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1章 王子サマの日常
叫喚地獄 ③
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「では、もう一つ、問題のある場所にご案内します」
そう言って案内されたのが、雨炎火石処であった。
「ココは、火を吐く象が、罪人を踏みつけます。
で、ココに落ちる罪状ですが、
象に酒を飲ませて暴れさせて、多くの人を害した罪人、となっています。
が。
そんな人間、日本に居ないんですよ!!!
そもそも、象が自生してませんよね?!
つまり、輸入品なんです。
ということは、象を守る管理体制がしっかりしてるんですよ、
イタズラ目的でなんて近付けませんよね?!
この地獄、必要ですか?!
暇そうなんです、
象が!!!」
「プッファ」
紀伊助が、思わず吹き出した。
「要らないなら、オレ欲しい!!!」
「責任の持てない動物を飼っちゃいけません!!!!」
焔矢と、安定の樹魅オカンである。
「責任、持つ!!」
「「「「アンタ(キミ)にはムリだ!!」」」」
焔矢以外の4兄弟が声を揃えて叫んだ。
「イヤだ!!絶対絶対絶対面倒見る!!この子はオレの子だ!!!」
「そう言っても、結局お母さんが全ての面倒見ることになるんです!!!
アンタ、ご飯はどうするつもりですか?!象がどんだけ食べるか知ってるんですか?!
排泄物は?!お散歩は?!
それよりなにより、寝床どうするんですか!!象小屋建てるんですか?!誰が?!」
「樹魅なら、植物でぱぱっとツリーハウスも出来る!!」
「言ったそばから、人任せかよ!!」
剛磨が珍しくツッコミを入れた。
紀伊助が頭を抱えて、悩んでいる。
そこに柊路がボソっとつぶやく。
「逆にすれば?」
「「「逆?」」」
焔矢、剛磨、樹魅である。
「・・・」
「・・・いや、説明は?!」珍しくツッコミが剛磨に偏っている。
柊路は樹魅を見ている。
「マジか………
焔矢をこっちに住まわせたら、ってことか。
食事や風呂は、仕事の前後に執務室ですればいいってことか」
「あと、象の気持ち大事」柊路がつぶやく。
「こっちに住まわせたら、焔矢、時間忘れて、仕事に来ないと思うよぉ。
毎日、樹魅が迎えに行くことになるね。このリュック、かけてもいいよ。」
紀伊助が、ぶったぎる。
「「「あっ………」」」
みんな絶対そうなると確信した。
「絶対絶対絶対、この子はオレのぉぉぉ~!!!
連れて帰るぅぅぅうぅ!!!!」
「えぇぇぇ?なにこの執着。焔矢今までこんなことあった?」
「母親絡みでも、ここまで駄々こねるのはあまり見ませんね」
「うぅん、ここにきて、焔矢の特別ってこと?よりによって、象………?」
「焔矢、連れて帰ったら、象がかわいそう。焔矢が通いなよ」
柊路が焔矢を諭している。
「え?オレと居るの、かわいそうなの?」
柊路は樹魅を見ている。
「いやだから、最後まできちんと説明しなさいよ!
いい、焔矢。身体の大きな象にとって、広い場所が必要。
今、暮らしてる所で、象が十分にのびのびと暮らせると思う?
水浴びとか、砂ゴロゴロだっけ?とかするスペースも必要なの。
そんな場所、ないでしょう?
自分に置き換えて考えてみなさいよ。
1日中、4畳半のスペースで、そこから出られない、
なぁんてなったら、アンタ発狂するでしょう?
なのに象にそういうことをするのは平気な子に育てた覚えはありません。
だから、仕事が終わったらここにきて、2~3時間、思いっきり象に遊んで貰いなさい。
それがお互いに幸せです」
うんうんと、柊路が頷いている。
焔矢は、自分が1日中、狭い場所に囲われて出られないのを想像して泣きそうになっている。
「ご、ごめ、ごめんなさぁぁぁいぃぃ。
オレ、そんなところに囲われたら、火吹いて、そこらじゅう更地にしてやるぅぅ」
「でしょう?焔矢がココに通いなさい」
「ごめんよぉぉ
辛い思いはさせないからねぇぇぇ」
焔矢はびえびえ泣いて、象の足にしがみついている。
そんな焔矢の頭を長い鼻で撫でる象。
え?あった瞬間、こんなに馴れるもん???
樹魅、剛磨、班長さん達がびっくりしてその光景を見ている。
………紀伊助は、頭を抱えて考えてこんでいた。
そう言って案内されたのが、雨炎火石処であった。
「ココは、火を吐く象が、罪人を踏みつけます。
で、ココに落ちる罪状ですが、
象に酒を飲ませて暴れさせて、多くの人を害した罪人、となっています。
が。
そんな人間、日本に居ないんですよ!!!
そもそも、象が自生してませんよね?!
つまり、輸入品なんです。
ということは、象を守る管理体制がしっかりしてるんですよ、
イタズラ目的でなんて近付けませんよね?!
この地獄、必要ですか?!
暇そうなんです、
象が!!!」
「プッファ」
紀伊助が、思わず吹き出した。
「要らないなら、オレ欲しい!!!」
「責任の持てない動物を飼っちゃいけません!!!!」
焔矢と、安定の樹魅オカンである。
「責任、持つ!!」
「「「「アンタ(キミ)にはムリだ!!」」」」
焔矢以外の4兄弟が声を揃えて叫んだ。
「イヤだ!!絶対絶対絶対面倒見る!!この子はオレの子だ!!!」
「そう言っても、結局お母さんが全ての面倒見ることになるんです!!!
アンタ、ご飯はどうするつもりですか?!象がどんだけ食べるか知ってるんですか?!
排泄物は?!お散歩は?!
それよりなにより、寝床どうするんですか!!象小屋建てるんですか?!誰が?!」
「樹魅なら、植物でぱぱっとツリーハウスも出来る!!」
「言ったそばから、人任せかよ!!」
剛磨が珍しくツッコミを入れた。
紀伊助が頭を抱えて、悩んでいる。
そこに柊路がボソっとつぶやく。
「逆にすれば?」
「「「逆?」」」
焔矢、剛磨、樹魅である。
「・・・」
「・・・いや、説明は?!」珍しくツッコミが剛磨に偏っている。
柊路は樹魅を見ている。
「マジか………
焔矢をこっちに住まわせたら、ってことか。
食事や風呂は、仕事の前後に執務室ですればいいってことか」
「あと、象の気持ち大事」柊路がつぶやく。
「こっちに住まわせたら、焔矢、時間忘れて、仕事に来ないと思うよぉ。
毎日、樹魅が迎えに行くことになるね。このリュック、かけてもいいよ。」
紀伊助が、ぶったぎる。
「「「あっ………」」」
みんな絶対そうなると確信した。
「絶対絶対絶対、この子はオレのぉぉぉ~!!!
連れて帰るぅぅぅうぅ!!!!」
「えぇぇぇ?なにこの執着。焔矢今までこんなことあった?」
「母親絡みでも、ここまで駄々こねるのはあまり見ませんね」
「うぅん、ここにきて、焔矢の特別ってこと?よりによって、象………?」
「焔矢、連れて帰ったら、象がかわいそう。焔矢が通いなよ」
柊路が焔矢を諭している。
「え?オレと居るの、かわいそうなの?」
柊路は樹魅を見ている。
「いやだから、最後まできちんと説明しなさいよ!
いい、焔矢。身体の大きな象にとって、広い場所が必要。
今、暮らしてる所で、象が十分にのびのびと暮らせると思う?
水浴びとか、砂ゴロゴロだっけ?とかするスペースも必要なの。
そんな場所、ないでしょう?
自分に置き換えて考えてみなさいよ。
1日中、4畳半のスペースで、そこから出られない、
なぁんてなったら、アンタ発狂するでしょう?
なのに象にそういうことをするのは平気な子に育てた覚えはありません。
だから、仕事が終わったらここにきて、2~3時間、思いっきり象に遊んで貰いなさい。
それがお互いに幸せです」
うんうんと、柊路が頷いている。
焔矢は、自分が1日中、狭い場所に囲われて出られないのを想像して泣きそうになっている。
「ご、ごめ、ごめんなさぁぁぁいぃぃ。
オレ、そんなところに囲われたら、火吹いて、そこらじゅう更地にしてやるぅぅ」
「でしょう?焔矢がココに通いなさい」
「ごめんよぉぉ
辛い思いはさせないからねぇぇぇ」
焔矢はびえびえ泣いて、象の足にしがみついている。
そんな焔矢の頭を長い鼻で撫でる象。
え?あった瞬間、こんなに馴れるもん???
樹魅、剛磨、班長さん達がびっくりしてその光景を見ている。
………紀伊助は、頭を抱えて考えてこんでいた。
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