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幼少期

前世の記憶 2

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漫画の中での話によると

魔物や、魔王が生まれる仕組みは、
人間の負の感情が集まり、一定以上になると、瘴気溜まりが発生し、そこから魔物が生まれる。
つまり、魔物は、妬み、嫉み、憎悪、破壊願望、そんな物が凝り固まってできたものなので、人間を見ると、その感情のまま、襲わずにはいられない。
そして、倒されることで浄化されるという、ある意味、非常に悲しい性質のモノ達なのだ。
戦争や、悪政などで人間の負の感情が貯まりに貯まると、
とんでもない濃さの瘴気溜まりが出来、そこから人型の魔物が生まれ、
それが魔王となり、
魔王自体が強力な瘴気溜まりのような役割となってしまい、
強力な魔物が生まれ続け、
魔王を倒すことでしか、魔物の活性化を止められないのだ。


とどのつまり、人間がすべて悪いんじゃねぇ?


という話になるのだが。


この魔王システムは、人間に、
内戦?
戦争?
権力闘争?
私腹を肥やしてるヤツがいて暴動起こる寸前ですけど?
だけどさぁ、そんなことしてる場合じゃないよね?って、
全人類共通の敵を用意することで、協力する絆を思い出させるためのものなのでは?
というのが、ツウオタク達の解釈だった。

で、この魔王を倒すために必要なのが、

聖玉の剣。

魔王が生まれると適正を持つ者の前に現れ
魔王を倒すと、一緒に砕けてしまう、という物。
これも、倒されるために生まれてくる魔王のためのはなむけなのでは、というのもツウオタク達の解釈だった。

しかし、ここでツウオタクの皆様方、ハタと気づいた。

聖玉の剣は、魔王を倒すためのもの。

そのために主人公は、魔物を倒し、経験値を積み、友情を育み(そのために、当て馬悪役の私達が登場し)、国民達の支持を集め、確実に成長している。
が。
魔王がひとつも出てこないのだ。
聖玉の剣は、魔王が生まれると出てくる物という前提なのに、魔王側の動きがひとつも語られない。
まぁ、でも、主人公の成長物語だから、ラスボス様は最後にどどーんと出てくるだけかと思いきや。


魔王になった人が出た。


魔王は、瘴気溜まりから生まれてくるんじゃなかったんかい!

というツッコミが関係各所オタクから上がったとかなんとか。

しかし、
《人間側にそう伝わっている》《文献にはそう記載されている》というだけで、
神の啓示がそう告げたわけでも、
運営が公式ガイドに載せたわけでもなかった。


そして、友人が号泣しながら、魔王になったと語ったのが、


私の最愛のお兄様である。
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