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第7話 エロ魔獣と外道村長編 その5(解決編) 決着! リリ、新たなファンをゲットする

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 村長宅の広間

 オレとサナは、”エビル・オーク討伐記念”と銘打たれた、祝宴に出席していた。

 なぜか、出席者は村長とオレたちだけ……ふんふん、ご丁寧に部屋の外には、女の子を調教していた大男、オレたちを襲ったおっさんA~Dまで待機してるよーだ。
 ほーん、首脳陣はこれで全部か。
 分かりやすすぎる。

「さあさあ、英雄様、絶品料理もたくさん用意しております。ぜひお召し上がりください」

 目の前のテーブルには、サーペントのステーキをはじめ、山海のごちそうが山のように並んでいる。

「リリ様リリ様! わたし、こんなごちそう見たことありません! ああ、こちらには珍味中の珍味、深海クラーケンの網焼きがっ!? あのっ、もう食べてもよろしいでしょうか! これでわたしのバストがまた+1センチですっ」

 なに!? それ以上デカくなられると困る(オレが)……というかサナは、この不自然な状況をおかしいと思わないのか? ほんとに欲望に忠実な女だな……

「こら、サナ! こーいうのはご主人さまから食べるに決まってんだろ? 心配すんな、ちゃんと残り物をやるから」

「うう、リリ様、絶対ですよ……」

 サナをなだめながら、オレはクラーケンの網焼きを口に運ぶ。

 うん、美味い!! 特に、しびれるような刺激が最高だね!

 クラーケンの網焼きを一口で平らげ、何事もなかったように食事を続けるオレを見て、つるっぱげ村長の目が驚愕に見開かれる。

「いやー、こちらのマーマン汁も美味いな―、胃を直撃するような、パンチのある出汁が効いてる…………いい使ってるね? ねっ、村長さん♪」

 にやり、と指摘してやると、さすがにヘタな演技を続ける事はあきらめたようだ。
 村長は目に見えて狼狽する。

「ば、馬鹿な……大熊も一撃で昏倒させるほどの毒だぞ……いくら高レベルとはいえ、ダダの人間が耐えられるはずが……」

 ふふん、最強ドラゴンの力を受け継いでるオレに、この程度の毒が効くわけないだろ?

「ど、毒? まさかこの料理、全部毒入りですか……なんともったいない……」

 まったく同意だな、食べ物と女の子を粗末にする奴は、地獄に落ちるべきだ。

「せっかくの飯のタネだったエビル・オークを退治したオレらをまず口封じ、退治は捏造だったことにして、その隙に証拠隠滅、逃亡ってとこか?」

「いやー、残念。お前らの悪事の証拠は、魔導端末ここに記録しているんだよね。 ねー村長さん、おとなしく罪を認めて女の子を解放すれば、命だけは助けてやってもいいよ♪」

「なに!? いつの間にそんな映像を……ガキが……バカにしおって……おい、出てこい!」

 オレが軽く挑発しただけで、手下どもを呼び出す村長。小悪党すぎて涙が出るぜ。

 部屋の外から大男と、おっさんA~Dが駆け付け、オレたちを囲む。

「室内では高威力の魔法は危なくて使えまい……! このボブは、ワシらの用心棒も兼ねておるAランク戦士よ。 お前が多少強かろうが、ボブには勝てんぞ。諦めることじゃな……泣いて許しを請えば、調教して格安で売り払ってやらんこともない……ははは!」

 ぼ、ボブ……あまりのモブっぽい名前にめまいがしてきた……こんなの、ドラゴンの力を解放するまでもねーな……

 オレはほんの少し、力を溜めると、脚力を強化する。 とたんに体が軽くなる。
 トン……トン……と軽くステップを踏む。

「俺と格闘で勝負しようってのか? 舐めるなよ……まずは手足を折って、タップリと嬲ってやる!」

 大男は、オレを捕まえようと、掴みかかってくる……遅い!

 オレは、強化したスピードで男の腕をかわすと、スライディングの要領で男の股の下に滑り込む。

「なっ!?」
 オレを侮っていたのだろう。狼狽する大男。

 さて(にやり)

 めぎっ……!

 腰を軽く浮かし、勢いをつけた膝蹴りで、大男の股間を蹴り潰す。人間の男が、どうやっても鍛えられない部位だ。
 あー、サイアクの感触だぜ……後できれいに洗おう。

 どさっ……声も出せず、白目をむいて倒れ伏す大男。

 ざーこ♪

「さーて、次にアソコを潰されたい、ドMちゃんは誰?」

 ニタァ……と被虐趣味たっぷりに微笑むと、残りの男達はすっかり戦意を喪失したようだ。
 這いつくばり、許しを請う。

「で、出来心だったんじゃ! 稼いだ財産の半分はやるから、見逃してくれんか、この通り!」

 変わり身はやっ! というか、この状況でもまだ半分かよ……オレは凄く腹が立ったので、床に這いつくばる村長のハゲ頭を踏みつけ、ぐりぐりと床にこすりつける。

「へぶっ!」

「男なら、やったことに責任を持たないとね……犠牲になった女の子たちは、アンタを許してはくれないんじゃない? だから、オレも許さん!」

「ぶぶっ、待てっ……」


 シュバッ!


 極限まで範囲を絞ったドラゴン・アーツが、男達を文字通り、跡形もなく消し飛ばした。

「……ふう、胸糞悪い奴らだったな……」

「リリ様、お疲れさまでした! わたしも胸がすっとしました!」

 サナが、笑顔でタオルを差し出してくる。 そーだな、悪を成敗するのは気持ちがいいな!

「サナ、まずは地下室の女の子を助けるぞ。 オレは魔法で調教の記憶を消すから、サナは回復魔法で傷の手当てを……これでみんなオレにぞっこんだな……ふふふ」

「はい! リリ様、サナ、全力で治療します!」


 ***  ***


 オレたちはその後、地下室から女の子たちを救出・治療し、両親や兄弟の元に帰してやる。むっちゃ感謝された。
 すでに売られてしまった女の子については、販売台帳から消息を調べてもらうように依頼した。

 また、村長一味の悪事を公表、”オレたちが奴らを追い詰めたのだが、惜しい所で逃げられてしまった”という設定にした。
 まあ、あんな悪党を村長にしていたんだ。この村の連中も、後ろめたさから村長の行方を調べたりしないだろう。


 そして……翌朝

「じゃーな、楽しかったぜ♪」

「リリさん、もう行ってしまうのね……アタシ、昨日の熱い夜、忘れない!」

「あのあの、本当にありがとうございました……また、ルーヴィン村に来てください……その時はぜひうちに……(もじもじ)」

 ルーナ姉妹が、名残惜しそうに俺たちを見送ってくれる。

 姉の方も”ひんにゅー”だったので、4人でいろいろシました。ふへへ。

 何をしたかって? にひひ、このリリ様の尻尾が大活躍だったとだけ、言っておこうか。
 あそこまで気持ちいいとは……女子の大事なところを(ストレートな意味で)傷つけずにお互いが楽しめるんだから、これが一番のチートだぜ……

「リリ様……わたし、新しい世界の扉を開けました……リリ様との愛情表現も新たなステージへ……あいたっ」

 サナにツッコミを入れつつ、オレたちはルーヴィン村を旅立つのだった。
 さあ、次の街が楽しみだぜ!

 リリ様ファンクラブ(ゴールド) 1→3人
 リリ様ファンクラブ(ブロンズ) 0→25人
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