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1章 王子サマの日常
衆合地獄 ②
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「やっほー、待ってたわよぉ、遅かったじゃなぁい?」
花魁道中もかくやと言われるようなド派手な着物で簪をこれでもか!と頭にぶっさした姿が似合ってしまっている妖艶な鬼が出迎えた。
「やっぱ、アンタが来るよな、うん、分かってはいた。
分かってはいたんだが。
信じたくなかったんだ。
うんもう帰ろう見るべきモノは何もない」
最後の方はブツブツと呟いて、逃げようとした。
あの、樹魅が。
「ちょっとぉ、お見限りじゃなぁい?そうはさせないわよぅ。言いたい事もいっぱいあるのにぃ。
って、あらぁ!かわいい美味しそうな子がいるじゃない!!!」
そう言って、半裸の焔矢をロックオンした花魁。
「え?オネェさん?!めっちゃべっぴんじゃん!!!」
「あら、ひと目で見破った子は初めてだわ。見込みあるわね」
そう言って花魁は、唇をひとなめする。
樹魅は、焔矢の首根っこを捕まえて、
「いいか、焔矢。こいつに何かねだられても、絶対にイエスと言うな。
どんな些細な事でもだ。
自分の裁量でなんとかなりそうだ、なんて思った事でも、スッゴクいい話、旨い話だと思っても、絶対に、だ。
いいか。
破ったら、もう、オマエはボクとの兄弟の縁を切る。
………母親との面会もナイと思え」
そこまで強く出る樹魅に驚いた焔矢は、
「大げさじゃない?!
いくらなん………でも………本気だね」
あまりに真剣な樹魅に、たじろぐ焔矢。
「いいか、剛磨も、紀伊助もだ。こいつの口車に乗った時点で、もう兄弟じゃない、他人だと思え」
「あっらぁ~、ずいぶん嫌われてるわねぇ。まぁ、当然かなぁ。
じゃ、王子サマと衆合地獄の統括として話を進めるわよぉん」
軽く流す花魁と、苦笑いする紀伊助。
焔矢と剛磨は驚きすぎて呆然としている。
柊路は、ずっと眉間にシワをよせている。
樹魅は花魁を指差して叫ぶ。
「コイツらの能力を疑ってるわけじゃない。
衆合地獄を実質まとめあげてるし、その手腕も優秀だ。
が。
性格が最悪なんだよぉぉぉ!!!
いいか、剛磨。アンタは絶対コイツらのカモにされる。その素直過ぎる性格を弄ばれる。コイツら気に入ったモノは壊して遊べなくなるまで離さないからな!!!」
「ちょっと違うわよぉ、気に入ったモノは壊して遊ぶんじゃない。
で、コレクターの矜持として、絶対手離さないわ!!」
「「余計タチ悪いわ!!!」」焔矢と剛磨も思わずツッコむ。
樹魅は続ける。
「しかも、気に入ったやつの周りまでどーこーしてくるんだよ。
気に入ったオモチャを壊すために。
目的のために手段を選らばないぞ、コイツら!!!」
「だからぁ、ちょっと違うわよぉ。
壊す過程も楽しむんじゃない。義理堅いオモチャほど周りから攻めるのがサイコーなのよぉぉ。
一番楽しい手段を練り上げるのも、一興じゃなぁい」
「性格破綻者めぇぇ!!!」
樹魅の心の叫びが止まらない。
うん、これは仲良くしてはイケナイ人種だ、自分は絡め取られる、弄ばれる自信しかないな、と、剛磨は思った。
花魁道中もかくやと言われるようなド派手な着物で簪をこれでもか!と頭にぶっさした姿が似合ってしまっている妖艶な鬼が出迎えた。
「やっぱ、アンタが来るよな、うん、分かってはいた。
分かってはいたんだが。
信じたくなかったんだ。
うんもう帰ろう見るべきモノは何もない」
最後の方はブツブツと呟いて、逃げようとした。
あの、樹魅が。
「ちょっとぉ、お見限りじゃなぁい?そうはさせないわよぅ。言いたい事もいっぱいあるのにぃ。
って、あらぁ!かわいい美味しそうな子がいるじゃない!!!」
そう言って、半裸の焔矢をロックオンした花魁。
「え?オネェさん?!めっちゃべっぴんじゃん!!!」
「あら、ひと目で見破った子は初めてだわ。見込みあるわね」
そう言って花魁は、唇をひとなめする。
樹魅は、焔矢の首根っこを捕まえて、
「いいか、焔矢。こいつに何かねだられても、絶対にイエスと言うな。
どんな些細な事でもだ。
自分の裁量でなんとかなりそうだ、なんて思った事でも、スッゴクいい話、旨い話だと思っても、絶対に、だ。
いいか。
破ったら、もう、オマエはボクとの兄弟の縁を切る。
………母親との面会もナイと思え」
そこまで強く出る樹魅に驚いた焔矢は、
「大げさじゃない?!
いくらなん………でも………本気だね」
あまりに真剣な樹魅に、たじろぐ焔矢。
「いいか、剛磨も、紀伊助もだ。こいつの口車に乗った時点で、もう兄弟じゃない、他人だと思え」
「あっらぁ~、ずいぶん嫌われてるわねぇ。まぁ、当然かなぁ。
じゃ、王子サマと衆合地獄の統括として話を進めるわよぉん」
軽く流す花魁と、苦笑いする紀伊助。
焔矢と剛磨は驚きすぎて呆然としている。
柊路は、ずっと眉間にシワをよせている。
樹魅は花魁を指差して叫ぶ。
「コイツらの能力を疑ってるわけじゃない。
衆合地獄を実質まとめあげてるし、その手腕も優秀だ。
が。
性格が最悪なんだよぉぉぉ!!!
いいか、剛磨。アンタは絶対コイツらのカモにされる。その素直過ぎる性格を弄ばれる。コイツら気に入ったモノは壊して遊べなくなるまで離さないからな!!!」
「ちょっと違うわよぉ、気に入ったモノは壊して遊ぶんじゃない。
で、コレクターの矜持として、絶対手離さないわ!!」
「「余計タチ悪いわ!!!」」焔矢と剛磨も思わずツッコむ。
樹魅は続ける。
「しかも、気に入ったやつの周りまでどーこーしてくるんだよ。
気に入ったオモチャを壊すために。
目的のために手段を選らばないぞ、コイツら!!!」
「だからぁ、ちょっと違うわよぉ。
壊す過程も楽しむんじゃない。義理堅いオモチャほど周りから攻めるのがサイコーなのよぉぉ。
一番楽しい手段を練り上げるのも、一興じゃなぁい」
「性格破綻者めぇぇ!!!」
樹魅の心の叫びが止まらない。
うん、これは仲良くしてはイケナイ人種だ、自分は絡め取られる、弄ばれる自信しかないな、と、剛磨は思った。
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