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幼少期

先生、先生になってくれないかな?

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先生のお話の後、魔法の訓練はなくなった。
代わりに、明日お越しになるのに、何の予備知識もなくお会いして、失礼があったらマズイ、と、辺境伯の基礎知識を学ぶ会となった。

講師は先生が務めて下さった。

「なんというか、ユーディリア様が勇者もご存知ないというのが少々引っかかりましてな。
教育係に教わるよりも、現場にいたこの爺がご説明申し上げた方が良いかと思います。
と、申しましても、そこまで難しい事ではございませんので、気楽にお聞きください。

さて、辺境伯ですが、伯爵とついておりますが、辺境伯という別の爵位だとお考えください。
はっきり申し上げますと、王家から最も信頼され、王家が最も敵に回したくない一族です。
ですが、辺境という場所、爵位が伯爵とついているために、王都の貴族の中には、田舎貴族、野蛮貴族とバカにする者が一定数おります。
そこを全く気にしていないんですよ。あの方は。なので、そういう言い方をする者を放置しています。

もしかすると、ユーディリア様の教育係は、そっち系の貴族かもしれないと思いまして。

さて、王家が辺境伯を重要視している点は2つあります。

まずは、今現在も脅威が続いている〝魔の森〞と接している地域のため。
こちらは、〝魔獣〞が跋扈している森となります。〝魔獣〞はここにしか出ません。

〝魔物〞との違いは、ズバリ、倒した後、遺体が残るかどうか。

〝魔物〞はチリとなって消えますが、〝魔獣〞は残ります」

「えええ!魔物はチリとなって消えるんですか?!倒し損じゃないですか!」
私は思わず聞いてしまった。

「ですから、高位貴族は尊敬されるんです。
なんの旨味もない、でも放っておいたら甚大な被害ばかりが出る魔物を倒す事を義務として、定められていますから」

「ええ?その義務、あのクソ親父達、果たしてないんじゃない?」
お兄様が、セバスを振り返って聞いている。

「…領地の軍部の方々が頑張って下さっているかと」
苦々しくセバスが答えてくれた。

「マジか……そりゃ、僕達も良く思われないわなぁ、義務を放棄してる本家の人間、として見られるもの。ディとの未来のため、聞けば聞くほど、先は長いねぇ」
お兄様はため息をついた。

「「(だから、なぜ領地を思いやるのがこんなに幼い二人だけなんだ!)」」
この時、先生とセバスの心が一つになっていた。

「んんっ、では、先を続けます。
遺体が残る為、〝魔獣〞は素材として活用されています。
騎士団などにも卸されています。
なので、辺境伯はまぁまぁお金持ちですが、防御壁や、武器などにお金を使いますし、素材もありますからね、鍛冶屋などは盛んですよ。
あ、あと、魔獣の方が格段に強いです。
ですので、魔の森から魔獣が溢れ、辺境伯一族が防ぎきれなければ、まぁ、多分、国は終わりますな。

そして、王家が重要視する2つめ。その成り立ちになります。
先ほどお伝えしました〝聖玉の剣〞の最初の持ち主が、勇者イツキ・センバです」


……ッ?!



先生は続ける。

「勇者イツキ・センバの出自は、はっきりしていません。

ただ、魔物の脅威に晒されていた我が国に聖玉の剣を持って現れ、当時軍を率いていた王弟を救ったそうです。
そこから王族と懇意になり、王弟と当時の聖女と一緒に魔王を倒したそうです。
倒すと同時に聖玉の剣は砕けてなくなったそうですが、
勇者は「もしまた魔王が現れた時、あの剣はまた出現する」と明言したそうです。
その通りに魔王が現れる度に、聖玉の剣を持った者が現れたるようになりました。

で、我が国を救った勇者は魔の森があるという辺境の地に赴き、そこを治めていた代官一家の娘に一目惚れし、
先程の通りに押しに押して結婚して貰ったそうです。
で、国を救った褒美として、辺境伯という新たな爵位を貰って、娘と代官一家と共に辺境の地を治める事になったのが、センバ辺境伯のはじまりです」




センバ…
仙庭?もしや、戦場?
絶対、日本人だよね……
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