地獄の王子サマ

１章 王子サマの日常

バナナはおやつに入りますか

そんなわけで王子サマ達の視察が計画されたが、視察の間、業務が滞っては本末転倒である。

そこで！

助っ人をお願いすることにした。

小野篁おののたかむら氏と、菅原道真すがわらみちざね公である。

小野篁は参議篁とも言われる百人一首第１１番目の歌人である。
彼はご存命当時から昼は宮仕え、夜は閻魔大王の補佐官をしていたアグレッシブな人物である。
地獄の管理なんてお手のもの。
というか、死後、地獄でスカウトして来てもらっている。
顧問として、いろんな所で助っ人をし、
スーパーアドバイザーとして、地獄の様々な所で重宝されている。
地獄の実務、最後の砦として君臨している。
そして本人、非常に気さくでオシャレな人であり、地獄の事務方は尊敬と親しみを込めて
篁たかむーさんと呼んでいる。

菅原道真公は、言わずと知れた、大宰府天満宮の学問の神様として有名な翁である。
ちなみに百人一首第２４番目の菅家は、道真公(菅公)である。
まぁ、篁氏の方が年上ではあるが
菅公の方がお年寄り感が強いのは、怨霊やって、雷神まで神格化したからだろうか。
学問の神様でもある優秀な菅公だが怨霊やったりしたせいか、閻魔と交流があった。
さすが学問の神様、頑張る子供は嫌いじゃない！応援してやろうぞ！と、昔から王子達に友好的であった。
王子達にしたら色々教えてくれる気のいいお爺ちゃんだった。
今回ダメ元で応援要請したら
「今、暇だからいいよ」と気軽に応じてくれた。
孫に甘いお人好しな田舎のお爺ちゃん状態である。
詐欺に注意である。



これで後塵の憂いもなく、視察に出掛けられるとなんだかみんなウッキウッキである。

「兄弟５人揃ってどっか行くって、初めてでは？」
剛磨がそう言えば
「わっ！本当だ！！よし、みんなで昼飯も喰おうぜ！！どこがいいかな、血の池？針山の山頂？！」
「バナナはおやつに入りますか？」
「……そのセリフを生で聞く日が来るとはッ！！」
順に、焔矢、紀伊助、柊路である。

みんな浮かれすぎである。

「いいですか、今回は獄卒の皆さんが実際どんな仕事をしているか、どんな人材を求めているのか、改善出来そうな点など、見つけに行く視察ピクニックです！！キチンとお仕事たのしむするんですよ！！
あ、焔矢、お弁当は手配済です。なので紀伊助、バナナは昼食にはならないので、今回はおやつ扱いです。が、あんたおやつにバナナなんて食べたらご飯食べられなくなるでしょう。却下です。駄菓子程度にしなさい。それじゃなければ、剛磨に一口貰いなさい。剛磨、バナナ１本位持ってってやりなさい。お前なら喰えるでしょう？柊路、ちび○子ちゃんでもないそうですよ、そのセリフ。
さぁ、みなさん、出発は明日です、忘れ物のないように準備して下さいよ！」

割烹着を着て頭に三角巾、手にはお玉を持った樹魅が仁王立ちで叫びます。

普段は出来る男の樹魅、
ワクワクしすぎて、

オカン属性が振り切ったようである。