カードゲームを持たされて異世界に送られた

お子様

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184 生命力

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あれから10分くらいが経過した。

未だに勇者はアミと会話をしている。
今は王都のアイドルの話題かな?
……それで良いのか、勇者。

俺はと言うと。
段々指輪が痛くなってきた。
ミスリルで蓋をしていても、隙間があるとダメなようだ。
開通が近い印でもあるので、我慢の時。

ん? 会話に変化があったようだ。

「ふふふ、そろそろ私の出番は終わりのようだ」
「へ? あっ! しまった! 話し込んでしまった!」

やっと気づいた勇者。
でも、何で気づかせたんだろう?

「何でアミは会話を止めたの?」
「もう召喚時間が切れるからですよ~」

あっ、そうか。
アミは総裁クラス。
確か10分しか召喚時間が無かったはず。

「会話の間、ずっと能力を使ってたんですよ~」
「そうなの? 判るの?」
「は~い。
 さすが勇者なだけあって効きにくいみたいですけど~。
 勇者の生命力を吸い取りアイドルの知識を与えていました~」

どういう事?
アミのカードを確認してみよう。


------------------------------------------------------------------------------

・アミ(天蠍宮)
 姿:炎を纏った人間(男)
 能力:生物の生命力を吸い取る、裏切りなどの悪意を敵陣に引き起こす、生命力を対価にあらゆる知識を授ける、性欲増大

------------------------------------------------------------------------------


あ~、これか。「生命力を対価にあらゆる知識を授ける」ってやつ。
勇者の生命力を奪いつつ、役に立つ知識を授けると。
役に立つ知識だから、興味を引いて話に乗ってくるって事でもある。

総裁クラスだから戦っても強いはずだが、こういう使い方もあるんだね。
カードゲームではありえない運用の仕方だな。

「そう言えば、全然グラシアの声が聞こえないけど?」
「グラシアも能力を使用中です~。今は勇者の背後ですね~。なかなか動けないみたいですけど~」

グラシアもか。


------------------------------------------------------------------------------

・グラシア(人馬宮)&ビフロンス(巨蟹宮)(どちらか一人を召喚)
 姿:グラシア→翼の生えたマルチーズ ビフロンス→前後両方に顔のある生首(男)
 能力:グラシア→暗殺術の使い手、自身を不可視にする ビフロンス→死体の解体、死体を移動させる 

------------------------------------------------------------------------------


なるほど。
自身を不可視にして、勇者の背後に陣取る。
会話が盛り上がってる所で、暗殺術を使って勇者を倒す算段のようだ。
ただ勇者に隙がないので、実行出来ないみたいだけど。

「会話はこれで終わりだ。後は元の世界に戻ってから自分で調べるんだな」
「どういう事だ?!」
「簡単だよ。この世界で死ねば、元の世界に戻れると言っているんだ。
 戻りたければ抵抗するなよ。楽に死なせてやる」
「そんな事は初耳だぞ!」

俺も初耳です。

「そうなの?」
「さあ? 他の神のする事なんか知りませ~ん」
「ウソなのかよ!」
「その可能性もあるって事ですよ~。ウソでは無いです~。事実かどうか不明なだけです~」

さすが悪魔。えげつない。

「……もしそうだとしても、魔王を倒せば戻る事が出来る! 問題無い!」
「愚かな事だ。お前の言う通り魔王を倒しても、戻れないだろうに」
「何故判る!」
「お前の今までの経験を知れば判る事だ。
 魔王を倒し目的を達成すれば、また違う世界に送られるだけだ。
 だが負ければ利用価値無しとなり、戻る事が出来ると思えないか?」

すげぇ正論に聞こえる。
これが悪魔の話術なんだろうな。

「あっ、動きますよ~」

この会話で勇者が動揺したようだ。
グラシアが動き出したらしい。
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