上 下
2 / 395
幼少期

今の私

しおりを挟む
再び目が覚めると、いくぶん頭がスッキリしていた。
それで、ストンと腑に落ちてしまった。
あ、異世界転生してるのだと。

日本で生きてきた記憶、友人と飲んだくれた記憶は、今現在の私ではないのだと。
あまり悲しいと思わないのは、私が今、ココで生きているからなのか。

ならば、これからの事を考えるため、
今の自分の状況を整理してみよう。


私の名前は、ユーディリア・エアトル

そして、最初に目覚めた時に会ったのは、乳母のアン。
え、乳母?
あれ、私、いくつだ?
んん?!4歳?!
うわぁ、幼児だよ、幼稚園児だよ。
そりゃ、お兄様だって小さいはずだよ、ベットから髪の毛しか見えないはずだよ!
そう、昨日、ベットに激突してきた小さな塊はお兄様。
私の最愛の双子のお兄様。

エミリオ・エアトル。

ん?最愛?
あれま、私ブラコンだわ。
ゴメンよ、友人。君にお兄様は渡せない。
いやちょっとまて、この思想はまずくないか?
なんでそうなっている?
思い出せ、私。

うん、そうだ、
私、お母様に殴られて「死ぬんじゃね?」と思ったのがきっかけだ。


私自身と家族のこと。

なぜ、幼児が目覚めたのに、乳母とお兄様しか様子を見に来ないのか。

……ああ、そうだ。

そもそも、私がベットに寝ていたのは。
アンが、お医者様がすぐ来ると言ったのは。

私がお母様にぶたれたら、お母様のお洋服に鼻血が飛んで、それに激怒したお母様が、うずくまった私を蹴りあげ、吹っ飛んで意識が無くなったからだ。

そりゃ、身体中痛いはずだわ。

そもそも、なんでそんな事になったのか。

お母様のあの言葉。

「お人形の癖に口答えですって?!」

そう、私はお母様の人形だったのだ。


お父様とお母様は典型的な政略結婚というものだろう。
なぜ、結婚したのか、背景はまだ教えて貰っていないけれど。
いつも家に居ない、数回しか会ったことの無いお父様と、
お家で好き勝手しているお母様。
二人が仲良く会話しているのを見たことがない。
そしてお母様は、自分の見た目が良いのも相まって、ドレスや宝飾品など、綺麗で、可愛い物が大好きなのだ。
そして、そんなお母様から生まれた私達双子も、お母様のお眼鏡に叶う顔立ちのようだ。
本当は、私達双子にお揃いを着せて、並べて鑑賞したいらしいが、
お兄様は侯爵家を継ぐための教育がもう始まっているらしく、お母様は、それを邪魔してはいけないらしい。
だから、私だけ着飾らせて遊ぶのだ。
しかし、4歳児には、お貴族様のドレスの着せ替えは苦行なのだ。
着るだけでなく、それに合わせて、髪の毛もセットされる。
それが、1回じゃない。
朝、昼、晩の3回、お母様の食事に合わせて、のだ。
そして、お母様が食事している間、次の食事の時のための衣装を合わせる時間となる。
私はドレスをあてられ、宝飾品の色味を見たりする間、ずっと立たされ、くるくる回ったり、カテーシーをさせられたりする。
そして、お母様が満足すれば解放されて、食事となる。
ただし、食事のマナーがまだ見苦しいと、お母様と一緒に食事を取ることは許して貰えていない。
いや、私や衣装を持ってるメイドに指示出しながら食事する自身のマナーは良いのか?!
と、今なら思うが。
まぁ、でも、そんな事を言ったら、皿が飛んでくるだろう。
それを避けたりしたら、近くに寄って来られて、頭から紅茶をかけられるかも?
とにかく、お母様は、癇癪がひどい。
私が少しでも自分に逆らうのが許せないらしい。

私はお母様の「動くお人形」なのだ。



そして、もう1人。

私の唯一にして最愛。

私のお兄様に対する執着の異常さよ。
しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

ぽっちゃり令嬢の異世界カフェ巡り~太っているからと婚約破棄されましたが番のモフモフ獣人がいるので貴方のことはどうでもいいです~

翡翠蓮
ファンタジー
幼い頃から王太子殿下の婚約者であることが決められ、厳しい教育を施されていたアイリス。王太子のアルヴィーンに初めて会ったとき、この世界が自分の読んでいた恋愛小説の中で、自分は主人公をいじめる悪役令嬢だということに気づく。自分が追放されないようにアルヴィーンと愛を育もうとするが、殿下のことを好きになれず、さらに自宅の料理長が作る料理が大量で、残さず食べろと両親に言われているうちにぶくぶくと太ってしまう。その上、両親はアルヴィーン以外の情報をアイリスに入れてほしくないがために、アイリスが学園以外の外を歩くことを禁止していた。そして十八歳の冬、小説と同じ時期に婚約破棄される。婚約破棄の理由は、アルヴィーンの『運命の番』である兎獣人、ミリアと出会ったから、そして……豚のように太っているから。「豚のような女と婚約するつもりはない」そう言われ学園を追い出され家も追い出されたが、アイリスは内心大喜びだった。これで……一人で外に出ることができて、異世界のカフェを巡ることができる!?しかも、泣きながらやっていた王太子妃教育もない!?カフェ巡りを繰り返しているうちに、『運命の番』である狼獣人の騎士団副団長に出会って……

悪役令嬢に転生したら病気で寝たきりだった⁉︎完治したあとは、婚約者と一緒に村を復興します!

Y.Itoda
恋愛
目を覚ましたら、悪役令嬢だった。 転生前も寝たきりだったのに。 次から次へと聞かされる、かつての自分が犯した数々の悪事。受け止めきれなかった。 でも、そんなセリーナを見捨てなかった婚約者ライオネル。 何でも治癒できるという、魔法を探しに海底遺跡へと。 病気を克服した後は、二人で街の復興に尽力する。 過去を克服し、二人の行く末は? ハッピーエンド、結婚へ!

前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします

柚木ゆず
恋愛
 ※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。  我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。  けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。 「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」  そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

〖完結〗死にかけて前世の記憶が戻りました。側妃? 贅沢出来るなんて最高! と思っていたら、陛下が甘やかしてくるのですが?

藍川みいな
恋愛
私は死んだはずだった。 目を覚ましたら、そこは見知らぬ世界。しかも、国王陛下の側妃になっていた。 前世の記憶が戻る前は、冷遇されていたらしい。そして池に身を投げた。死にかけたことで、私は前世の記憶を思い出した。 前世では借金取りに捕まり、お金を返す為にキャバ嬢をしていた。給料は全部持っていかれ、食べ物にも困り、ガリガリに痩せ細った私は路地裏に捨てられて死んだ。そんな私が、側妃? 冷遇なんて構わない! こんな贅沢が出来るなんて幸せ過ぎるじゃない! そう思っていたのに、いつの間にか陛下が甘やかして来るのですが? 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。

私はモブのはず

シュミー
恋愛
 私はよくある乙女ゲーのモブに転生をした。   けど  モブなのに公爵家。そしてチート。さらには家族は美丈夫で、自慢じゃないけど、私もその内に入る。  モブじゃなかったっけ?しかも私のいる公爵家はちょっと特殊ときている。もう一度言おう。  私はモブじゃなかったっけ?  R-15は保険です。  ちょっと逆ハー気味かもしれない?の、かな?見る人によっては変わると思う。 注意:作者も注意しておりますが、誤字脱字が限りなく多い作品となっております。

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です

hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。 夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。 自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。 すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。 訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。 円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・ しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・ はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?

処理中です...