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二つの世界
7.ーの日
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▽
ママのお誕生日パーティー計画が妻本人にバレてしまったため、家に帰るまでの車の中では梨愛も留稀もだいぶオープンになっていた。
そのため、お誕生日会用に追加で買い物をして帰ることになった。
私と子供たちで事前に準備をしていたが、よりいっそう豪華なお誕生日パーティーになりそうだ。
それぞれ追加で買いたいものを買い終え、夕方ごろに家へと到着した。
なんだかんだ時間が経ったため、子供たちはお腹がすきはじめたようだ。
「ママがご飯の用意しておくから、3人ともお風呂入っちゃいなさい!」
子供たちと私がやるから、と言っても妻は聞く耳を持たず、ママにまかせなさいと私たちを風呂場へ押し込んだ。
風呂から上がり、子供たちと共にリビングへ向かう。
テーブルの上にはこれでもかというくらい豪勢な料理が並んでいた。
私と子供たちであらかじめ用意していた料理たちに加え、みんなが大好きなものがたくさんあった。
「ママすごーい!」
子供たちが目をキラキラさせ、声を大にして妻をほめる。
「ママの手にかかればお茶の子さいさいよ」
鼻高々に妻が力こぶを作って見せるが、力こぶができているようには見えない。
「ママ、力こぶできてないよ!」
子供たちも私と同じ事を考えていたらしい。
とても幸せな時間だった。妻の誕生日を祝い、プレゼントを渡し、おいしい料理を食べた。
一通り会が終わると、子供たちは席を立ち、テレビの前へと移動していった。
テレビでは地元ヒーローが活躍するアニメ「ゼンダイニンジャー」が流れていた。子供たちに大人気の番組である。
私は妻のために買ってきたシャンパンを開け、夫婦水入らずの一時を過ごした。
昔からそうであったが、この歳になってなおさら涙脆くなっていた私は、自然と涙を流していた。
自分の愛する妻、子供たちとこうして平穏な日々を過ごしていることにとても感謝した。
「また泣いてるの?コウくんは昔から泣き虫だからな~」
頬杖をつきながならニヤニヤしている妻をみやり、照れを隠しながらシャンパンを流し込んだ。
私がカナや子供たちと出会えて、今も一緒にいられることがとても幸せだ。
だからこそ私は、今朝見た夢が、カナのいない世界がとても怖くなってしまった。
「カナと出会えて、カナと、梨愛と留稀と一緒にいれて良かった。僕は本当に幸せだ。どんなことがあっても君たちだけは必ず幸せにする」
寝る準備を済ませベッドに入り、あと少しで眠りそうというタイミングで私は言った。
「さっきの涙もそうだけど、どうしたの急にそんなこと言って」
優しく微笑みながらカナが私の頬に触れた。
「…今朝、悲しい夢を見たんだ。若い時の僕たちの夢だ。でも、この世界とは違くて、その世界ではカナがこの世からいなくなってしまっていたんだ。それがとても悲しくて、私はひたすら泣いていた」
「なにその世界!?」
少し驚いたような反応を見せつつも、そのまま妻は、声を優しくして続けた。
「私はいなくならないよ。コウくんと、梨愛と留稀と、これからもずっと一緒だよ。私もどんなことがあっても、あなたたちと一緒に幸せになるつもりだよ」
胸の奥がぎゅっと縮こまり、自然と涙が流れ出した。
妻をぎゅっと抱きしめ、震える声を押し殺しながら小さくありがとうと呟いた。そうして私たちは眠りについた。
深い深い夢の空へ。揺蕩う雲が広がる深い碧の空へ。
君との思い出という名の雲を突き抜け、私はどこへ向かうのだろうか。
神様なんていない、夢が叶うなんてほんとかどうかわからない。
だからこそ、今あるこの幸せを、カナがいて、梨愛と留稀がいるこの幸せを失わないように、大切にしていきたい。
3人の笑顔が浮かぶ。私を囲む3人の笑顔だ。
「あぁ、私は幸せだ」
私の胸がふわっとあたたかくなった気がした。
嬉しさ、幸せ。そういった感情から溢れ出した私の涙が、空へと向かってふわふわと浮かんでいった。
この日見た夢、果たして夢なのか今もわからないが、私はそのことを決して忘れないだろう。
ママのお誕生日パーティー計画が妻本人にバレてしまったため、家に帰るまでの車の中では梨愛も留稀もだいぶオープンになっていた。
そのため、お誕生日会用に追加で買い物をして帰ることになった。
私と子供たちで事前に準備をしていたが、よりいっそう豪華なお誕生日パーティーになりそうだ。
それぞれ追加で買いたいものを買い終え、夕方ごろに家へと到着した。
なんだかんだ時間が経ったため、子供たちはお腹がすきはじめたようだ。
「ママがご飯の用意しておくから、3人ともお風呂入っちゃいなさい!」
子供たちと私がやるから、と言っても妻は聞く耳を持たず、ママにまかせなさいと私たちを風呂場へ押し込んだ。
風呂から上がり、子供たちと共にリビングへ向かう。
テーブルの上にはこれでもかというくらい豪勢な料理が並んでいた。
私と子供たちであらかじめ用意していた料理たちに加え、みんなが大好きなものがたくさんあった。
「ママすごーい!」
子供たちが目をキラキラさせ、声を大にして妻をほめる。
「ママの手にかかればお茶の子さいさいよ」
鼻高々に妻が力こぶを作って見せるが、力こぶができているようには見えない。
「ママ、力こぶできてないよ!」
子供たちも私と同じ事を考えていたらしい。
とても幸せな時間だった。妻の誕生日を祝い、プレゼントを渡し、おいしい料理を食べた。
一通り会が終わると、子供たちは席を立ち、テレビの前へと移動していった。
テレビでは地元ヒーローが活躍するアニメ「ゼンダイニンジャー」が流れていた。子供たちに大人気の番組である。
私は妻のために買ってきたシャンパンを開け、夫婦水入らずの一時を過ごした。
昔からそうであったが、この歳になってなおさら涙脆くなっていた私は、自然と涙を流していた。
自分の愛する妻、子供たちとこうして平穏な日々を過ごしていることにとても感謝した。
「また泣いてるの?コウくんは昔から泣き虫だからな~」
頬杖をつきながならニヤニヤしている妻をみやり、照れを隠しながらシャンパンを流し込んだ。
私がカナや子供たちと出会えて、今も一緒にいられることがとても幸せだ。
だからこそ私は、今朝見た夢が、カナのいない世界がとても怖くなってしまった。
「カナと出会えて、カナと、梨愛と留稀と一緒にいれて良かった。僕は本当に幸せだ。どんなことがあっても君たちだけは必ず幸せにする」
寝る準備を済ませベッドに入り、あと少しで眠りそうというタイミングで私は言った。
「さっきの涙もそうだけど、どうしたの急にそんなこと言って」
優しく微笑みながらカナが私の頬に触れた。
「…今朝、悲しい夢を見たんだ。若い時の僕たちの夢だ。でも、この世界とは違くて、その世界ではカナがこの世からいなくなってしまっていたんだ。それがとても悲しくて、私はひたすら泣いていた」
「なにその世界!?」
少し驚いたような反応を見せつつも、そのまま妻は、声を優しくして続けた。
「私はいなくならないよ。コウくんと、梨愛と留稀と、これからもずっと一緒だよ。私もどんなことがあっても、あなたたちと一緒に幸せになるつもりだよ」
胸の奥がぎゅっと縮こまり、自然と涙が流れ出した。
妻をぎゅっと抱きしめ、震える声を押し殺しながら小さくありがとうと呟いた。そうして私たちは眠りについた。
深い深い夢の空へ。揺蕩う雲が広がる深い碧の空へ。
君との思い出という名の雲を突き抜け、私はどこへ向かうのだろうか。
神様なんていない、夢が叶うなんてほんとかどうかわからない。
だからこそ、今あるこの幸せを、カナがいて、梨愛と留稀がいるこの幸せを失わないように、大切にしていきたい。
3人の笑顔が浮かぶ。私を囲む3人の笑顔だ。
「あぁ、私は幸せだ」
私の胸がふわっとあたたかくなった気がした。
嬉しさ、幸せ。そういった感情から溢れ出した私の涙が、空へと向かってふわふわと浮かんでいった。
この日見た夢、果たして夢なのか今もわからないが、私はそのことを決して忘れないだろう。
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