でハマっていた乙女ゲームの世界!?私の未来って物凄く性悪な王妃様じゃん!
しかもゲーム本編が始まる時点ですでに亡くなってるし・・・。
ゲームの中ではことごとく酷いことをしていたみたいだけど、私はそんなことしない!
清く正しい心で、未来の息子(攻略対象者)を愛でまくるぞ!!!
*R15は保険です。小説家になろう様でも掲載しています。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
使えないと言われ続けた悪役令嬢のその後
有木珠乃
恋愛
アベリア・ハイドフェルド公爵令嬢は「使えない」悪役令嬢である。
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したのに、最低限の義務である、王子の婚約者にすらなれなったほどの。
だから簡単に、ヒロインは王子の婚約者の座を得る。
それを見た父、ハイドフェルド公爵は怒り心頭でアベリアを修道院へ行くように命じる。
王子の婚約者にもなれず、断罪やざまぁもされていないのに、修道院!?
けれど、そこには……。
※この作品は小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。
モブに転生したので前世の好みで選んだモブに求婚しても良いよね?
狗沙萌稚
恋愛
乙女ゲーム大好き!漫画大好き!な普通の平凡の女子大生、水野幸子はなんと大好きだった乙女ゲームの世界に転生?!
悪役令嬢だったらどうしよう〜!!
……あっ、ただのモブですか。
いや、良いんですけどね…婚約破棄とか断罪されたりとか嫌だから……。
じゃあヒロインでも悪役令嬢でもないなら
乙女ゲームのキャラとは関係無いモブ君にアタックしても良いですよね?
なんでそんなに婚約者が嫌いなのかと問われた殿下が、婚約者である私にわざわざ理由を聞きに来たんですけど。
下菊みこと
恋愛
侍従くんの一言でさくっと全部解決に向かうお話。
ご都合主義のハッピーエンド。
小説家になろう様でも投稿しています。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる