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3章 王子サマの帰省
閻魔へ八つ当り
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時は少々遡る。
ハシビロコウのアオさんが、悠然と飛び去った頃。
閻魔大王の裁きの間に、紀伊助がやって来た。
「ちょっと閻魔借りたいの~。
獄卒の皆さん、ちょっと魂の列止めて、休憩してて~」
「すぐ、返して貰えますか?」ちょっと焦った獄卒が聞く。
「う~ん、多分?コイツの態度次第なの~」
そう言って、紀伊助は閻魔のすねを思いっきり蹴ると、
「う“っ」
流石の閻魔も、弁慶の泣き所にクリティカルヒットを食らってうずくまる。
小さくしゃがむ形になった、そんな閻魔の首根っこをひっつかみ、紀伊助はズルズル閻魔を引きずって行く。
幼児に引きずられる閻魔大王。
どうも絵面がおかしくないか?
そんな疑問は口に出さない、優秀な獄卒達。手を振り2人を見送った。
「さぁ、キリキリしゃべりやがるのよ」
普段の気の抜けた様子から一変して、紀伊助は閻魔の顔を覗き込む。
ちなみに、手はチョキである。
「紀伊助くん、その手は何かな?」
「あ“あ“ん?喋らなかった時は、容赦なく目に刺しますよ、の、アピールに決まってるの」
「ええぇっと、何を聞きたいのかな?」
「とんずらこいてもダメなの、こんのクソ閻魔。炎乃香に何を吹き込みやがったの?」
「な、ナニかなぁ……」
そう言った瞬間、紀伊助は本当に閻魔の目を手でぶん殴った。
幼児の手は確実に閻魔の眼球をとらえた!!
閻魔は、左目を押さえて転げ回る!!
閻魔に、2000ポイントのダメージ!!
「ウチの実家から、連絡あったの!炎乃香がイワママ連れてやって来たって!
絶対、アンタが何か言ったんでしょう!!
あんのクソ婆ぁが、何の思惑もなく、ウチの実家に行くわけない!しかも、イワママまで連れて!
絶対、絶対、アンタが何かポロっと何か言ったはずなの!!
さぁ、思い出せ!炎乃香といつ会ったの?何をしゃべった?キリキリ吐くの!」
紀伊助は容赦なく畳み掛ける!!
閻魔の襟元をつかんで、ガクガクと閻魔の首を揺らす!!
「ちょっ、待って、待って、思い出すから、揺らさないで!」
そう言われた紀伊助は、少し待ってやることにした。
う~ん、う~ん、と考えていた閻魔、ぽん、と一つ手を打った。
「あ、もしかして、アレかなぁ?」
そう言ってしゃべり出した閻魔を見ていた紀伊助。
話が進むごとに、ふるふる震えだす。
「やっぱり、閻魔が諸悪の根元なのぉ!!!」
「ウブォ“ッ!」
そう叫んだ閻魔は、地面の中に消えた。
ハシビロコウのアオさんが、悠然と飛び去った頃。
閻魔大王の裁きの間に、紀伊助がやって来た。
「ちょっと閻魔借りたいの~。
獄卒の皆さん、ちょっと魂の列止めて、休憩してて~」
「すぐ、返して貰えますか?」ちょっと焦った獄卒が聞く。
「う~ん、多分?コイツの態度次第なの~」
そう言って、紀伊助は閻魔のすねを思いっきり蹴ると、
「う“っ」
流石の閻魔も、弁慶の泣き所にクリティカルヒットを食らってうずくまる。
小さくしゃがむ形になった、そんな閻魔の首根っこをひっつかみ、紀伊助はズルズル閻魔を引きずって行く。
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どうも絵面がおかしくないか?
そんな疑問は口に出さない、優秀な獄卒達。手を振り2人を見送った。
「さぁ、キリキリしゃべりやがるのよ」
普段の気の抜けた様子から一変して、紀伊助は閻魔の顔を覗き込む。
ちなみに、手はチョキである。
「紀伊助くん、その手は何かな?」
「あ“あ“ん?喋らなかった時は、容赦なく目に刺しますよ、の、アピールに決まってるの」
「ええぇっと、何を聞きたいのかな?」
「とんずらこいてもダメなの、こんのクソ閻魔。炎乃香に何を吹き込みやがったの?」
「な、ナニかなぁ……」
そう言った瞬間、紀伊助は本当に閻魔の目を手でぶん殴った。
幼児の手は確実に閻魔の眼球をとらえた!!
閻魔は、左目を押さえて転げ回る!!
閻魔に、2000ポイントのダメージ!!
「ウチの実家から、連絡あったの!炎乃香がイワママ連れてやって来たって!
絶対、アンタが何か言ったんでしょう!!
あんのクソ婆ぁが、何の思惑もなく、ウチの実家に行くわけない!しかも、イワママまで連れて!
絶対、絶対、アンタが何かポロっと何か言ったはずなの!!
さぁ、思い出せ!炎乃香といつ会ったの?何をしゃべった?キリキリ吐くの!」
紀伊助は容赦なく畳み掛ける!!
閻魔の襟元をつかんで、ガクガクと閻魔の首を揺らす!!
「ちょっ、待って、待って、思い出すから、揺らさないで!」
そう言われた紀伊助は、少し待ってやることにした。
う~ん、う~ん、と考えていた閻魔、ぽん、と一つ手を打った。
「あ、もしかして、アレかなぁ?」
そう言ってしゃべり出した閻魔を見ていた紀伊助。
話が進むごとに、ふるふる震えだす。
「やっぱり、閻魔が諸悪の根元なのぉ!!!」
「ウブォ“ッ!」
そう叫んだ閻魔は、地面の中に消えた。
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