地獄の王子サマ

犬丸大福

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1章 王子サマの日常

その頃の執務室 ③

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無表情で何もしゃべらん柊路にわしらは焦っての、
二人で柊路を連れ出して、

とりあえず、

閻魔大王を二人で一発ずつ、どついといた。

オマエは上司としては最高かもしれんが、父親としては最低じゃ!!!

とな。

閻魔大王もびっくりしとったわい。

柊路が、そんな様子をみても、全く表情も変わらず、なにも見ておらんように、ただただそこに立っておったんじゃ。

わしらで育てる!!

そう啖呵を切って柊路を連れて帰った。

わしらは元人間じゃし、子供も沢山おった。
まぁ、子育ては女房や乳母に任せっきりであったのは、否めんが。
でもわしらは学問特化型じゃろ。
弟子もおったんじゃよ。
じゃからの、柊路をいろいろ連れ回しての、学ばせた。
その代わり、その間、ずっと抱っこじゃ。
まずは、身近なわしらから大事にされておる、と、感じてほしかったんじゃよ。
それから信頼の対象を広げていけばいいと思っての。

まず、言葉を教えた。でも、しゃべらんかった。
だから、理解したら頷くこと、
理解できなかったら、わしらの顔を見ながら、首を横に振ること、と教えた。
わしらの表情も学んでほしかったんじゃよ。
人の顔を見る、認識する、表情を理解するのも大切な学びじゃ。

それから、閻魔大王のこと、地獄のこと、鬼や獄卒のこと、わしらのこと、
そして、母親のこと。

柊路は優秀じゃったぞい。
教えたら教えただけ、理解しよった。

………あぁ、母親のことかの。

彼女も犠牲者じゃよ。

逃げたと言われとるが、強制的に里帰りさせられた、というべきか。

彼女は、つららという名前の雪女の姫さんじゃった。

閻魔大王に見初められ、たんじゃが、それは、本当じゃろうが、まぁ、あとにしよう。
閻魔大王の強靭な精を自身の属性と融合させ、子として腹の中で育てたのじゃ。
150年培った雪女としての生命力も、ほぼ使いきっておったのよ。
そして、地獄は、暑いじゃろ。
彼女にとって、とんでもなく過酷な出産、育児だったんじゃよ。
もし、生まれたばかりの柊路に能力があったら、その時点で彼女は命を落としていたかもしれん。

暑いなら、八寒へ行けばいいと?

彼女だけなら行ったよ。
柊路が耐えられんかったのよ。
赤子じゃ、氷の属性もまだ身に付いとらん。
そして獄卒は食べ物は持ってくるが、誰も柊路の相手をせん。
柊路一人部屋に残して、短時間でハ寒へ行き、少し冷まして戻ってくる。

彼女が限界じゃった。

どうやら、雪女の里には、寿命のロウソクのような氷柱があるらしく、
つらら姫の氷柱が溶けてなくなりそうだ、姫を返せ、と
雪女の里のオババ達が殴り込みに来ての、
彼女は連れ去られた。
その時、オババ達は柊路も連れて行こうとしたんだが、
閻魔大王が拒否しての、柊路は地獄に残った。
そこまでしたんなら、オマエがキチンと面倒見るべきじゃ! 
と、わしは強く抗議したい。間違っとらんじゃろ。

そりゃ、どつくわい。
1発ずつで抑えてやったわしらは、優しいと思わんか?
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