地獄の王子サマ

犬丸大福

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1章 王子サマの日常

第4王子 剛磨①

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自分はブサイクである。

第4王子の剛磨ごうまはそう思っている。

なぜなら自分は他の王子達と違い、父親似である。
笑顔の子供も泣いて逃げ出す閻魔大王そっくりである。

太い眉、ギョロ目、大きな鼻に、大きな口。
そして厳ついムキムキマッチョ。

全体的に大ぶりである。

でも父に似て良かったのかもしれない。

彼は思う。

自分の母親は、石長比売いわながひめ

そう、あのブサイクだからと嫁ぎ先から帰された石長比売である。

失礼な話である。

だいたい親も悪いんじゃなかろうか。

美人と評判の木花之佐久夜毘売このはなさくやひめと一緒に、同日、同じ男に嫁に出す。

バカじゃね?

世の中のブサイクの扱いを見れば分かるだろうに。

「顔じゃない。君の中身に惚れたんだ!」

そういう男もいるにはいるが、
それはキチンと相手の人となりを知り、信頼を築いた後の話だろう。

性格も何も知らない初対面の男に、美人と醜女を一緒に嫁がす。

もう一度言う。
バカじゃね?

うん。石長比売、不憫じゃね?


そもそも、今と昔じゃ醜美の基準が違っている。

60年代 ボサボサ頭のヒッピーが台頭し
7~80年代 竹の子族ブイブイいわせるナウいヤング
バブリーボディコンワンレンジュリアナ
90年代 度肝を抜かしたガングロギャル
世紀末を越えた草食系

たかだか半世紀でこれだけ変化している。

どっかに石長比売系が美人とされた時代だってあったんじゃ?

今の基準なら百人一首のやんごとなき方々のご尊顔は美しいと言えないだろう。
言っちゃなんだが徳川家康の肖像画だってギョロ目のエラ張り顔である。
でも天下取ったらこっちのもん。
あら、石長比売、天下取っちゃう?

閑話休題。

そんな石長比売をどうやって口説いたのか、神格のある女性と関係を持てたのは純粋に凄いと思う。
まぁ、やっぱり逃げられてるが。

神格のある母親の影響か、剛磨は石や岩だけでなく鉱物の属性がついていた。最近、金属属性も使える。
基本、固い。
自分の属性が使えるとわかった時、最初から自分の身体の一部に石を纏わせることができた。
どうなるだろう?と力一杯振りかぶって地面を殴ってみた。
穴があいた。
そして
肩がはずれた。
激痛がはしった。

纏わせた物の重量は自分が身に付けているのと同じということに
殴ってから気がついた。
だから鍛えた。
というか、鍛わさった?というべきか。
身体の一部に石を纏い、走っただけで負荷がかかる。
うん。ムキムキマッチョの出来上がりである。

今では自分の厳つい顔に合う身体の作りになっていると思う剛磨である。
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