148 / 186
149 選抜
しおりを挟む
「リョー様、来るなら先触れを出して下さいよ!」
「す、すみません。ここまでになってると知らなくて」
「今や『ISK18』は国民のほとんどが知っていると言っても過言ではない程の人気です。
それを立ち上げたリョー様も、当然大人気です。
関係者専用の出入り口があるので、そちらをご利用ください」
「……判りました」
「まぁ、そちらも“出待ち”と呼ばれる人達が居ますけどね。
先触れを頂いていれば、それにも対処出来ますので」
「はい……」
出待ちまで居るのかよ。
俺なんか捕まえても意味無いだろうに。
あれか? 「私もアイドルになりたいんです!」って言って近づいてくる女性とか居るのか?
ハニートラップみたいな感じで? ……それならちょっと会ってみたいな。あっ、ウソです。
「さて、本日はどのような御用で?
何か新しい事を閃かれたのでしょうか?」
いや、そんな期待に満ち溢れた目をされても困る。
ただサインをもらいに来ただけなんですよ。
……い、言える雰囲気じゃない!
「ま、まあね。メンバーは居るのかな?」
「はい! 本日は週に一度ある、選抜メンバーと選抜漏れメンバーの対決の日なので、全員揃っています」
なにそれ? 全然知らないんだけど?
どれだけの企画があるのだろうか?
もはや俺の手を離れていると言っても過言じゃないな。
って、随分前から離れてるけどね!
そのまま支配人に案内された。
って、ここは劇場の観客席じゃない?
「ここで座ってお待ち下さい。呼んでまいります」
「は、はぁ……」
そのまま支配人は走って舞台袖に消えていった。
待つ事、数分。
大人数の移動する足音が聞こえたかと思うと、舞台上に女の子が数十人入ってきて整列した。
「「「「おはようございます!!」」」」
「あっ、うん、はい。お、おはよう」
全員が俺を見ながら挨拶してきた。
横に王太子居るからね? 反対側には姫様が居るよ?
王族にまずは挨拶した方が良いよ?
「本日はリョー様がいらっしゃいました。
何やら新たな事を始められるようです。全員、心して聞くように!」
「「「「はい!!」」」」
支配人!
話を膨らまして言わないで!
そんな事、俺言わなかったじゃん!
しかし、何か言わないといけない雰囲気。
どうしよう……、そうだ、とりあえず気になった事を言ってみよう。
その内、何か日本のアイドルの事を思い出すだろう。
「え~、まず最初に。
“選抜漏れ”という呼び方を廃止します」
「ではどのように呼びますか?」
「そうだなぁ……ちょっと待って? こんなに人数居たっけ?」
「はい。三期まで揃っています」
「えっと、全員で何名? その内選抜は何名?」
「メンバーは全員で42人。選抜は12人です」
そんなに居るのかよ!
最初のオーディションした時は、名前に合わせて18人にしたってのにな。
まぁ良い。丁度割り切れる人数だし、なんとかしよう。
「これからは同時に3曲リリースする事にしましょう。
で14人づつで3組作り、それぞれの曲に分けます」
「おおっ! それにはどのような理由が?」
「まず、選抜漏れっていう人達は居なくなります。誰もが選抜された事になるのです」
「ほうほう! それで?」
「例えばですが、1曲はダンスの激しい曲、1曲はバラード、1曲はノリノリの曲、という感じで作ります。
そしてメンバーの特性に合った所に振り分けます。
これで『私はダンスは得意なのに歌がイマイチなので選抜されない』って事も無くなります!」
「なるほどなるほど! メンバーのモチベーションも上がりますね!」
「次回の新曲の時も同じ様に3曲作り、メンバーを入れ替えます。
前回Aの曲だった娘が新曲ではBに入った、とかなるようにね」
俺が知ってるアイドルは、人気順で選抜されてたんだよね。
あの娘は面白いのにな~と思った娘が、全然選抜されないって事があった。
しかも“アンダー”なんて控えみたいな呼び方されてたし。
「分ける理由は判りました。
しかしそれでは“選抜”とは言えなくなりますね。何と呼びましょうか?」
「そうですねぇ……では暫定的に『愛組』『彩組』『霧組』としましょう」
「なるほど“I”“S”“K”な訳ですね?」
すげーな。思いつきで言っただけなのに、よく頭文字がそれになってるって気づくね。
さて、舞台上だが。
泣いてる娘も居るんだよな。
多分ずっと選抜されなかった娘なんじゃないかな? 頑張れ。
「す、すみません。ここまでになってると知らなくて」
「今や『ISK18』は国民のほとんどが知っていると言っても過言ではない程の人気です。
それを立ち上げたリョー様も、当然大人気です。
関係者専用の出入り口があるので、そちらをご利用ください」
「……判りました」
「まぁ、そちらも“出待ち”と呼ばれる人達が居ますけどね。
先触れを頂いていれば、それにも対処出来ますので」
「はい……」
出待ちまで居るのかよ。
俺なんか捕まえても意味無いだろうに。
あれか? 「私もアイドルになりたいんです!」って言って近づいてくる女性とか居るのか?
ハニートラップみたいな感じで? ……それならちょっと会ってみたいな。あっ、ウソです。
「さて、本日はどのような御用で?
何か新しい事を閃かれたのでしょうか?」
いや、そんな期待に満ち溢れた目をされても困る。
ただサインをもらいに来ただけなんですよ。
……い、言える雰囲気じゃない!
「ま、まあね。メンバーは居るのかな?」
「はい! 本日は週に一度ある、選抜メンバーと選抜漏れメンバーの対決の日なので、全員揃っています」
なにそれ? 全然知らないんだけど?
どれだけの企画があるのだろうか?
もはや俺の手を離れていると言っても過言じゃないな。
って、随分前から離れてるけどね!
そのまま支配人に案内された。
って、ここは劇場の観客席じゃない?
「ここで座ってお待ち下さい。呼んでまいります」
「は、はぁ……」
そのまま支配人は走って舞台袖に消えていった。
待つ事、数分。
大人数の移動する足音が聞こえたかと思うと、舞台上に女の子が数十人入ってきて整列した。
「「「「おはようございます!!」」」」
「あっ、うん、はい。お、おはよう」
全員が俺を見ながら挨拶してきた。
横に王太子居るからね? 反対側には姫様が居るよ?
王族にまずは挨拶した方が良いよ?
「本日はリョー様がいらっしゃいました。
何やら新たな事を始められるようです。全員、心して聞くように!」
「「「「はい!!」」」」
支配人!
話を膨らまして言わないで!
そんな事、俺言わなかったじゃん!
しかし、何か言わないといけない雰囲気。
どうしよう……、そうだ、とりあえず気になった事を言ってみよう。
その内、何か日本のアイドルの事を思い出すだろう。
「え~、まず最初に。
“選抜漏れ”という呼び方を廃止します」
「ではどのように呼びますか?」
「そうだなぁ……ちょっと待って? こんなに人数居たっけ?」
「はい。三期まで揃っています」
「えっと、全員で何名? その内選抜は何名?」
「メンバーは全員で42人。選抜は12人です」
そんなに居るのかよ!
最初のオーディションした時は、名前に合わせて18人にしたってのにな。
まぁ良い。丁度割り切れる人数だし、なんとかしよう。
「これからは同時に3曲リリースする事にしましょう。
で14人づつで3組作り、それぞれの曲に分けます」
「おおっ! それにはどのような理由が?」
「まず、選抜漏れっていう人達は居なくなります。誰もが選抜された事になるのです」
「ほうほう! それで?」
「例えばですが、1曲はダンスの激しい曲、1曲はバラード、1曲はノリノリの曲、という感じで作ります。
そしてメンバーの特性に合った所に振り分けます。
これで『私はダンスは得意なのに歌がイマイチなので選抜されない』って事も無くなります!」
「なるほどなるほど! メンバーのモチベーションも上がりますね!」
「次回の新曲の時も同じ様に3曲作り、メンバーを入れ替えます。
前回Aの曲だった娘が新曲ではBに入った、とかなるようにね」
俺が知ってるアイドルは、人気順で選抜されてたんだよね。
あの娘は面白いのにな~と思った娘が、全然選抜されないって事があった。
しかも“アンダー”なんて控えみたいな呼び方されてたし。
「分ける理由は判りました。
しかしそれでは“選抜”とは言えなくなりますね。何と呼びましょうか?」
「そうですねぇ……では暫定的に『愛組』『彩組』『霧組』としましょう」
「なるほど“I”“S”“K”な訳ですね?」
すげーな。思いつきで言っただけなのに、よく頭文字がそれになってるって気づくね。
さて、舞台上だが。
泣いてる娘も居るんだよな。
多分ずっと選抜されなかった娘なんじゃないかな? 頑張れ。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる