上 下
143 / 186

144 要求は?

しおりを挟む
要求。要求か。
何を望むのが良いだろうか?
よくある「じゃあ一つ貸しね」とか言って後に使うのが無難なのか?

こういうのは俺が考えてもダメ。
ブレインに相談するのが一番だよ。
ラノベのように主人公に都合の良い展開になんかならないから。
賢い人に考えてもらうのが正解!

って事で、王太子と姫様に相談した。

「勇者の願いを叶える事で、何かしらこちらも要求が出来る、と」
「そういう事。勇者の要求は、ある意味簡単だしさ」
「確かにな」
「どうしようか? やっぱり同等の対価を希望するべきだろうか?」
「それが一番相手が断りにくいだろう」

やっぱそうか。
って事は、大した事は要求出来ないなぁ。

「何を考えてるか判るわよ? 簡単な要求にしようとしてるでしょ?」
「え? 何で判るの?」
「顔に出てるわよ? 言っとくけど、ちょっと無理めな要求でも問題無いからね?」
「何で?」
「貴方にとって簡単な事でも、相手にとって簡単な事かどうかは別問題でしょ?
 例えば、1億持ってて『10万貸して』と言われるのと、11万持ってて『10万貸して』では違うでしょ?」

確かに!
同じ10万だけど、余裕があるのと無いのとでは全然違う!

「貴方は今、1億持っている状態なのよ。10万は簡単だと思うでしょ。
 相手は10万が無いと破滅するような状態。
 逆の立場になって考えてみなさい。破滅から救ってくれる救世主よ?」

そうか、今俺は救世主なのか。

「それとな。対価として簡単な要求を出せば、お前が行った事もその程度の価値しか無い事になるぞ」
「どういう事?」
「相手の要求はアイドルのサインだ。だからと言って軽くみてはいけない。
 入手が難しいという点においては、それ相応の価値がある。
 その価値はお前が言う対価によって決定されるのだ。
 例えば『じゃあ俺の代わりに狩りしてきて』と言えば、それがその価値となる。
 つまり狩りをしてくれば貰えると思われてしまう、という事だ」

そういう事か。
俺が対価を言う事で、それが相場になってしまうのか。
俺だけが参加しているオークションみたいなものだ。
俺の入札した金額が、その商品の価値に、相場になってしまう。

相談せずに「じゃあ一つ貸しね」なんて言わなくて良かった……。

「じゃあどうすればいいんだ?」
「相手に取って、お前にした要求がどれくらいの価値があるのかを知る必要がある」
「なるほど。……それはどうやったら知れるの?」
「ここでは無理だ。城に到着したら、父に聞いてみよう」

という事で、城に着くまで保留する事となった。


「サインの価値?」
「そうなんですよ。かくかくしかじかで」
「かくかくしかじか、と言われても意味がわからん」

ちっ!
それで察しろよ!

しょうがないので、最初から王様に話した。

「ふむ。そういう事か」
「価値が判りますかね?」
「ああ。それくらいは簡単だ」
「どれくらいですか?」
「枚数と誰に書かせるかによって違うぞ?」

あっ、そっか。
センターをしている娘の場合、高くなるんだね。

後、書いてもらう枚数。
多ければその娘の時間をその分取る事になるので、時給で考えれば高くなって当然だ。

「その辺は聞いておきます。
 で、なんとなく平均で良いんで、教えてもらえます?」
「おお、良いぞ。
 そうだな。中古の一軒家が買えるくらいかな」
「ふぁっ?! 冗談でしょ?!」
「そんな訳無いだろ? 今、空前絶後の大ブームになってるんだぞ?」

そんなに人気があるの?!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄……そちらの方が新しい聖女……ですか。ところで殿下、その方は聖女検定をお持ちで?

Ryo-k
ファンタジー
「アイリス・フローリア! 貴様との婚約を破棄する!」 私の婚約者のレオナルド・シュワルツ王太子殿下から、突然婚約破棄されてしまいました。 さらには隣の男爵令嬢が新しい聖女……ですか。 ところでその男爵令嬢……聖女検定はお持ちで?

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります

古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。 一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。 一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。 どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。 ※他サイト様でも掲載しております。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。 貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。

ああ、もういらないのね

志位斗 茂家波
ファンタジー
……ある国で起きた、婚約破棄。 それは重要性を理解していなかったがゆえに起きた悲劇の始まりでもあった。 だけど、もうその事を理解しても遅い…‥‥ たまにやりたくなる短編。興味があればぜひどうぞ。

処理中です...