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幼少期

私のお兄様

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私の唯一にして、最愛のお兄様。

ああ、改めて思う、ブラコン炸裂してるなぁ。


実は、少し前まで、私はお兄様に嫌われていたし、私もお兄様に関わりがなかった。

それは、お兄様には、私がお母様をから。

自分は後継ぎの教育のため、雁字搦めになって、こんなに頑張っているのに
父親には褒めて貰えず、家にいるはずの母親にも満足に会えない。
なのに、双子の妹は母親と一緒に衣装を選び、食事の時間も共にして甘えている、
そんな風に思っていたそうだ。

実際の私は、お母様の玩具にすぎなかったのだけれど。

そんな風に私の事を思っていると知ったアンが、お兄様を叱ったのだという。

「なんて事をおっしゃるのです!!
ぼっちゃまは、ある意味、お嬢様に守られているんです!
何もお調べにならず、自分の思い込みで相手を嫌ってはいけません。
まずは、お嬢様をお知りになることです!!!」

そう言って、お母様の食事の時間、こっそりとその様子を見せたらしい。

しかもその日は、ちょうど間の悪い事に、お母様の機嫌があまりよろしくなく、その雰囲気に気づいた私も怯えていて、ちょっとカテーシーがふらついたのだ。
「お前はワタクシに恥をかかせるの?!完璧にできないカテーシーを披露するなんて、許してないわ!!」
案の定、お母様の癇癪が始まり、私は頭からスープをかぶる事になった。
「罰として、ワタクシの食事が終わるまで、その体勢でいなさい!!」
私はスープの滴る状態のまま、頭を上げることが許されなかった。
しかし、4歳児がカテーシーの状態のままでいられるはずもなく、べしゃっと、床のスープの上に倒れてしまった。
するとまたお母様が癇癪を起こして、私を蹴ろうと立ち上がったが、
そこにアンが
「奥様!!僭越ながら、お昼すぎには大旦那様がいらっしゃいます。お時間もあまりございません。
お嬢様もそこにお出になりませんと。
それまでに仕上げて参りますので、奥様はどうぞ、お食事をお続け下さいますように」
「そうね、お父様がいらっしゃるのだったわ。
仕方ないわ、それまでに、しておいてちょうだい。
良いこと?お父様の前で失敗したら、許さないんだから!」
アンは、頭をさげ、私を抱き起こし、そのまま下がったのだった。

その様子を、お兄様は呆然と見つめていたらしい。

私がアンにお風呂に入れて貰って、支度をしていると、バーンと扉が開いて小さな塊が駆け込んで、私にタックルをかましてきた。
コロンと転がった私がその塊を見ると、お兄様が泣きながら抱きついていた。
「ごめんよ、僕は君が大嫌いだったけど、君があんなにひどい目に合っていたなんて、知らなかった。お母様と一緒にいる君が羨ましくて、それで、それで!!」
「おにいさ…ま?」
「そう、そう!僕は君の兄だよ、エミリオだよ。僕達は双子だもんね、つらかったの僕だけじゃない、一緒だった!しかも君は、実際にいじめられてた!
うわーーーん!」
そう言ってお兄様はぎゅうぎゅう抱き締めて泣いていた。
そのお兄様の暖かさを感じながら、気づけば、私もワァワァ泣いていた。

それから、お兄様は、勉強の合間に私に会いに来て、おやつを食べたりしてくれるようになった。
私からも行きたかったが、お兄様の勉強の邪魔をしてはいけないと、こちらから行くのは禁止されていた。
お兄様といる時、心から安心できた。
アンも味方だと分かっていたが、
お兄様とは、一心同体とでもいうのか、辛いこと、悲しいこと、嬉しいこと。
自分は一人じゃないというのが、とても心地良かったのだ。



……うむ。依存一直線だな、こりゃ。
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