地獄の王子サマ

犬丸大福

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3章 王子サマの帰省

ハシビロコウだって飛ぶだろう?

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執務室の一角、応接セットで

ブンブンキッキッコツコツバサバサココケコココケッ
時折もきゅ?

と、聞こえてくる中で

執務室の扉をコンコンコンと常識的にたたく音が聞こえた。
「入るぞい」と声が聞こえ、菅公と篁さんが現れた。
そして、応接セットのアニマルランドに気がつくと、
「何が起こっとるんじゃ?」
2人で顔を見合せた。



「つまり、何もわかっとらんのじゃないか」
菅公がため息まじりにつぶやくと
「私達、並男くんから、樹魅が不吉な事を言い出したから来てくれと連絡貰ったから来てみたんですけど、何ですか、このカオスなアニマルランドは。
ココ地獄ですよ?」
篁さんがニコニコしながらアルパカの背中をモフっている。
言ってる事とやってる事が合っていないのもカオスである。


「で、整理するとじゃ、
最初、樹魅が不吉な事を言い出しフラグ立てて、わしらを呼んだ。
そしたら、そこの不喜処の動物達が、何かを知らせにやって来た。
で、何が言いたいのか分からんから、紀伊助を呼ぼうにも連絡がつかず、
柊路の特別に通訳を頼んでる最中、と」
菅公は「コラ、大人しくせんか」と言いながら軍鶏を羽交い締めしている。

「でも、柊路は、オコジョに見惚れて何もしゃべらず、
私達が登場←今ココ、ってヤツですね?」
篁さんはニコニコしながら今度はカピバラをモフっている。

「篁さん、ビミョーに流行りに乗るの、好きですよねぇ。
そうなんです、柊路がココまでへっぽこになるとは思わず…」
樹魅がため息をつきながら、しみじみ言うと


「ハシビロコウが飛んだ」


「「「は???」」」

柊路のつぶやいた一言に、全員???である。

「六華がそう言っている」
「リッカとは誰じゃ?」
「ああ、そのオコジョさんの名前です。
つまり、このアルパカくん達は、ハシビロコウが飛んだと大騒ぎしてココまで来た、と?」

柊路はうなずく。

「「ハシビロコウだって飛ぶじゃろう(でしょう)、鳥だもの」」

菅公と樹魅の声が重なった。



「じゃぁ、キミ達のお話は、
ハシビロコウが飛んでビックリした、ってことで良いんだね?
もっと言いたい事はあるかい?
ないなら、紀伊助と連絡がつかない事を優先するよ?」
篁さんはニコニコしながら右手にアルパカ、左手にカピバラをモフりながらそう言うと、
ビミョーな顔をしながら2匹はうなずいた。
しかし、菅公の小脇に抱えられた軍鶏が再び暴れだし、コケコケ何かを訴える。
それを聞いたオコジョが、ぽふ、と手をたたいて「もきゅもきゅもっきゅ」と柊路に伝えると
柊路の眉間にシワがよりだし
菅公と篁さんは、「オコジョの鳴き声?」「もきゅ、ですか?」と小声でささやき合っている。

「ちょっと、柊路、何って言われたのさ、さっさと教えて!」 
樹魅が急かすと、

「ハシビロコウは、アオさん」

「「は??」」
菅公と篁さんは、再び??である。

「………あーー」額に手をあて、天を仰ぐ樹魅。

「つまり、アルパカくん達が大騒ぎしてるハシビロコウが、
普段、最強で最凶と言われてるのに微動だにしない、あのアオさんと呼ばれている、紀伊助の特別の子なんだね。
だから、紀伊助に指示を貰おうと思ってココまで来たのに、紀伊助は居ないわ、話は通じないわで、余計焦ったと」

「「樹魅、良く分かったのぅ」ねぇ」
菅公と篁さんの声が重なると、部下達が、ウンウンとうなずいている。

「樹魅サマが居ないと、私達、柊路サマと意思の疎通が図れません」

「「ダメじゃろう!」でしょう!」
再び、菅公と篁さんの声が重なった。
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