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PAST/いくつかの嘘
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しおりを挟む遼が留学することを知香が知ったのは、八月に入ってからだった。戻るのは一年後だと聞かされて、知香は心底驚いたようだ。
「結婚式には、絶対出てね。ちゃんと決まったら知らせるから。……絶対よ」
泣きそうになりながらそう言った知香へ、遼は苦笑して頷いた。
その頃までには、おそらく気持ちの整理がつくだろう。……できることなら、知香のウェディングドレス姿は見ておきたい。その隣にいるのが、たとえ恭臣だとしても。
「ちゃんと、帰ってくるから」
遼はそう言った。指切りを、させられた。
知香を心から祝福してやりたい。何のこだわりもなく、祝ってやりたい。だからこそ、遼は二人のそばを離れるのだ。
決めたことに、迷いはなかった。きっと何もかも、うまくいく。
そう信じられた。
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