地獄の王子サマ

犬丸大福

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1章 王子サマの日常

最強のじぃじ2人

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「お弁当の手配終わりましたよ。
12時までに配達してくれるそうですよ」
「「「イヤッホーーーーゥ」」」
「で、菅公のお話は、終わりましたか?」

篁さんが執務室に戻ってきた。

「樹魅と柊路が双子に拐われて、属性出たとこ」

紀伊助が答えると、篁さんの空気が変わった。

「ああ、あれは腹立ちましたねぇ。
流石に温厚を自負している私も、サクッとってしまおうかと思いましたが、
あの2人の姿を見た菅公が雷無双をしましてね、冷静になりました。
人が激怒してるの見ると、冷静になるって、本当ですね」

「ナニ、ナニ、雷無双って、ナニ?!」
 
「私もあれを見たのはあの時が最初で最後ですが。
え、言って良いんですか、菅公?」
「まぁ、別に隠してるわけじゃないがのぉ。怯えられるのも嫌じゃのぅ」
「大丈夫、大丈夫、ボク達が菅公と篁さんを嫌いになるワケがない!!」
自信満々で胸を張る焔矢。
「まぁ、発動条件も厳しいですし、なかなか出来るモノじゃないですからね」
「まぁ、のぉ。
あの時、柊路がホワイトアウト起こしておったから、暑い地獄が寒く、乾燥しとったんじゃよ。
そこで、わしが2人の姿を見て、我を忘れての、隣に居た閻魔に、特大雷を落としたんじゃよ










「だから、オマエなんぞに2人を託すのが嫌だったんじゃぁぁぁ!!!!
貴様ら、2人に何をしたァァァァァァ!!!!!!」

怒髪天をつく、とは、まさにこの事だった。

雷神でもある菅公は、怒りに我を忘れて、閻魔に特大雷を落とし、
さらにピリピリと身体中に雷を纏わせ、髪を逆立てながら、双子に迫った。
柊路がホワイトアウトを起こしていたからだろう、はじめて地獄が乾燥していたのもある。
菅公が、いや、菅公からあふれでる静電気がその場を支配していた。

初めて身の危険を感じた双子は、何も答えられなかった。

それに余計に苛立った菅公は、二人の頭に手をのせ、

「かまわん、お主ら自身に聞くわい」

「菅公、微弱な電流を脳内に。そのくらいの加減は出来ますよね」

「ワシを誰だと思っておる、篁。侮るな」

「怒りに我を忘れてるかと思いまして。落ち着いてくださいました?
では、始めましょうか。
あなた方、まずお名前は?」

そう言って、何やら小瓶を開け、二人に匂いを嗅がせると、二人の目の焦点が合わなくなっていき、ゆるゆると質問に答えだした。

「ワレは青桐アオギリ。キリと呼ばせてる。本名は教えないの。枷になるから」
「ワレは春楡ハルニレ。ニレと呼ばせてる。本名は教えないの。枷になるから」

「枷とは?」

「呪になるでしょう?閻魔め、我らを捕らえおって」
「呪に囚われるでしょう?閻魔め、我らを縛りおって」

「2人を狙ったのは何故?」

「閻魔の分身。弱い分身。恨みはらすの」
「閻魔の分身。弱い分身。刈られて当然」

「2人に何をしました?」

「小さい方。快楽を教えようとしたの。あのくらいから仕込めば、快楽の虜。我らから離れなくなる」
「大きい方。なぶっても壊れない。いくらでも遊べる。小さいのが快楽に溺れる様を見れば、心も遊べる」
「「閻魔の分身、我らの手の中。嬉しい、愉しい、愛おしい」」

双子は顔を歪めて笑います。

「分かりましたか、閻魔大王。
貴方が歪めた業を背負った子が、この双子です。
自分で作った秩序です。自分でなんとかしてくださいよ。
柊路達を巻き込まないでください」

「無理じゃ。青桐達とて、ワシの息子じゃ。縁は切れぬ」

「「はぁ~~」」
菅公と篁はため息をついた。

「仕方ありませんねぇ、菅公、奥の手を使いますか」
「ぬ?」
「菅公、海馬に直接刻み込みましょうか?」

篁と菅公はいい笑顔で閻魔大王を見ている。

「害がなければいいんですよ。害がなければ。
さ、閻魔大王、どうします?」
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