156 / 186
157 お約束
しおりを挟む
美味しいリアクションも貰った。
「なんて冗談で、本当はヒジリ君が参加ね」
「ハハハハ……ヴェ?! お、俺?!」
「そう、君だよ。今笑ってたでしょ。参加する方の気持ちも知りたいと思ってね」
「え~~~っ?!」
俺が指名した娘はほっとしている。
逆に勇者が焦っている。
うん、やっぱり、こういう流れが面白い。
「はい、じゃあ3人同時に食べようか。
どれを選ぶかは3人で話し合って決めてね」
話し合いの結果、ティナちゃんが右端、フェイちゃんは左端、勇者が真ん中を食べる事になったようだ。
3人が恐る恐るお菓子を手に取る。
どれかは当たりだもんな。怖いだろう。
しかもこの世界で初めてのロシアンお菓子だ。
マズさのレベルも不明だし。
「持ったね? では、実食!
3.2.1.はい、食べて!」
覚悟した顔で3人が同時にお菓子を口に入れる。
ゆっくりと咀嚼しているのを固唾を呑んで見守るメンバー達。
そして、その時は訪れた。
「か、辛い!! って言うか、痛い!!」
引き当てたのは、何と勇者!
さすが勇者! 運が強い!
よく考えたらそうなるよね。
ゲームでもラノベでも主人公は何かしらに巻き込まれるんだから。
そういう星の下に生まれたと言えるだろう。
「み、水! 水!!」
水を探している勇者。
あっ、支配人が水を持ってきた。
俺は舞台に上がり、支配人から水を受け取る。
「ほら、ヒジリ君、水だ!!」
「あ、ありがとうございます!!」
その水を渡すフリをして……俺が飲む!
プハァ
「ちょ、ちょっと~~!!」
「おっと、ゴメンゴメン。喉が乾いてたもんで」
空になったコップを支配人に差し出すと、水を注いでくれた。
勇者が受け取りにきたので、素早くもう一度飲み干す。
プハァ
「何やってんだーーっ!!」
何って、天丼って言われる事だよ?
ちらりと観客席を見れば、王太子と姫様が笑ってた。
おおっ、理解してもらえたか!
リアクション芸って、異世界でも通じるんだね。
さすがにこれ以上は可哀想なので、勇者には3杯目を渡す。
「あ~~~、辛い…………」
「よくある、定番の魔法の『浄化』とか『洗浄』とか『クリーニング』とか、そういうの使えばよかったんじゃない?」
「そんな魔法無いですよ~」
無いのか。
風呂に入れないから、そういう魔法でキレイにするって、定番じゃないの?
ま、仕組みを考えたらムチャクチャな魔法だけどさ。
例えば体をキレイにするって、そこまでやるんだ?って話。
垢を落とすとして表面だけ? 毛穴の中まで?
垢と皮膚の区別は? 体表面に居る有益な微生物も消す?
そもそも、落とした汚れはどこに行く?
ご都合主義満載な魔法だよね。
しかもこれが生活魔法で使える人が沢山居るっていうんだからねぇ。
おっと、使えない魔法の事はどうでもいいや。
「ヒジリ君が当たりを引いたので、罰ゲームは無しになりました!」
もう一回と言われると思ってたらしく、全員がホッとした表情になった。
「こんな感じで舞台上で色々挑戦するんだ。
それを観客には見てもらう。
歌とダンスだけじゃない。パフォーマンスも見てもらう。これがアイドルだ!!」
納得してもらえたかな?
「なんて冗談で、本当はヒジリ君が参加ね」
「ハハハハ……ヴェ?! お、俺?!」
「そう、君だよ。今笑ってたでしょ。参加する方の気持ちも知りたいと思ってね」
「え~~~っ?!」
俺が指名した娘はほっとしている。
逆に勇者が焦っている。
うん、やっぱり、こういう流れが面白い。
「はい、じゃあ3人同時に食べようか。
どれを選ぶかは3人で話し合って決めてね」
話し合いの結果、ティナちゃんが右端、フェイちゃんは左端、勇者が真ん中を食べる事になったようだ。
3人が恐る恐るお菓子を手に取る。
どれかは当たりだもんな。怖いだろう。
しかもこの世界で初めてのロシアンお菓子だ。
マズさのレベルも不明だし。
「持ったね? では、実食!
3.2.1.はい、食べて!」
覚悟した顔で3人が同時にお菓子を口に入れる。
ゆっくりと咀嚼しているのを固唾を呑んで見守るメンバー達。
そして、その時は訪れた。
「か、辛い!! って言うか、痛い!!」
引き当てたのは、何と勇者!
さすが勇者! 運が強い!
よく考えたらそうなるよね。
ゲームでもラノベでも主人公は何かしらに巻き込まれるんだから。
そういう星の下に生まれたと言えるだろう。
「み、水! 水!!」
水を探している勇者。
あっ、支配人が水を持ってきた。
俺は舞台に上がり、支配人から水を受け取る。
「ほら、ヒジリ君、水だ!!」
「あ、ありがとうございます!!」
その水を渡すフリをして……俺が飲む!
プハァ
「ちょ、ちょっと~~!!」
「おっと、ゴメンゴメン。喉が乾いてたもんで」
空になったコップを支配人に差し出すと、水を注いでくれた。
勇者が受け取りにきたので、素早くもう一度飲み干す。
プハァ
「何やってんだーーっ!!」
何って、天丼って言われる事だよ?
ちらりと観客席を見れば、王太子と姫様が笑ってた。
おおっ、理解してもらえたか!
リアクション芸って、異世界でも通じるんだね。
さすがにこれ以上は可哀想なので、勇者には3杯目を渡す。
「あ~~~、辛い…………」
「よくある、定番の魔法の『浄化』とか『洗浄』とか『クリーニング』とか、そういうの使えばよかったんじゃない?」
「そんな魔法無いですよ~」
無いのか。
風呂に入れないから、そういう魔法でキレイにするって、定番じゃないの?
ま、仕組みを考えたらムチャクチャな魔法だけどさ。
例えば体をキレイにするって、そこまでやるんだ?って話。
垢を落とすとして表面だけ? 毛穴の中まで?
垢と皮膚の区別は? 体表面に居る有益な微生物も消す?
そもそも、落とした汚れはどこに行く?
ご都合主義満載な魔法だよね。
しかもこれが生活魔法で使える人が沢山居るっていうんだからねぇ。
おっと、使えない魔法の事はどうでもいいや。
「ヒジリ君が当たりを引いたので、罰ゲームは無しになりました!」
もう一回と言われると思ってたらしく、全員がホッとした表情になった。
「こんな感じで舞台上で色々挑戦するんだ。
それを観客には見てもらう。
歌とダンスだけじゃない。パフォーマンスも見てもらう。これがアイドルだ!!」
納得してもらえたかな?
0
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉
まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。
貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
ああ、もういらないのね
志位斗 茂家波
ファンタジー
……ある国で起きた、婚約破棄。
それは重要性を理解していなかったがゆえに起きた悲劇の始まりでもあった。
だけど、もうその事を理解しても遅い…‥‥
たまにやりたくなる短編。興味があればぜひどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる