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161 無駄遣い
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劇場に到着し、支配人とアザミさんを会わせる。
「この方はアザミさん。今後舞台上で催しをする際に進行をしてもらいます」
「了解しました」
「ちょ、ちょっと待って下さい! 何の話ですか?!」
「ん? アザミさんの仕事の事だけど?」
「舞台が何の関係が?! しかも進行って何です?!」
「正確には司会進行かな?」
「司会?! 進行?!」
どう言えば理解してもらえるだろうか?
くそっ、ここにDVDやテレビがあれば見せるだけで良いのに!
無い物ねだりしてもしょうがないので、俺は必死に説明した。
30分後。
「私がやる事は理解出来ました」
「そうですか。良かった~」
「私を選んだ理由も判りました」
「でしょ? なかなかの人選でしょ」
「しかし、本当に私で良いのですか?」
「うん。問題無いね」
理解してくれたというのに、何を懸念しているのだろうか?
「私、知っていると思いますけど、結構容赦ないですよ?」
なるほど。
そっち関係を気にしてたのか。
「いや、厳しくしてもらって結構ですよ」
「泣く娘が出ると思いますけど?」
「泣けば良いですよ」
「くじけて辞めると言い出すかもしれませんよ?」
「それならそれで良いです」
俺が作ったアイドルは、現在の日本のアイドルなのだ。
バラエティで泣くなんてよくある事じゃないか。
それがイヤで辞める? ついて来れないなら辞めた方が良いよ。
「厳しいだけではなく、成長を期待しての指導ならドンドンやってください」
「……はぁ」
「問題点は、貴方が悪役みたいになる事ですけど……」
「それに関しては問題ありません。それよりも成長とは、どういう感じにでしょうか?」
「えっと、彼女らは歌って踊るアイドルという職業なんですが。
それだけではなく、アイドルというのは、皆を笑顔にする職業なんですよ。
なので、話術や動き等でも観客を笑顔に出来るように成長させてください」
やりすぎると、アイドルなのかタレントなのか解らなくなるけどね。
まぁ、大丈夫でしょう。
なんせこの世界には、まだ彼女達しかそういう職業の人がいないのだ。
タレントになったとしても、引っ張りだこだろう。
……それが彼女達が目指している方向とは違ってもね。
「とにかく、やってみてよ」
「判りました。
しかし、最初の内は見ていて指導してくださいね?」
「うぐっ! ……そうですね。判りました」
このまま勇者に任せて帰ろうと思ったのに。
……もしかして、見透かされたのだろうか?
翌日の午前中に収録、いや違う、舞台上でのリハーサルが始まった。
舞台には元詐欺師のアザミさんとアイドル達、舞台袖には脚本を書いた勇者、観客席には俺と王太子と姫様とアイザックさん。
……劇場の中が混沌としている気がする。
えっと、今日の脚本はどんなヤツかな?
渡された脚本には「アイドルの歴史を知ろう!」と書かれている。
あ~、過去の写真とか見せるヤツね。
って、写真なんか無いじゃん! どうするんだ?
「本日やる企画は、『アイドルの歴史を知ろう!』です!」
「「「「わーーー」」」」
「あれっ? 声が小さいな? 何? ビビってんの? やり直し!」
「「「「は、はい!」」」」
「本日やる企画は、『アイドルの歴史を知ろう!』です!」
「「「「わーーー!!!!」」」」
早速アザミさんの指導が入った。
こういうのテレビでも見たわ。本番で見せても良いな。
「貴方達の成長を貴方達の両親に聞いてきました」
「「「「え~~~~?!」」」」
俺も「え~~~?!」と言いたい! 驚きだよ!
昨日の今日だぞ? 電話も無いのに、どうやって聞いてきたんだ?!
あっ、舞台袖で勇者がサムズアップしてる。
お前が走り回って聞いてきたのか……。恐ろしい行動力だな。
というか、勇者の能力の無駄遣い!!
「この方はアザミさん。今後舞台上で催しをする際に進行をしてもらいます」
「了解しました」
「ちょ、ちょっと待って下さい! 何の話ですか?!」
「ん? アザミさんの仕事の事だけど?」
「舞台が何の関係が?! しかも進行って何です?!」
「正確には司会進行かな?」
「司会?! 進行?!」
どう言えば理解してもらえるだろうか?
くそっ、ここにDVDやテレビがあれば見せるだけで良いのに!
無い物ねだりしてもしょうがないので、俺は必死に説明した。
30分後。
「私がやる事は理解出来ました」
「そうですか。良かった~」
「私を選んだ理由も判りました」
「でしょ? なかなかの人選でしょ」
「しかし、本当に私で良いのですか?」
「うん。問題無いね」
理解してくれたというのに、何を懸念しているのだろうか?
「私、知っていると思いますけど、結構容赦ないですよ?」
なるほど。
そっち関係を気にしてたのか。
「いや、厳しくしてもらって結構ですよ」
「泣く娘が出ると思いますけど?」
「泣けば良いですよ」
「くじけて辞めると言い出すかもしれませんよ?」
「それならそれで良いです」
俺が作ったアイドルは、現在の日本のアイドルなのだ。
バラエティで泣くなんてよくある事じゃないか。
それがイヤで辞める? ついて来れないなら辞めた方が良いよ。
「厳しいだけではなく、成長を期待しての指導ならドンドンやってください」
「……はぁ」
「問題点は、貴方が悪役みたいになる事ですけど……」
「それに関しては問題ありません。それよりも成長とは、どういう感じにでしょうか?」
「えっと、彼女らは歌って踊るアイドルという職業なんですが。
それだけではなく、アイドルというのは、皆を笑顔にする職業なんですよ。
なので、話術や動き等でも観客を笑顔に出来るように成長させてください」
やりすぎると、アイドルなのかタレントなのか解らなくなるけどね。
まぁ、大丈夫でしょう。
なんせこの世界には、まだ彼女達しかそういう職業の人がいないのだ。
タレントになったとしても、引っ張りだこだろう。
……それが彼女達が目指している方向とは違ってもね。
「とにかく、やってみてよ」
「判りました。
しかし、最初の内は見ていて指導してくださいね?」
「うぐっ! ……そうですね。判りました」
このまま勇者に任せて帰ろうと思ったのに。
……もしかして、見透かされたのだろうか?
翌日の午前中に収録、いや違う、舞台上でのリハーサルが始まった。
舞台には元詐欺師のアザミさんとアイドル達、舞台袖には脚本を書いた勇者、観客席には俺と王太子と姫様とアイザックさん。
……劇場の中が混沌としている気がする。
えっと、今日の脚本はどんなヤツかな?
渡された脚本には「アイドルの歴史を知ろう!」と書かれている。
あ~、過去の写真とか見せるヤツね。
って、写真なんか無いじゃん! どうするんだ?
「本日やる企画は、『アイドルの歴史を知ろう!』です!」
「「「「わーーー」」」」
「あれっ? 声が小さいな? 何? ビビってんの? やり直し!」
「「「「は、はい!」」」」
「本日やる企画は、『アイドルの歴史を知ろう!』です!」
「「「「わーーー!!!!」」」」
早速アザミさんの指導が入った。
こういうのテレビでも見たわ。本番で見せても良いな。
「貴方達の成長を貴方達の両親に聞いてきました」
「「「「え~~~~?!」」」」
俺も「え~~~?!」と言いたい! 驚きだよ!
昨日の今日だぞ? 電話も無いのに、どうやって聞いてきたんだ?!
あっ、舞台袖で勇者がサムズアップしてる。
お前が走り回って聞いてきたのか……。恐ろしい行動力だな。
というか、勇者の能力の無駄遣い!!
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