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幼少期

れっつえんじょい 3

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ここまでやったら、昼食の時間が来て、マナーの実践も兼ねた昼食後は、
いよいよお兄様と一緒の訓練ですわ!

オラワクワクすッぞ!

いけないわ、野菜人を引きずってるわ。
淑女教育のお猫サマ、戻ってらして。

アンに、乗馬服のような物に着替えさせて貰ってから、エントランスへ向かう。
楽しみすぎて、走ってしまったわ。
ドレスじゃないから、走れるのよ。
あ、護身術や乗馬も習わせて貰えないかしら。
高位貴族の存在意義が、魔物の討伐なら、体力はあった方がいいとなるわよね?
いざという時、戦えて、逃げられる手段は用意しておくべきよ。

エントランスに着くと、お兄様が待っていて、私を見ると両手を広げてくれた。
「お兄様!!お待たせしてしまいましたか?」
と、ぎゅっと抱きついた。
「いいや、ディと一緒に何かをする、って、初めてだと思ったら、嬉しくて。僕の方こそ、急かしてしまわなかった?」
「いいえ!お兄様とご一緒できるのが私も楽しみでしたの!!」
二人でぎゅうぎゅううふふふと、ニマニマが止まらない。
「いつまでもこうしていたいけど、時間は有限だ。訓練場へ行こうか」
「訓練場があるんですの?」
「あんなクズでも高位貴族。魔法の習得は必須だからね。訓練場はあるんだって。
さぁ、僕の可愛いレディ、エスコートの栄誉を賜っても?」
「もちろんですわ!むしろ、お兄様以外、お断りですわ!」
私達は、連れだって訓練場へ向かった。


お屋敷の裏、暫く歩いた所に、何もない広場があった。

「ここが訓練場。魔法を放つ所だからね、何も置いてない広場だよ」
「むしろ、敷地内にこれだけの場所が確保できるのがすごいですわ」
「まぁ、腐っても侯爵家だからね。
一応アンとセバスは入口近くで見守ってる。何かあった時、屋敷にお医者様も控えて貰ってるからね。
まぁ、初めての魔法の訓練を子供二人だけでやるって、前代未聞だから、最初、お医者様にむちゃくちゃ止められたんだよねぇ。
魔力は少なくても浄化師ならいる、自分が話を付けてくるから、最初の発動までは、彼らに習ったらどうだ、って。
でもさ、僕達、高位貴族な上に、魔力量多いじゃん。浄化師達も扱い大変でしょう?だから、断ったんだよ。
なぁんか、無条件な優しさを初めて受けたよ。僕達の事を心配してくれる、ありがたい大人だよねぇ」
「私を診察してくれたあのお医者様ですよね?お医者様の胃のためにも、慎重にいたしますわ!」
「フフ、そうだね、お医者様の胃のためにも、頑張ろう!」
「ハイ、任せて下さいませ!お兄様!楽しんだもん勝ちですわ!」
「ディ?慎重に、って言葉の意味、分かってる?」
「もちろんですわ!
右見て左見て、回りに何もないから、安全確保ですわ!」
「ちょっと待って!何もないのは確かだけど、何か違う!!」
「大丈夫ですわ、お兄様!私、午前中、魔力放出までは出来ましたもの!安全でしたわ!」
「……は?」
「見てて下さいませね、お兄様。ドレス姿でスマートに、手のひらから魔力放出!」
ポンっ
「……は?」
「ね!!お兄様は、気合い入れてなさいます?必殺技っぽいの出します?」

オラワクワクすッぞ!!

「ちょっと待って!!ディ、魔力放出?!」

え?待ちますの?
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