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幼少期

親に理想を求めてはいけない

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「僕が知っているのは、セバスが教えてくれたからなんだ。
あ、セバスっていうのは、そこにいる男ね。そもそもクソ親父の執事なんだけど、クソ親父は何にも仕事せず愛人宅に入り浸って金を浪費し続けるだけだから、家令のギャリクソンと執事のセバスチャンとで家の仕事を回してたんだけど、僕があまりにも神童すぎて、ちょっと書類を見たら分かっちゃったもんだから、それをギャリクソンが領地にいる侯爵に報告しちゃったんだよね。そしたら僕にセバスを付けて家の仕事を教え込ませて使い始めた。4歳児にだよ、さすがクズの製造元だよねぇ」

「お兄様、息継ぎして下さい。あと、笑顔が黒いです。ダダもれです」

「あ、ゴメン。こんな兄じゃ、嫌われるよね?」

「お兄様、上目遣いは反則です。分かっててやってますよね?大丈夫です、そんなお兄様も大好きです」
私はお兄様に、サムズアップした。

「え?なんでそんな仕草知ってるの?」
「なんとなく?出てきちゃいました」
美少女なら許されるはず!と、私はテヘ、と誤魔化した。

「うん、ディは可愛い。
で、話を元に戻すと、そもそもの事の発端は、8年前、エアトル侯爵領に災害が起きたことだ。
長雨による洪水、土砂崩れ、農作物の不作と続き、そこに魔物の発生が重なって、領地は甚大な被害が出たらしい。そこでクズの製造元、現在の侯爵である僕らの祖父が、領地の立て直しのための資金集めに奔走した結果、白羽の矢が立ったのが、大商会を持つ裕福なアスビル子爵家。クソババァの実家だ。子爵家は最初渋ったものの、クソ親父の顔に惚れたクソババァが」「お兄様、そろそろ排泄物両親の呼び方、改めません?」
「「排泄物両親……」」
アンとセバスが、ポカンと口を開けてしまった。

「ええ?なんて呼ぶ?」「父、母でけっこうです」
「まぁ、ディがいいなら?で、生物学上の母親は」「お兄様?」
「わかったってぇ。母親は見た目が良いものが大好きだろ、父親の顔面がそのお眼鏡に叶っちゃったもんだから、母親を溺愛していた子爵家の当主が、娘が産んだ子が侯爵家の跡取りとなるなら、返済はなし、の条件で融資をしたんだと。可愛い娘の産む孫へのちょっとお高いお買い物(爵位)ぐらいの気軽さだったんだろ。
で、父親と母親は政略結婚したわけだ。
侯爵が僕達の父親に、子供が生まれるまでの我慢だ、と、時には金を与え、時には文字通り殴って言うことを聞かせて、母親に優しい顔をして、金を出させて、4年前、僕達が生まれた途端、義務は果たした、と、ずっと恋人だった愛人宅に入り浸り、帰って来なくなったというわけ。
で、母親は、僕達の顔が良いから、子爵家の金で、ディを着せかえ人形にして遊びつつ、子爵家の商会で扱う子供服のデザイン担当をしてるらしい。ディが着たドレス、ほぼ残ってないだろ?あれ、試作品をディに着せて、最終確認してるらしい。だから、子爵家の祖父が定期的に来るだろ?試作品の回収なんだって。多分、その時、母親の愛人も来てるんじゃねぇ?だから、父親が帰って来なくたって平気なんだろうよ」



えええぇ、両親、クズ過ぎない?
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