上 下
178 / 186

179 ヒントのヒント

しおりを挟む
それから数時間。
石板が4枚揃ってしまった。
勿論、北からは亀、南からはカバ、西からはヘビ、東からはハリネズミの石板。
ヒントの通りになっている。

……しかし、これってヒントと言えるのかね?
もうその場所じゃないか。
この広い世界の中から特定の場所を教えるのがヒントじゃないの?
特定の場所の中の中心を探すヒントっておかしいでしょ!

いやいや、待て待て。
落ち着いて考えよう。
ご都合主義的なのかと考えたけどさ。
深く考えてみれば、そうじゃないかもしれない。

例えばだけど、この星の反対側まで進んだ時に、この場所を示すヒントが置いてあったかもしれない。
俺が王国内ばかりをウロウロしてたから、そういうヒントを発見出来なかっただけかも。

ほら、昔のRPGとかでもあるじゃん。
たまたま見つけた洞窟とかをウロウロしてたら、終盤で使うようなアイテムを発見してしまった、みたいな。
何でも開けられる鍵を入手したからって、あちこちの宝箱を開けてたら強力な装備を入手したとか。
近くの村に行ってなかったな~と立ち寄ったら、何故か話が進んでいてアイテム貰うとか。
友人に「あそこの草を調べたらアイテム出るよ」と聞いてて、イベントもせずにその場をすぐに調べて発見するとか。
自国の城の川を挟んだ対岸に敵の本拠地があるのに、何で船で行かないんだ、とか。
最後のは違うか。

こんな感じなのかもしれない。
本来なら行かなきゃいけないルートをショートカットして発見したのかも。

とにかく、これだけヒントに類似しているんだ。
中心を掘らない理由にはならないだろう。

現在ザガンには、中心に移動して金貨に変えて貰っている。
ミスリルの層に埋まっているのか、その下の層にあるのかは不明だけど。

「あれ? ヒントってあれだけじゃなかったよな?」
「覚えているぞ。続きは『三歩進んで二歩下がる』だ」

さすが王太子。記憶力も良いね!

「どういう意味だろ? 中心から三歩進んで二歩下がった場所なのかな?」
「でもそれではどの方向に三歩進めばよいのか不明だぞ?」

そう言われたらそうだよね。

「それに三歩とあるが、歩幅が不明だ。大人と子供でも違うし、人間と魔物や悪魔でも違うだろ?」
「歩幅の問題もあるのか……」

結局ヒントが曖昧過ぎるんだよねぇ。
何かヒントのヒントは無いかなぁ。
こういうのもあちこちを回っている道中で集めるんだろうけど。

「ふと思ったのですけど」

それまで聞き役に徹していた隊長さんが話しかけてきた。

「何でしょう?」
「この村は街と王都の間にあります」
「はい、知ってますよ。中途半端な位置で不便なんですよね」

だから温泉を掘って集客しようとしてるんだからね。

「街から王都までの距離を三等分した場合の1つの距離がこの村になります」

つまり、街から王都までの距離が例えば30kmだとして、村までの距離は10kmって事か。

「街から王都に向かい三歩で着くとした場合、二歩下がればこの村になるのでは?」

なるほど! 頭良いね!
その可能性は高いかも!

「俺は、掘り進んだらミスリルの層にぶち当たって後退せざるえない、という意味が入ってるとみたが」
「その意見も良いね!」

王太子の意見もありえそうだ。
目的の場所まで進んだのに邪魔があって進めない、という事を端的に表しているともいえる。

どちらもありえそうだなぁ。
と、言うか、1つのワードに複数の意味が込められている可能性もあるね。

ま、なんにせよ、ヒントに近い事は確か。
怪しさが倍増だね! 当たり引いたかも?
しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

願いを叶えてくれる悪魔

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:6

芋と魚介類はかく語りき

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

完結R18 外れガチャの花嫁 

恋愛 / 完結 24h.ポイント:305pt お気に入り:356

竜人の冒険は異世界で~竜化と竜王の色鱗~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:23

【R18】ひかれ

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:20

処理中です...