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2章 王子サマと愉快な仲間達
そして焔矢の仕上がりは
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和やかな執務室に遠くから地鳴りが響いてきた。
「え?地獄で地震?」
執務室に居た樹魅と紀伊助が顔を見合せた。
ドドドドドドドドドドッ
どんどん近くなって来る地鳴り。
紀伊助が執務室の壁を土で強化しようとした瞬間、
ドゴォ!!!
執務室のドアごと壁が破壊され
土煙の中から
「樹魅ちゃぁん、焔矢のボク、仕上がったわよぉん♡」
そんな声と共に
マダム牛頭を先頭にして
馬頭2頭の間に挟まれた直立不動の焔矢が現れた。
「並男!お茶の用意をっ!
あと、確かまだ篁さんのお土産残ってたよねっ?!あれ、出して!!
紀伊助!とりあえず、壁だけ塞いどいて!
ささっ、マダム、こちらへ!!」
樹魅が応接セットへ牛頭を案内する。
「んもう、樹魅ちゃんったら、相変わらず気遣いしぃねぇ。
でも、デキル男は嫌いじゃないわぁ。
お前達!樹魅ちゃんの女性の扱いをちゃんと見習いな!!」
「いやいやいや、本来なら、ウチラで焔矢を矯正するべき所、マダムにお世話して頂いて、本当に感謝しているんですよ。だって、いっくら怒っても豆腐に鎹、糠に釘、まったく聞きゃしない。そのくせ、こっちには要求しやがる。もう、身内に甘いとは思っていましたが、いや、閻魔は別ですかね、ありゃ殺しても死なないんで軽く殺意も覚えますが全力で叩きのめしても大丈夫という謎の安心感は、やはり身内ということでしょうか。いや、閻魔はどうでもいいんですよ。焔矢です、焔矢。仕上がったというのは、これをみる限り、素晴らしい出来映えです!!さすが、マダム牛頭!!!」
ここまで、前のめりでノンブレスで言い切った樹魅。
「アタシも余所さまの大切なご子息お預りするのはぁ、初めてだったけど、自分の息子と同じと思ってぇ、愛情をもって、厳しく教育したわぁん。我ながら、いい仕上がりになったと思うわよぉん。
一応、念のため、この笛を樹魅ちゃんに渡しておくわぁ。
預かって確信したけど、この子、す~ぐ調子に乗るわよねぇ。
悪いことばっかりじゃないし、この子の個性でもあるけどぉ、まぁ、
教えを忘れて羽目を外すようならぁ、
この笛を吹いてちょうだい。
どっからでも駆けつけて、しょっぴくから。
教育のし直しよぉん。
オイタをしたら、3分以内に教育しないと、身に付かないものぉ。
アフターサービスも万全よぉん。
まぁ、それ以外でも、緊急時、何かあったら、吹いてくれて良いわよぉん。
樹魅ちゃんはアタシのお気に入りだからぁ、助けて あ・げ・る♡」
「マダム牛頭!!!ボクも欲しいの!!!」
紀伊助が勢いよく手を上げて立ち上がった。
「あらぁ、そうねぇ。紀伊助ちゃんもカワイイから、特別にあげようかしらん」
「ホント?嬉しい!!マダム牛頭、大好きなの!!」
紀伊助が大喜びで小躍りしながら、牛頭から笛を受け取ると、焔矢を見て、ニヤリと嗤った。
その瞬間、焔矢は直立不動のまま、ブルブルと震えだす。
「あらぁん、樹魅ちゃんより、紀伊助ちゃんに渡した方が効果あったみたいねぇ」
「だって、樹魅は結局優しいの。その点、ボクは容赦ないの」
牛頭はキランと捕食者の目になり
紀伊助はいい笑顔で嗤うのだった。
「え?地獄で地震?」
執務室に居た樹魅と紀伊助が顔を見合せた。
ドドドドドドドドドドッ
どんどん近くなって来る地鳴り。
紀伊助が執務室の壁を土で強化しようとした瞬間、
ドゴォ!!!
執務室のドアごと壁が破壊され
土煙の中から
「樹魅ちゃぁん、焔矢のボク、仕上がったわよぉん♡」
そんな声と共に
マダム牛頭を先頭にして
馬頭2頭の間に挟まれた直立不動の焔矢が現れた。
「並男!お茶の用意をっ!
あと、確かまだ篁さんのお土産残ってたよねっ?!あれ、出して!!
紀伊助!とりあえず、壁だけ塞いどいて!
ささっ、マダム、こちらへ!!」
樹魅が応接セットへ牛頭を案内する。
「んもう、樹魅ちゃんったら、相変わらず気遣いしぃねぇ。
でも、デキル男は嫌いじゃないわぁ。
お前達!樹魅ちゃんの女性の扱いをちゃんと見習いな!!」
「いやいやいや、本来なら、ウチラで焔矢を矯正するべき所、マダムにお世話して頂いて、本当に感謝しているんですよ。だって、いっくら怒っても豆腐に鎹、糠に釘、まったく聞きゃしない。そのくせ、こっちには要求しやがる。もう、身内に甘いとは思っていましたが、いや、閻魔は別ですかね、ありゃ殺しても死なないんで軽く殺意も覚えますが全力で叩きのめしても大丈夫という謎の安心感は、やはり身内ということでしょうか。いや、閻魔はどうでもいいんですよ。焔矢です、焔矢。仕上がったというのは、これをみる限り、素晴らしい出来映えです!!さすが、マダム牛頭!!!」
ここまで、前のめりでノンブレスで言い切った樹魅。
「アタシも余所さまの大切なご子息お預りするのはぁ、初めてだったけど、自分の息子と同じと思ってぇ、愛情をもって、厳しく教育したわぁん。我ながら、いい仕上がりになったと思うわよぉん。
一応、念のため、この笛を樹魅ちゃんに渡しておくわぁ。
預かって確信したけど、この子、す~ぐ調子に乗るわよねぇ。
悪いことばっかりじゃないし、この子の個性でもあるけどぉ、まぁ、
教えを忘れて羽目を外すようならぁ、
この笛を吹いてちょうだい。
どっからでも駆けつけて、しょっぴくから。
教育のし直しよぉん。
オイタをしたら、3分以内に教育しないと、身に付かないものぉ。
アフターサービスも万全よぉん。
まぁ、それ以外でも、緊急時、何かあったら、吹いてくれて良いわよぉん。
樹魅ちゃんはアタシのお気に入りだからぁ、助けて あ・げ・る♡」
「マダム牛頭!!!ボクも欲しいの!!!」
紀伊助が勢いよく手を上げて立ち上がった。
「あらぁ、そうねぇ。紀伊助ちゃんもカワイイから、特別にあげようかしらん」
「ホント?嬉しい!!マダム牛頭、大好きなの!!」
紀伊助が大喜びで小躍りしながら、牛頭から笛を受け取ると、焔矢を見て、ニヤリと嗤った。
その瞬間、焔矢は直立不動のまま、ブルブルと震えだす。
「あらぁん、樹魅ちゃんより、紀伊助ちゃんに渡した方が効果あったみたいねぇ」
「だって、樹魅は結局優しいの。その点、ボクは容赦ないの」
牛頭はキランと捕食者の目になり
紀伊助はいい笑顔で嗤うのだった。
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