カードゲームを持たされて異世界に送られた

お子様

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149 選抜

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「リョー様、来るなら先触れを出して下さいよ!」
「す、すみません。ここまでになってると知らなくて」
「今や『ISK18』は国民のほとんどが知っていると言っても過言ではない程の人気です。
 それを立ち上げたリョー様も、当然大人気です。
 関係者専用の出入り口があるので、そちらをご利用ください」
「……判りました」
「まぁ、そちらも“出待ち”と呼ばれる人達が居ますけどね。
 先触れを頂いていれば、それにも対処出来ますので」
「はい……」

出待ちまで居るのかよ。
俺なんか捕まえても意味無いだろうに。
あれか? 「私もアイドルになりたいんです!」って言って近づいてくる女性とか居るのか?
ハニートラップみたいな感じで? ……それならちょっと会ってみたいな。あっ、ウソです。

「さて、本日はどのような御用で?
 何か新しい事を閃かれたのでしょうか?」

いや、そんな期待に満ち溢れた目をされても困る。
ただサインをもらいに来ただけなんですよ。
……い、言える雰囲気じゃない!

「ま、まあね。メンバーは居るのかな?」
「はい! 本日は週に一度ある、選抜メンバーと選抜漏れメンバーの対決の日なので、全員揃っています」

なにそれ? 全然知らないんだけど?
どれだけの企画があるのだろうか?
もはや俺の手を離れていると言っても過言じゃないな。
って、随分前から離れてるけどね!


そのまま支配人に案内された。
って、ここは劇場の観客席じゃない?

「ここで座ってお待ち下さい。呼んでまいります」
「は、はぁ……」

そのまま支配人は走って舞台袖に消えていった。

待つ事、数分。
大人数の移動する足音が聞こえたかと思うと、舞台上に女の子が数十人入ってきて整列した。

「「「「おはようございます!!」」」」
「あっ、うん、はい。お、おはよう」

全員が俺を見ながら挨拶してきた。
横に王太子居るからね? 反対側には姫様が居るよ?
王族にまずは挨拶した方が良いよ?

「本日はリョー様がいらっしゃいました。
 何やら新たな事を始められるようです。全員、心して聞くように!」
「「「「はい!!」」」」

支配人!
話を膨らまして言わないで!
そんな事、俺言わなかったじゃん!

しかし、何か言わないといけない雰囲気。
どうしよう……、そうだ、とりあえず気になった事を言ってみよう。
その内、何か日本のアイドルの事を思い出すだろう。

「え~、まず最初に。
 “選抜漏れ”という呼び方を廃止します」
「ではどのように呼びますか?」
「そうだなぁ……ちょっと待って? こんなに人数居たっけ?」
「はい。三期まで揃っています」
「えっと、全員で何名? その内選抜は何名?」
「メンバーは全員で42人。選抜は12人です」

そんなに居るのかよ!
最初のオーディションした時は、名前に合わせて18人にしたってのにな。
まぁ良い。丁度割り切れる人数だし、なんとかしよう。

「これからは同時に3曲リリースする事にしましょう。
 で14人づつで3組作り、それぞれの曲に分けます」
「おおっ! それにはどのような理由が?」
「まず、選抜漏れっていう人達は居なくなります。誰もが選抜された事になるのです」
「ほうほう! それで?」
「例えばですが、1曲はダンスの激しい曲、1曲はバラード、1曲はノリノリの曲、という感じで作ります。
 そしてメンバーの特性に合った所に振り分けます。
 これで『私はダンスは得意なのに歌がイマイチなので選抜されない』って事も無くなります!」
「なるほどなるほど! メンバーのモチベーションも上がりますね!」
「次回の新曲の時も同じ様に3曲作り、メンバーを入れ替えます。
 前回Aの曲だった娘が新曲ではBに入った、とかなるようにね」

俺が知ってるアイドルは、人気順で選抜されてたんだよね。
あの娘は面白いのにな~と思った娘が、全然選抜されないって事があった。
しかも“アンダー”なんて控えみたいな呼び方されてたし。

「分ける理由は判りました。
 しかしそれでは“選抜”とは言えなくなりますね。何と呼びましょうか?」
「そうですねぇ……では暫定的に『愛組』『彩組』『霧組』としましょう」
「なるほど“I”“S”“K”な訳ですね?」

すげーな。思いつきで言っただけなのに、よく頭文字がそれになってるって気づくね。


さて、舞台上だが。
泣いてる娘も居るんだよな。
多分ずっと選抜されなかった娘なんじゃないかな? 頑張れ。
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