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176 真贋

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とりあえずザガンを召喚する。
石板も気になるけど、スケルトン待ちだし。

ザガンは翼を持った牛だ。
しかも水牛大の大きさ。デカイ。
それが飛べる程の羽根を持っている。
今は畳んでいるけど、デカイのが判る。

はっきり言って……邪魔だな。
呼んでおいて言うのはアレだけど。

「ミスリルを金貨にするのか? 正気か?」

ザガンに正気を疑われた。
悪魔も価値を知っているらしい。

「正気なんだよ。いや、掘る方法が無くて。
 深さが知りたいから、一部を金貨に変えて掘ろうと思ってさ」
「そういう事か。
 しかし、そこに居るのは王太子なのだろう?」
「ん? そうだけど? 何か?」
「いや、国が認めた発行方法でなければ、偽硬貨になるが良いのか?」

ザガンに言われて気づいた。
確かに本物と同じ出来でも、偽硬貨だ!

日本で言えば造幣局が作って無ければ、材質・含有量・印刷、全てが同じでも偽物!

「んん?! でも、これを推奨したのは王太子だよ?!」
「ならば良いのか?」
「隊長さんは、どう思う?」
「…………私は何も見なかった、聞かなかった、何も言いません」

三猿になってる隊長さん。
見ざる聞かざる言わざるとはねぇ。
まぁ、認めるのも認めないのも隊長さんの立場からすると問題だよね。

「王太子、そこの所はどうなの?」
「ふっ、問題無いな」
「何で?」
「ぶっちゃけ、バレなければ問題無い。
 万が一問題があったら、それはそれで方法がある」
「方法? どうすんだ?」
「簡単な事だ。鋳潰してしまえばいい。
 そうすれば、ただの金になるだろ?」

なるほど。金としての価値はあるもんな。
硬貨として使わなければ問題ないか。……無いか?

ま、いいか。王太子が良いって言ってんだ。

「ザガン、良いってさ」
「ふむ。まぁ次期王としては、清濁併せ呑む考えは良い。
 ならば問題無いな」
「あ、一つ問題があるんだけどさ」
「何かな?」
「竪穴の底にミスリルの層があるんだけどさ。
 魔法の光が使えないから、たいまつを焚いているんだ。
 空気の心配があるんだけど、ザガンは大丈夫?」
「我は呼吸をしていないので、問題は無いな」
「なら大丈夫?」
「あぁ。ついでに我が軍勢を呼び出し、作り出した金貨を運ばせよう。
 それなら主や人間が中に入る必要が無いであろう」
「あっ、それは助かるな」
「我が軍勢には飛ぶ者が多い。運ぶ時間も短縮されるであろう」

へ~。飛ぶんだ。
どんなのがいるんだろうね。
魔物で飛ぶのと言えば……ハーピーとか? ユニコーンとかも居るね。
ユニコーンって聖なる存在みたいに書かれてるけど、あれも魔物なんだよな。
しかも処女厨の変態。カッコよく「清らかな乙女」とか言ってるけど、変態。
ついでに言うと、似た存在でバイコーンってのも居るよね。ビッチ厨の変態。
……馬型の魔物って変態ばかりなのかな?
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