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幼少期

元気になりました

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3日たつと体のこわばりがとれ、お医者様からも、無理しないなら歩いて大丈夫でしょう、というお言葉を頂いたので、今日からベットを離れられます。
ただ一人、ベットで寝てるだけって、幼児にはツラい。
ってか、よく幼児を一人にしといたな?!と、若干の驚きと共に、私の扱いの悪さを目の当たりにしたわけで。
一応、お父様には、私が怪我をして寝込んでいると報告はしたらしい。
そうしたら、私が動けないなら、たいした世話など必要ないだろうから、アンはお兄様についているように、とお父様に命令されたらしい。
アンが、私から離れる事を、不甲斐ない使用人で申し訳ないと謝りながら、教えてくれた。
アンは悪くないけどさ、ないんだけどさ、

怪我した幼児を一人で放置させる親ってどうよ?!!

いやぁ、前世の記憶を思い出してなかったら、ただの4歳児にこの境遇は耐えられなかったろうなぁ、なんて、軽く現実逃避しながらも、私達の背景を早急に知らなければ、とマジで思った3日間だった。

まぁ、動いていい許可も出た事だし、とりあえず、書庫に行って、文字が読めるのかどうかの確認と、読めるなら、我が家の歴史なんかを調べてみようかしら、と、ベットから降りようとした時、バーンと扉が開いて、お兄様がタックルしてきて、私は再びベットに転がる事になった。
「ディ、動いていいとお医者様から聞いたよ。体はもう全然辛くないの?
ってか、なんで一人?一人でベットから降りようとしてるの?え、ディの侍女は何してるの?」
お兄様は、私に抱きつきながらも、最後は声を荒らげながら、後ろから付いてきた男性に声をかけた。
「お嬢様には、まだ侍女がついておりません」
「は?!」
「アンが乳母としてついておりますれば…」
「はぁぁぁぁ?!アンしか居ないって、どーゆー事?!」
「旦那様の方針でし……」「はぁぁぁぁ?!!あんのクソオヤジ、ぜってぇシメ…」「おぼっちゃま!!それ以上はなりません!!」
「アン……」
「おぼっちゃまが悔しいのは分かりますが、おぼっちゃま達はまだ子供なのです。親の庇護が必要な…」
「庇護も、養育もしてもらっていない!育ててくれたのは、屋敷の者達だ!親達ではない!!」
「おぼっちゃま……」
「ゴメンね、ディ、僕にもっと力があれば、ディも守れるのに、ゴメンね、ディ、ディ」
「お兄様は、何も悪くありません。
お兄様がいなければ、私はとっくにおかしくなっています。
お兄様、私はお兄様の妹で幸せです。
ですから、どうか、私にも教えてくださいませ。
お兄様が、戦っているもの、私にも分けてくださいませ。
何も知らずに居るのが辛いのです」

「ディ、ディは僕の妹なんだ、たった一人の家族なんだ。僕が守りたいんだ」

「お兄様、私もお兄様が一番大事です。お兄様が私を守りたいと思ってくれてるけれど、私はお兄様の隣に立ちたい。お兄様のお役に立ちたい。私では足手まといですか、お兄様のように、完璧でない私では、お兄様と一緒に居られませんか。何を努力すればいいですか。お兄様、お願い、遠くへ行かないで、行くなら一緒に連れてって、わだ、わだじを置いて、い、い"か"な"い"て"ぇぇぇ」

そう言って私はお兄様にすがり付いて泣き出してしまった。

「ディ、ディ、置いていかない、一緒だよ、ディに嫌な思いをさせたくなかったけど、そうだね、ディはこんなに分かっているんだもの、知らないって不安だよね。
僕の知ってる範囲で教えるよ。どんだけうちの親がクズ「おぼっちゃま?!!」いや、ディには知る権利がある」

そしてお兄様は話してくれたのだ。



うちの両親のクズっぷりを。



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