【魔法翻訳付与】の価値を理解しない脳筋ギルドから望んで追放された青年、魔法学院の教官になり最強クラスを作る ~僕は学院でチヤホヤ充実生活!~

なっくる

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第6章 特A科クラスの夏休み

第6-5話 【ギルド転落サイド】ギルド長アキム、クーデター

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「くっくっく……完璧じゃねぇか……」

 真っ赤に輝く絨毯に、豪華な調度品。

 ほんの1か月前は考えられなかった光景に、ギルド長アキムは満足の吐息を漏らしていた。
 ”商社”によるギルドの買収を受け入れ、雇われのギルド長となったアキム。

 ギルドには莫大な資金が投資され、その資金を使い有力な冒険者をかき集めている。
 彼のギルドの戦力は、著しく強化されていた。

 それに、”魔導”の力も……。

「マスター。 今週の魔法使い育成実績だ……優秀な候補が大勢入ったのでな、順調だ」

 がちゃり、とドアを開け、一人の男が入出してくる。

 帝国の大貴族、オズワルド家の御曹司の一人で、帝国でも有数の魔法使いであるオズワルド・アシュビーである。
 コイツもギルドの幹部候補として、”商社”から紹介された男だ。

「レベル50を超える、中~上級魔法使いのスカウトも順調に進んでいる……帝国のギルドと比べても、なかなかの戦力が整ってきたといえるだろう」

「有事の際は頼ってくれたまえ、マスター。
 もし、セシルの奴と戦う事があれば……先鋒を私に任せて頂きたいね」

 どうやら、奴もセシルと因縁があるらしい。

 最初は、腐っても奴は帝国の大貴族……”商社”からの出資で大きくなったとはいえ、こんな地方のギルド長である俺のいう事を聞くのだろうかと心配していたが……。

 奴が右腕に付けている”腕輪”を見る。

 アレは、装備者の魔力を大きく向上させるとともに、”マスター”のいう事を自然に聞くようになる効果があるらしい。

 この腕輪を使う事で、ギルドにスカウトした上級冒険者どもも、全て俺のいう事を聞くように調整されている。

 いやはや、まったく素晴らしい……このまま俺は世界一のギルド長に?
 そう考えてしまうくらい、現状は順調そのものだった。


 ***  ***

「これはこれは、”社長”……こんな場所までご足労ありがとうございます」

「ふん、少しは見れる内装になったじゃないか」

 普段傲慢なアキムがぺこぺこしている。

 身長2メートルを超える屈強な男たちふたりを護衛につれ、アキムの執務室を訪問したのは、ギルドのオーナーとなった”商社”の社長……。

 確か名前はルインだったはずだ。
 見た目は15歳くらいの少年で、華奢な身体をしている。

 だが、その狂気をはらんだに見つめられた時、自分の存在のすべてを支配されたような、混沌の最奥をのぞき込んだような……言い知れない恐怖に襲われたことをよく覚えている。

 コイツに反抗するのは絶対にNGだ……アキムはその事を心に刻みつけていた。

「報告は読んだよ。 まあまあ順調のようじゃないか」

「はっ、おかげさまで!」

 ルインの問いに、直立不動で答えるアキム。


「ふん、そろそろいいだろう」


「アキム、この国を乗っ取れ」

 アキムの反応に、面白くなさそうに鼻を鳴らしたルイン。
 まるで飼い犬にお手をさせるぐらいの気楽さで、とんでもないことをアキムに指示する。

「……はっ?」

「い、いま……なんと言われました?」

 思わず呆然と聞き返すアキム。
 何を言っているんだこの方は……。

「聞こえなかったのかい? この国を乗っ取れと言ったんだ。
 これだけの戦力があれば、こんな弱小国家の軍など、楽勝だろう。
 ボクの目的はまずこの国を手に入れる事……君はその目的の道具でしかないんだよ」


「…………それとも、出来ないと?」


「壊れた道具は交換するしかないねぇ……」


 ルインの金色の瞳がより輝きを増し、護衛のふたりが構えを取る。


「い、いえっ! 滅相もない! やらせていただきます!」

 このままだと殺される……アキムは慌てて頷く。

「……ふん、最初からそう言えばいいんだよ」


「それじゃ、頼んだよ。 期限は1週間以内ね」


 それだけ言うと、さっさとルインは帰ってしまった。
 執務室に残されたのは呆然と立ち尽くすアキムひとり。

「やるしかないか……そうだな、もともと俺の野望の一つなわけだし」

 そうアキムは納得すると、作戦を実施するため、要員を集めるのだった。


 数日後、圧倒的な武力の差によりカント共和国大統領府は壊滅……アキムは傀儡の新大統領として就任。
 実質的にカント共和国は、ルインの”商社”に支配されたのだった。
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