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150 ユニット

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「リョー様、ありがとうございます。
 これでメンバーも新たにやる気が出るでしょう」
「いえいえ」
「では、本日よりそのように致します。
 早速それぞれに入るメンバーを決めようと思いますが……リョー様が決められますか?」
「いえいえ! 俺が決めるよりも支配人の方が適任でしょう?!
 メンバーを一番知っているのは支配人でしょう?」
「……そこまで私なんかを信用して頂けるとは…………判りました! お任せ下さい!」

頑張ってほしい。
そして俺に何も任務を与えないで欲しい。

「俺からは以上です。
 あっ、そうだ。何名かはちょっと残って下さい。お願いしたい事があるんですよ」
「……選抜ですか?」
「違います違います! ユニットを作るとか、そういう事じゃないんです!」
「……ユニット?」

あっ、また俺は墓穴を掘ったようだ。
支配人が餌を目の前にした犬みたいな目をしている。

「……ユニットとは、少人数だけを選んで、その人達だけの曲を歌って踊ってもらう事です」
「なるほど! また違う選抜なのですね!」
「そうですけど、これは人気で決める訳じゃないですよ?」
「ではどのように?」
「え~と、例えば学力テストをして1~3位の人とか、40~42位の人とか。
 舞台の上で発表とかするんですよ。
 後は、商人の娘だけで構成するとか。そんな感じです」

確かそんな企画をテレビでしてた気がする。
って、俺はまた余計な事を言ったのか?!

「舞台の上で歌とダンスを披露するだけではなく、そのような企画もするのですね! 革命的です!」

テレビの中の話なんで!
俺が閃いたみたいな扱いは止めて!

「それでは、誰を残しますか?」
「ユニットとは関係無いんですけど……え~と、誰だったっけ?」

ヤベェ。
勇者から聞いていなかったわ。

「ちょっと待ってくださいね」
「はい」

俺は後ろに座っていた勇者の方を向く。
……おい、お前までキラキラした目で俺を見るな!
お前は日本のアイドルの事を知ってるだろ! それが出てるテレビ番組も!

「おい! サインもらうのは誰と誰だ?」
「すごいプロデュース能力ですね! 感動しました!」
「それはいいから! ああ、もう!」

こうなったら勇者も巻き込もう。
ファン冥利に尽きるだろ?

「支配人さん! 今からこいつが名前を言います!」
「判りました! 呼ばれた者は前に出るように!」

選抜するんじゃないですよ?!
そんな大掛かりにしないで下さい!
サインもらうだけなんです!
アイドルの娘達も祈らないで!

「俺が言うんですか?!」
「早く言えよ。サイン欲しいんだろ?!」
「は、はい!」

耳打ちしてくんな。
相談しているように見えるだろうが!

「じゃ、じゃあ。
 まずは、『ISK18』のセンターでありキャプテンのモサちゃん!」

お~。アイドルを作るきっかけになった娘じゃないか。
元気そうだね。
今でもセンターなんだね。すごいね。
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