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幼少期

この世界の魔法 2

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「お嬢様も高位貴族となります。
お嬢様のご家門は風の魔法でしたね。
高位貴族の皆様の魔法は、有り難いのです。
遠くから魔物を仕留められるので、人的被害が少ない。
ただ、火系は、使い方を間違うと周りに甚大な被害がもたらされますが…。
まぁ、ですので、お嬢様も、よくよく魔法を勉強してくださると、我々のような下々の者は安心して暮らせます」
「……はい、お勉強、がんばります。あ、あの、もう1つ、聞いてもよろしいですか?」
「はい、私で答えられる事でしたら、なんなりと」
「私は、しゅくじょきょういくが始まっています。ですが、まほうのお勉強は始まっていません。そんなに大切ならば、しゅくじょきょういくといっしょに始めないのですか?私はすぐに完璧にならないといけないのです。私はお兄様のように、なんでも出来る子ではありません。出来る事があるなら、はじめなければ、まにあいません。また、しかられてしまいます」

先生は驚いた顔をしたあと、優しく笑ってくれた。

「お嬢様は、とても素直で素敵なレディですね。
魔法の勉強を早くから始めたい。素晴らしい貴族となられることでしょう。
ですが、お嬢様はまだ子供なのです。まだ体も十分に出来ておりません。
お身体はお辛くありませんか?
少々歴史の話にもなるのですが、よろしいですか?
昔はそれこそ、生まれた時に鑑定式を行い、いつでも魔力に慣れさせる事をしていたそうです。
ですが、子供は体が出来ていない。思考も十分ではない。
辛い、嫌だ、悲しい、という感情が溢れて癇癪を起こしてしまうこともあるでしょう。
そうすると、魔力暴走が起こりやすいのです。
それこそ、お屋敷ごと木っ端微塵。周りを巻き込んでご本人も亡くなる、なんて事がよく起こっていたそうです。
そうなると、次世代ごと、失くなる可能性が出てきた。
ですので、分別のついてきた5歳から鑑定式を行い、魔力を感じ、そこから勉強を始めることになったのです。
お嬢様、貴女はまだ子供です。焦らず、成長して行きましょう」

「…いいのですか、あせらなくてもいいのですか。すぐ、完璧にならなくても、いいのですか。わた、わたしは……」

アンが辛そうな顔で、私の頬に触れ、背中をさすってくれた。

気づけば、私は涙を流していた。
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